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高杉真宙さんが選んだ一冊とは?「“継承”という言葉が大きくなっていて『チ。』のテーマに、これだ!と思いました」

  • 2026.1.27

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年2月号からの転載です。

マンガに造詣が深いことで知られる高杉さん。この10年で読んだ作品の中で一番好きというのが、『チ。―地球の運動について―』だ。

「最初は、サカナクションさんの『怪獣』に心震わされて。『チ。』のアニメの主題歌だと知ってオープニングを観たら、素晴らしかった」

それから原作を手に取った。

「僕の中で、ちょうど“継承”という言葉が大きくなっていたんです。地動説を次世代に遺そうとする『チ。』のテーマは、まさに継承。これだ!と思いました」

高杉さんにとって継承とは?

「人と人との繋がりでしょうか。僕は、道ですれ違っただけの人であっても、愛おしく思えるようになりたいんです。どんな人の背景にも様々なことがあるはずで、それを考えられるようになりたい。それが思いやりだろうと。そして、そういう思いを継承と呼んでもいいのではないかなと僕は感じます」

『チ。』では、真理のために多くの登場人物が命を落とす。そこには継承の厳しさも描かれている。

「人が繋がる、自分の隣に誰かがいる。その偶然は、現代の僕らにとっては何でもないことです。でも本来は、困難の積み重ねの結果で、すごく尊いものなんでしょうね」

高杉さんの主演映画『架空の犬と嘘をつく猫』が間もなく公開される。30年にわたる羽猫家の物語を映し出す本作に、高杉さんは「家族の繋がりって何なんだろうと、やはり継承について考えさせられた」と言う。

高杉さんが演じるのは、羽猫家の長男・山吹。一つ屋根の下に暮らしながらも、みんなバラバラに生きる羽猫家の中で、山吹だけは家族と向き合い続けている。

「山吹は周囲からいつも『優しい』と言われます。でも本来、山吹は優しい人間ではないと思うんです。過去のある出来事から、彼は罪を背負うと覚悟を決めて、優しさを身につけた。彼にとっての『優しい』はむしろ呪いだろうと、僕は思っています」

羽猫家をかろうじて繋いでいるのは、家族の“嘘”だった。

「羽猫家は決して特殊じゃない。どの家族にも、それぞれのストーリーがあります。僕の家族だってそれなりに大変で、必ずしも完璧に円満だったわけではありません。でも、そこには愛情があった。羽猫家の嘘も、やっぱり愛情の形と言えるんじゃないでしょうか。羽猫家の物語が迎えるラストには、僕も本当に幸せな気持ちになりました」

取材・文:松井美緒 写真:TOWA

ヘアメイク:堤 紗也香 スタイリング:菊池陽之介 衣装協力:ニット2万2000円(マーカ/パーキング☎03-6412-8217)、その他スタイリスト私物

たかすぎ・まひろ●1996年、福岡県生まれ。2014年『ぼんとリンちゃん』で第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、17年『散歩する侵略者』で第72回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。近年の主な出演作は、大河ドラマ『光る君へ』、映画『異動辞令は音楽隊!』『盤上の向日葵』など。

『チ。―地球の運動について―』(全8巻)

(魚豊/小学館ビッグC) 各770円(税込)

舞台は15世紀のヨーロッパ・P王国。C教に背く異端者は、容赦なく火あぶりに処せられていた。神童ラファウは、謎の男との出会いによって、異端思想の地動説の美しさに強く惹かれる。彼の前に異端審問官・ノヴァクが現れ……。世代を超え、地動説を生き延びさせるために命を賭して闘った者たちの物語。

『架空の犬と嘘をつく猫』

原作:寺地はるな『架空の犬と嘘をつく猫』(中央公論新社)

監督:森ガキ侑大 脚本:菅野友恵

出演:高杉真宙、伊藤万理華、深川麻衣、安藤裕子、向里祐香、ヒコロヒー、安田 顕、余 貴美子、柄本 明

配給:ポニーキャニオン 1月9日(金)公開

●1988年、佐賀県のとある街。 小学3年生の羽猫山吹は、事故で弟を亡くした日から、家族の“嘘”に寄りそっている。子どもの死を受け入れられない母のため、弟になりすました手紙を書き続けているのだ。憎らしく不完全、でも愛おしい、“嘘”が紡ぐ家族の形を30年にわたり描き出す。

©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会

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