1. トップ
  2. おでかけ
  3. ついに、ミニシアター『シネマリス』がオープン。支配人・ 稲田良子さんに、開業までの軌跡を1か月にわたって綴っていただきました。最終回はこちらから。

ついに、ミニシアター『シネマリス』がオープン。支配人・ 稲田良子さんに、開業までの軌跡を1か月にわたって綴っていただきました。最終回はこちらから。

  • 2026.1.31

2025年12月19日を開業日と定めたものの、「本当に間に合うの?」という状況。不安と緊張の日々が続きました。「できるときは、あっという間にできるもんだよ」と励ましてくださる方もいましたが、なにせ家も建てたことのない私たちです。

最後は自ら現場の監理に出向くようになりました。開業時の上映作品である『ジュンについて』の田野隆太郎監督が、シネマリスのメイキング映像を作成してくれたのですが、途中まで画変わりがなく、やっとスクリーンを張るところまで撮って、急ぎ編集していただきました。

出典 andpremium.jp

そうして迎えた開業に先立つ内覧会。その日の朝まで建設業者の方が作業していたこと、開業日の朝まで作業が続いたことは内緒です。内装で間に合わなかった部分もあったのですが、そこは、「成長する劇場、変化する劇場」としてお客さまに見ていただこうと開き直ることに決めました。ただし、劇場内部の設備については、音響、映像ともばっちり仕上がっています。

開業の前日には、香港人のアーティスト、エコー・トゥーさんが製作した香港の俳優、レスリー・チャンのフィギュアを展示。これは私の念願の「レスリー・チャン特集+1~春夏秋冬、張國榮〜いつも心にレスリー・チャン〜」の上映に合わせて、全6作品の主人公のフィギュアをお借りして企画した展示です。

出典 andpremium.jp
出典 andpremium.jp
出典 andpremium.jp

1年前のエコーさんとの出会いがきっかけで、今回の展示が実現。目の前で展示を組み立てる様子を眺めることができ、そして5週間ものあいだ展示できたことは大きな喜びでした。開業後はレスリーを知る方はもちろん、知らない方もその精巧さに驚かれ、とても好評でした。没後20年余りが経ちますが、劇場に立ってお客さまとお話すると、昔からのファンの方、最近ファンになった若い方、香港や中国の方など、幅広いお客さまがいらして感慨深いです。私もお客さまに交じって鑑賞したいところでしたが、残念ながらそうもいかず。バックヤードで音声だけを聞くことができるので、広東語を浴びるように聞き、幸せを噛みしめていました。

開業時の上映作品は、ロードショーとして『私は何度も私になる』、『ジュンについて』、『最初の年』、『チリの闘い』をラインナップ。サブスク作品として『ミツバチのささやき』(1973年)、『瞳をとじて』(2023年)、そして特集上映としてレスリー・チャン特集を揃えて幕を開けました。

出典 andpremium.jp
出典 andpremium.jp
出典 andpremium.jp

『ジュンについて』は、吉祥寺でひとり出版社『夏葉社』を営み、良い本を長く売っていくという島田潤一郎さんを追ったドキュメンタリー。田野監督から直接連絡をいただき、上映が実現しました。島田さんに倣い、ひとり配給も担う田野監督の姿勢も含めて、『シネマリス』の「小さくても善いものを」という理念にぴったりの作品だと自負しています。

おかげさまで多くの方にお越しいただき、すでに何度も足を運んでくれた方も見受けられ、嬉しい限りです。

予約システムやホームページの情報掲載にヒューマンエラーがあったり、また、「場所がわかりにくい」「万事遅い!」というお声もいただいたりと、これから改善していきます! という状況です。これまではとにかく開業するということに必死だったので、ここからがスタート。長く愛される劇場となるよう工夫していきます。また作品選びについては多様性を意識して「小さくても善いもの」を提案していきます。

お近くにお越しの際は、一度お立ち寄りいただければ嬉しいです。

ミニシアター『シネマリス』支配人 稲田良子

出典 andpremium.jp

いなだ・りょうこ/ 新潟県出身。長年の法律事務所の秘書生活から急転、ミニシアター支配人を目指す。2025年12月、東京・神保町にミニシアター『シネマリス』を開業。

元記事で読む
の記事をもっとみる