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北海道の豊かな自然の中で、有機的に暮らす。料理家・エッセイストの藤原奈緒さんが住む築60年の家。

  • 2026.1.24

豊かな暮らしを追求する人々を訪ねた&Premium147号(2026年3月号)「部屋を心地よく、整える」より、料理家・エッセイストの藤原奈緒さんの住まいを紹介します。

札幌市内から車で1時間弱の長沼町にある藤原奈緒さんの新居。雪深い地域特有のギャンブレル(腰折れ)屋根は形を残して張り替え、外壁を無垢材でリノベーション。
器の一部は収納せず、いつも窓辺に。

古い家の改装が教えてくれた、新しい人生の歩み方。

北海道・長沼町。札幌市内から車で1時間弱の美しい田園地帯に、料理家・藤原奈緒さんの新しい住まいがある。東京郊外の古い団地に暮らしていた藤原さん。建て替えによる立ち退きが決まったとき、「東京を離れる時期が来たんだな」と思った。
「20代、30代と、自分なりに一生懸命、食の仕事をしてきました。でも働きすぎてしまったり、人間関係に悩んだりすることが増えて。少しスローダウンして、生き方を見つめ直したいと考えていたんです」

出身地の札幌に近く、豊かな自然がある長沼町で見つけた築60年の家。一部は前の持ち主が丁寧に改装し、気持ちのいい空間だった。

「2階からは田んぼと畑が一面に見え、美しく、安心できる場所だと素直に思えました。ここでギャラリーや料理教室ができたら……。アイデアがどんどん膨らんできました」

信頼できる大工と出会い、二人三脚での家づくりが始まった。料理教室を開きたいという思いから、1階は半分をダイニングに、残りのスペースは余白のある空間にした。

「一番悩んだのはキッチン。予算や機能性など、いろいろ考えましたが、結局大切なのは、自分がそこでどうありたいか、どんなふうに料理が作りたいかなんだなって」

決め手となったのはモールテックスという塗料との出合い。滑らかなコンクリートを思わせる質感で、一般的に浴室や洗面室に使われるのだが、色を選べば柔らかな雰囲気が出るところが気に入った。

「有機的というのでしょうか、食を扱う場所なので、その感じがいいなと思って。作業台兼食器棚も造作してもらいました。整理整頓がさほど得意ではないので、収納はざっくり
とオープンにして、器や調理道具などを見渡せるように。入りきらない器は窓辺に置いて、ディスプレイとしても楽しんでいます」

部屋の至る所に料理の気配がある。それはそのまま藤原さんの人生であり、欠かせないものだ。

「今、ここで料理をするのが、とても楽しい。自分にとって何が大切で、どう生きていきたいか。この家に教えてもらっている気がします」

1 階のリビング&ダイニング。料理教室を見据えて大きなダイニングセットを配置し、奥はフリースペースに。
天然のドライボタニカルをディスプレイに、海で拾った綺麗な石は箸置きに。北海道での暮らしは「美しいものはいつも自然の中にある」と教えてくれる。
寝室の窓からものびやかな田園風景が見える。毎朝起きるのが楽しみ。
やわらかいサンドベージュで塗装したキッチン。モールテックス特有のゆらぎ、グラデーションが有機的な雰囲気を醸す。
長沼町で暮らし、北海道産の豆の豊富さと面白さに開眼したという藤原さん。白いんげん豆のスープや長芋とミックス豆のグラタンなど、豆づくしのランチ。
一戸建てを改装。断熱材はたっぷり入れる代わりに建材はリーズナブルなものにするなど、予算に沿って工夫を凝らした。
出典 andpremium.jp
藤原奈緒料理家・エッセイスト

調味料ブランド〈あたらしい日常料理 ふじわら〉主宰。商品開発やレシピ提案など食まわりで幅広く活動。著書に『あたらしい日常、料理』(山と溪谷社)。

photo : Tetsuya Ito text : Yuriko Kobayashi

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