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コーヒーで旅する日本/四国編|宇和島の人気カフェ初の姉妹店は、芳しい香りに満ちたヒーリングスポット「LPLUS」

  • 2026.1.29

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。4つの県が独自のカラーを競う四国は、県ごとの喫茶文化にも個性を発揮。気鋭のロースターやバリスタが、各地で新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな四国で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが推す店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

シンプルな店内に映えるアンティーク家具は、宇和島のアロマハウス リーフで使っていたもの
シンプルな店内に映えるアンティーク家具は、宇和島のアロマハウス リーフで使っていたもの

四国編の第42回は、愛媛県松前町の「LPLUS」。店主の坂本千穂さんは、母親が手掛ける宇和島市のアロマセラピースクール・アロマハウス リーフでカフェ部門を立ち上げ。2024年にオープンした「LPLUS」は、宇和島市外にできた初の姉妹店として話題を集めている。本店でも人気の手作りのスイーツや多彩な香りを楽しめるドリンクをはじめ、「器やカトラリーも含めて、心豊かになる時間を過ごしてほしい」という癒やしの空間は、界隈の新たな拠りどころとして定着しつつある。かねてから、「いつかは独立したカフェを作りたい」との思いを持っていた坂本さん。夢が形になった今、思い描くこの店の可能性もこれから広がっていきそうだ。

店主の坂本さん
店主の坂本さん

Profile|坂本千穂(さかもと・ちほ)

1979年(昭和54年)、愛媛県宇和島市生まれ。学生時代、母の早苗さんと共にアロマテラピーに関する資格を取得し、早苗さんが宇和島市にアロマセラピーのスクール・ショップとして、アロマハウス リーフを開業。卒業後は県内の銀行に勤め、結婚・出産を経て、2015年にアロマハウスリーフのサポートに入り、菓子作りの経験を活かしてカフェ営業をスタート。その後、同級生の手掛ける会社に移り、カフェ事業に注力し、2024年、アロマハウス リーフの姉妹店として、愛媛県松前町に「LPLUS」をオープン。

アロマサロン併設のカフェとしてスタート

宇和島市にある本店・アロマハウス リーフ。白亜の店構えが印象的
宇和島市にある本店・アロマハウス リーフ。白亜の店構えが印象的

松山の中心部と郊外を結ぶ伊予鉄道、通称“いよてつ”の線路端。「LPLUS」の窓際席から、行き交う電車を眺めていると、のんびりとした気分にさせられる。「宇和島にある本店と、ロケーションがよく似ているんですよ」という店主の坂本さん。店名の「L」は、坂本さんの母・早苗さんが手掛けるアロマセラピーサロン・アロマハウス リーフの頭文字から取ったもの。およそ1年半前にオープンした「LPLUS」は、本店に併設したカフェの姉妹店として、界隈でも注目を集める一軒だ。

アロマハウス リーフでは、多彩なオリジナルブレンドの精油を提案
アロマハウス リーフでは、多彩なオリジナルブレンドの精油を提案

アロマハウス リーフは、2008年に宇和島で開業。以前は専業主婦だった早苗さんは、アロマの魅力に出合い一念発起、アロマセラピスト資格を取得して立ち上げた店は、四国では知る人ぞ知る存在だ。当時、学生だった坂本さんも、早苗さんと共にアロマテラピーに関する資格を取得。大学卒業後、一度は会社勤めを経験したが、結婚・出産を経て、10年前にリーフを手伝い始めたことが、カフェに携わるきっかけになった。

無農薬、オーガニック、ワイルドプラントのハーブティーは、季節ごとにセレクト
無農薬、オーガニック、ワイルドプラントのハーブティーは、季節ごとにセレクト

「子どもが生まれてから、お菓子作りが好きになって。手作りすると喜んでくれて、こっちもうれしくなります。そこから、多くの人に食べてもらえる場が作れれば、とは思っていました。母も食べることが好きで、ちょうど店内に空いていた部屋もあったことから、ここでカフェをしてはどうかという話になったんです」。最初は、アロマの教室のあとに、生徒にお茶とお菓子を出すところから始まり、やがて週に1、2回、不定期での営業を通して手作りのお菓子は徐々に評判を得ていった。

イチゴのタルト800円。しっとり口溶けが良い生地に宇和島産いちごの濃密な甘みが際立つ
イチゴのタルト800円。しっとり口溶けが良い生地に宇和島産いちごの濃密な甘みが際立つ

家族ぐるみでお気に入りの看板ブレンド

コーヒーの抽出は大原さんが担当
コーヒーの抽出は大原さんが担当

その後、「いつかはカフェを作りたい」との思いが形になったのは、幼なじみでもある大原成一さんとのつながりから。大原さんは、宇和島のバイクの輸入・販売会社WHEELERSで、キャンプ場やイベント運営も手掛け、リーフとのコラボ企画もたびたび開催していた。「キャンプ場で、コンテナを使った出張カフェをするときに、坂本さんにコーヒー担当をお願いしたらすごく好評で。リーフのファンの多さを実感しました」という大原さん。そうした縁もあって、坂本さんはWHEELERSに入社し、中予(愛媛県の中央部)の支店として新たなカフェの立ち上げに注力。2024年、「LPLUS」としてオープンした。

店がある松前町は、近隣に松山で最大級の商業施設が誕生し、新しい店も増えつつあることで、界隈の注目を集めているエリア。「松山からの距離が近くなったことで、宇和島の本店に行ってみたかったという方も来てくださいますが、思ったより初めて来られるお客さんが多いですね」と、早くも界隈の支持を得ている。

香ばしい甘味と軽やかな余韻が印象的なブレンドコーヒー500円
香ばしい甘味と軽やかな余韻が印象的なブレンドコーヒー500円

以前からコーヒー好きで、方々のカフェ巡りによく出かけていたという坂本さん。その中で、家族ぐるみでお気に入りという一軒が、前回紹介したBRANCH COFFEE。リーフでコーヒー豆を仕入れていた縁もあり、開店にあたって、抽出のトレーニングや器具の選定など、あらためてコーヒーのイロハを学んだ。コーヒーは本店と同じく、BRANCH COFFEEの定番の一つ、深煎りのブレンドNo.3のハンドドリップを柱に、ここではエスプレッソマシンを使った本格派のカフェラテや、夏限定のコーヒーゼリーも好評だ。

窓からは、いよてつ(伊予鉄道)のオレンジ色の電車が行き交う様子が目の前に
窓からは、いよてつ(伊予鉄道)のオレンジ色の電車が行き交う様子が目の前に

滋味深い焼菓子と共に心和むひと時を

定番の焼菓子の中でも、最近はスコーンのファンが増えているとか
定番の焼菓子の中でも、最近はスコーンのファンが増えているとか

また、リーフの姉妹店らしく、ハーブを使ったドリンクも充実。ハーブティーは、京都のハーバリストがブレンドした茶葉を、週替わりで5種を提案している。体の内側から美容をケアするナチュラルビューティー、心身の緊張をほぐすグッドナイトスリープなど、ハーブの効能も季節に合わせているのは、アロマセラピストならではだ。また果実やスパイスなどを合わせたシロップで作る、カラフルなハーブコーディアルも5種と多彩にラインナップ。特に暑い時期には、気持ちも涼やかになる一杯だ。

本日のハーブティー600円。写真のナチュラルコールドケアは、ジンジャー、カモミールなどをブレンド。寒い時季に体の芯から温まる一杯
本日のハーブティー600円。写真のナチュラルコールドケアは、ジンジャー、カモミールなどをブレンド。寒い時季に体の芯から温まる一杯

華やかな香りも楽しめるドリンクのお供には、もちろんお手製の焼菓子が欠かせない。定番人気のレモンケーキは、分厚いカットで、グレーズのさわやかな酸味と生地の優しい甘さの調和が心地よい。開店以来、人気上昇中のスコーンも、さっくりとした香ばしさとホロホロ食感とともに、優しい甘みの余韻があとを引く。さらに、地産のフルーツをたっぷり乗せたタルトも、外せない一品。甘さを控えて、薄く仕上げたクッキー生地が、フルーツのみずみずしさが引き立てる。シンプルでいて、滋味深い味わいは、体に染み入るような味わいが魅力だ。「器やカトラリーも含めて、心豊かになる時間を過ごしてほしい」と、店で使用する食器などはすべて作家の手になるものをセレクト。器の表情とお菓子の洗練された取り合わせは、目でも楽しめる一品ぞろいだ。

ハーブコーディアル600円は、写真のローズヒップなど5種をラインナップ
ハーブコーディアル600円は、写真のローズヒップなど5種をラインナップ

開店から1年半ほど経ったが、まだまだ店は進化の途上。「今後は、リーフでも出していた名物のキッシュもメニューに入れられれば。ワンプレートにしてワインを合わせたり、お酒に合うお菓子も楽しめたらいい」と坂本さん。今後はここでもアロマの教室を開くなど、構想は広がっている。コーヒーのビターな香味に、清々しいハーブの芳香、焼菓子の香ばしい匂い、漂う香りまでも心癒やされる一軒だ。

坂本さんレコメンドのコーヒーショップは「Coffee stand CANS Hutte」

次回、紹介するのは、高知県の「Coffee stand CANS Hutte」。

「宇和島から高知に行く道中でたまたま見つけて以来、お気に入りになった、小さな山小屋のようなカフェ。東京から移住したご夫婦が始めたお店で、奥様手作りの焼き菓子が人気。ご夫婦の醸し出す雰囲気がすてきで、つい立ち寄りたくなります。お客として応援したい一軒です」(坂本さん)

【LPLUS】

●焙煎機/なし(BRANCH COFFEE)

●抽出/ハンドドリップ(カリタウェーブ)、エスプレッソマシン(VBM)

●焙煎度合い/深煎り

●テイクアウト/あり(500円~)

●豆の販売/なし

取材・文/田中慶一

撮影/直江泰治

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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

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