1. トップ
  2. 恋愛
  3. 親として何が間違っていたのか? 「トー横キッズ」になってしまった一人娘を持つシングルマザーの苦悩と再生の物語【書評】

親として何が間違っていたのか? 「トー横キッズ」になってしまった一人娘を持つシングルマザーの苦悩と再生の物語【書評】

  • 2026.1.28

【漫画】本編を読む

近年ニュースで報じられることの多い「トー横キッズ」とは、東京・新宿の一角で通称「トー横」と呼ばれている場所に集まる若者たちの総称だ。そんな彼らを標的にする心無い大人たちによって、危険な薬物の売買や性犯罪などに若者が巻き込まれる事件が多発し大きな社会問題となっている。『娘が「トー横キッズ」になっていました』(リアコミ:原作、友田よね:漫画/KADOKAWA)は、いつからかトー横に行くようになってしまった娘とその母親の、実話をもとにした物語だ。

夫の不倫が原因で離婚し、一人娘の風香を13年間ひとりで育ててきた成美。娘のために昼夜を問わず懸命に働いてきたが、ある日の朝、布団から出ない風香をたしなめると逆に怒鳴られてしまう。今まで見たことのない娘の態度に衝撃を受けつつ、ただの反抗期と自分に言い聞かせて仕事に行く成美だったが、風香はその後、朝帰り、不登校、無断外泊をし、そして警察に補導されるのだった。

警察で成美は、風香が危険な薬を所持し服用していたことと、トー横に行っていたことを知る。そしてトー横に集まるのは家や学校に「居場所」を失った若者たちということも知るのだが、必死に働く母親の背中を娘はずっと見てくれていたと思っていた成美はそのとき、風香がトー横に行く理由がわからず混乱するのだった。

限界まで募った寂しさのやりどころがなくなった風香はトー横を選んでしまった。我が子のために仕事優先の生活をしてきた成美は何も間違っていないが、ただもう少し、娘と向き合う時間を持てていたらと思うと胸が痛む。子どもにとっての「居場所」とは、損得勘定なしに絶対的な信頼を置ける人がいる場所なのである。

実際、消去法でトー横を「居場所」に選ばざるを得なかった若者はきっと多いはずだ。これ以上そんな子どもを増やすことのないよう、親や大人が果たすべき役割とはどういうことなのかを、あらためて考えさせてくれる作品だ。

文=西改

元記事で読む
の記事をもっとみる