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“雑談が多い=風通しがよい職場”は錯覚だった?雑談を「脳が喜ぶ休憩」に変える3つのポイント

  • 2026.1.28

「職場で一緒に働きたくない人」がSNSで話題となり、結局は「人間関係こそがストレスの元凶」という嘆きであふれかえった。多くの人が感情的な摩擦に心を削られているが、散見される解決策は「気にしない」「強くなる」といった精神論に終始している印象だ。

これに対し、「しんどさを感じるのは、あなたが弱いからではありません。脳が環境の負荷に正常に反応している証拠です」──そう分析するのは、MBAと医学博士号を持ち、行動科学を専門とする板生研一さんである。

職場での何気ない会話が、あなたを疲弊させているかも… 【画像提供=写真AC】
職場での何気ない会話が、あなたを疲弊させているかも… 【画像提供=写真AC】

“雑談が多い=風通しがよい職場”は錯覚だった

実務で人を消耗させるのは、あからさまな悪意だけではない。むしろ厄介なのは、善意でかけられる「雑談」だという。世間では“雑談が多い=風通しがよい”とされるが、板生さんは “その前提がまず誤解を生む”と指摘する。

「雑談のたびに、脳は『仕事モード』を一度強制終了して、またゼロから立ち上げ直しています。この再起動に、猛烈なエネルギーを使うのです」(板生さん、以下同じ)

会話の内容が浅くても、脳の負担は変わらない。相づち、表情の管理、地雷の回避、次のリアクション…瞬間的にマルチタスクが発生するからだ。さらに会話後も「さっきの言い方で大丈夫だったか」とワーキングメモリが占有され続ける。

「これがいわゆる“切り替えの負担”です。席に戻ったつもりでも、脳の一部は会話に持っていかれたまま。この状態で仕事を再開するのは、たとえるなら重りを引きずって走るようなものです」

【図解】「職場での雑談」に対する一般的なイメージと、 最近科学で明らかになった知見との比較 【画像提供=板生研一】
【図解】「職場での雑談」に対する一般的なイメージと、 最近科学で明らかになった知見との比較 【画像提供=板生研一】

雑談より回復する、脳が喜ぶ休憩とは

とはいえ、現場で「雑談はやめましょう」なんて正論を言えば、今度は人間関係にヒビが入る。「だから雑談をなくすのではなく、“雑談を休憩に変える設計”をするんです」と板生さんは言う。

「ポイントは3つ。まず、時間の『枠』を決めてしまうこと。一番疲れるのは不意打ちです。『昼休みだけ』『15時に5分』と枠があれば、脳はずっと身構えていなくて済みますから」

次に、終わりの合図を言葉ではなく“行動”にすること。「仕事に戻ります」とは言いにくいが、動作なら角が立たない。

「たとえば、席を立つ、水を飲む、次のToDoをメモする。何でもいいので物理的に区切りを作ってください。それだけで脳はスムーズに仕事モードへ戻れます」

そして3つ目は、雑談以外の“回復方法”を持つことだとか。

「雑談に参加しないと休めない職場では、無理に付き合って消耗する悪循環が起きます。むしろ1〜2分歩いたり肩を回したりするほうが、雑談よりはるかに疲労回復に効くんですよ」

雑談そのものが悪いのではない。問題は、頻繁な割り込みによって“脳の切り替え”がうまくいかなくなる点にある。要するに、「気にしすぎかな」「職場になじめない自分なんて…」と自分を責めたところで、状況が好転するわけではない。

最後に、板生さんは「仕事に戻るスイッチさえ作れば、同じ職場でも疲れ具合はまるで違ってきますから、ぜひ今日から試してみてください」と締めくくる。

職場の空気を読む前に、まずは自分の感情と向き合ってみる。そうした小さな工夫こそが、結局は長く働き続けるための、一番の近道になるのかもしれない。

歩いたり肩を回したりすることも休憩になる 【画像提供=写真AC】
歩いたり肩を回したりすることも休憩になる 【画像提供=写真AC】

プロフィール・板生研一

MBA/医学博士。WINフロンティア株式会社 創業者・CEO(在任14年)。ソニー株式会社(現ソニーグループ)(エレキ&エンタメ領域)出身。東京成徳大学 経営学部 特任教授。行動神経科学をベースに、ビジネスパーソン/経営者のための「戦略的クリエイティブ・メンタルマネジメント」を研究・実践している。監修に『超疲労回復』(クロスメディア・パブリッシング〔インプレス〕)、著書に『なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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