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演劇ユニットをプロデュース、俳優・梅津瑞樹が目指す「言式」の今後の方向性とは?

  • 2026.1.24

舞台『刀剣乱舞』(山姥切長義役)など、人気作品に多数出演する俳優・梅津瑞樹さん。そんな梅津さんが作・演出・プロデュース・出演を務める演劇ユニット「言式」の世界観を堪能できる書籍『言式 戯曲集』が発売された。これを記念して、ウォーカープラスでは梅津さんにインタビューを実施。「言式」の今後の方針や、ユニットのパートナーである俳優・橋本祥平さんへの思いなどをうかがった。

演劇ユニット「言式」を手がける俳優・梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井
演劇ユニット「言式」を手がける俳優・梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井

戯曲を読むことで演劇がさらに楽しくなる

――『言式 戯曲集』の書籍化にいたったきっかけを教えてください。元から戯曲集として出版される構想はあったのでしょうか?

【梅津瑞樹】台本を書いているときは、もちろんそんな発想はなくて。公演が終わったあと、「こうして台本が溜まっていったら、いずれは戯曲集みたいなものも作れるかもしれないな」と、ぼんやり考えたりはしましたが、こうしてちゃんと形になったものを前にすると、すごくうれしいといいますか。一歩前に進めたな…という感覚です。

――戯曲として文字に残すことで、上演とはまた違った形で“ファンに伝えたいメッセージ”などはありますか?

【梅津瑞樹】そもそも戯曲自体が、演劇をやるうえでの設計図のようなものなので。それを読んで、僕たち役者が声だったり、肉体を用いて、その戯曲に書かれているものを表現するという意味では、そこは不可分といいますか。作品としては、劇場であったり、映像コンテンツで観ていただいたものが100%の状態であって、戯曲はあくまでもその内部、設計図を見ていただく…といった感覚ですね。

ですので、両方を観たり読んだりすることで、より深く作品を楽しんでいただけると思います。戯曲は文字だけにフォーカスするぶん、情報がより明確に伝わるので、「このシーンのこのセリフでは、こういったことを伝えたかったんだな」といった形で、戯曲集を片手に公演を楽しんでいただけますと幸いです。

『言式 戯曲集』 (C)KADOKAWA
『言式 戯曲集』 (C)KADOKAWA

――「言式」では、作家・演出家・プロデューサー・俳優という複数の役割を担当されていますが、それぞれの役割が互いにどのような影響を与え合っていると感じますか?

【梅津瑞樹】肩書きには特に大きな意味はなくて。自分たちが作りたいものを、ただ自分たちで作っているうちに、いくつかの役割を担うようになった…という感じです。もともと役者になる前は、文章を書くほうで世に出たいと思っていて。大学でもそっち方面を専攻していたんです。そうして文章を書く勉強をしていたことは、役者になってからも役立っていますね。

――その辺りを詳しくお聞きしたいです。

【梅津瑞樹】作家の伝えたいものって、文章の節々に込められているんですね。役者は、自分の声や体を使って芝居を作るわけですが、ただ単に「自分の芝居を観てほしい」という考え方ではダメで。台本をしっかり読み込んで、作家の言いたいことだったり、伝えたいものを把握して。自分を媒介にして、それらを観てくださる方に伝えるんだ…という意識が重要なんです。そういった目線があるかないかで、芝居の質はだいぶ変わってきます。

そうして作家の視点を持ちながら役者を続けて。一周回って、また作家として台本を書くことになったとき、今度は「役者にとってやりやすいものとは何か?」や「役者にとってプラスになるのはどんな表現か?」といったことがわかるようになってきて。それらを加味しつつ、本を書き上げることができたのは、自分にとっては大きな変化でした。質問にあった通り、全部の役割が影響し合っているといいますか、すべてはつながっているんだな…ということをあらためて認識することができました。

戯曲集を発売することになった俳優・梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井
戯曲集を発売することになった俳優・梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井

「言式」のパートナー・橋本祥平への思い

――現在、ユニットを組まれている俳優の橋本祥平さんは、梅津さんの描かれる戯曲世界において、どのような存在なのでしょう?橋本さんの俳優としての魅力や、梅津さんの創作意欲が刺激されたエピソードなどと併せてお聞きしたいです。

【梅津瑞樹】とにかく橋本祥平がいなければ、「言式」は始まらないです。台本を書く際は常に祥平のことを意識していて。彼がこのセリフをしゃべったらどうなるか…ということを、1回シミュレーションしてから書くことが多いですね。自分の書いた世界観を形作るうえで、橋本祥平は欠かせない存在だと思っています。

そして何より、これまでずっと橋本祥平を応援されてきた皆さんの視線を意識していて。梅津と組んだせいで祥平はダメになった…と思われないように。梅津と一緒に活動するのは喜ばしいことだ…と思っていただけるように、頑張らせてもらっています。

――ファンの方たちの目線も気にされているのですね。

【梅津瑞樹】祥平には役者として、ものすごく負担のかかるお願いをすることもあれば、逆に僕のほうで、もっと彼が評価されるように、その魅力がさらに際立つような演出を考えるといったこともしていて。まさに、持ちつ持たれつの関係ですね。

そのうえで、同じ土俵で戦う役者としては、よきライバルといいますか。彼の表現するものに負けないような作品性だったり、そういう芯みたいなものは、常に持っておかなきゃいけないなと思っています。

演劇ユニット「言式」として活動する梅津瑞樹さん(右)と橋本祥平さん(左) (C)言式
演劇ユニット「言式」として活動する梅津瑞樹さん(右)と橋本祥平さん(左) (C)言式

――旗揚げから3作品を上演し、戯曲集も出版された今、梅津さんは「言式」を今後どのような場所へ、あるいはどのような作品を生み出すユニットとして進化させていきたいとお考えですか?

【梅津瑞樹】この「言式」で、もっと地方を回りたいな…という思いはすごくあります。演劇って東京に集中しがちで、遠征しても大阪や京都あたりまでとなることが多いんですけど、そこに留まらず、いろんな地方を巡って。全国で演劇に取り組んでいる人たちと連携できたら、もっとおもしろいことができると思うんです。

これだけ楽しい物事が溢れている令和の世の中ですが、演劇はそれらに負けないくらい楽しいものなので。その魅力をもっともっと広げていきたい…というのが今後の目標です。

――具体的にやってみたいことはありますか?

【梅津瑞樹】劇場のキャパシティだったり、そういうものを広げることにはあまり興味がなくて。あくまでも自分たちの作りたいもの、おもしろいと思っているものをブレずに、今後も作り続けていきたいですね。「これは絶対にしない」というものは決めずに、その都度、何が一番おもしろいか?どういう表現がベストか?どんな企画なら誠意をもって最後までやり通せるか?といったことを考えて。そうしておもしろい舞台を展開していくことが目標です。

『言式 戯曲集』の発売記念イベントに登壇した梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井
『言式 戯曲集』の発売記念イベントに登壇した梅津瑞樹さん 撮影:ソムタム田井

劇場で“生の芝居”を観る楽しさを知ってほしい

――貴重なご意見、ありがとうございます。それでは最後に、この戯曲集を手に取られた方、「言式」の舞台に注目されている方に向けて、メッセージをお願いします。

【梅津瑞樹】演劇はおもしろい反面、少しとっつきにくいところがある娯楽です。劇場までわざわざ足を運んで、生の人間に相対して芝居を観ることって、慣れない方からするとすごくエネルギーが必要だということも認識しています。

でも、全く気を張る必要はないので、本当に軽い気持ちで遊びに来ていただければ、“生の空間”で芝居を観る楽しさを実感してもらえると思うんです。

たとえば、2025年10月に上演した「んもれ」という作品では、舞台上でいろんなものを破壊したり、ステージから落ちる仕掛けを作ったりと、劇場でしか聞こえない生の音を使った演出があったんですけど、それはあとで配信を観てみても確認できなくて。つまり、実際に劇場まで来ていただかないと味わえない体験だったんですね。

劇場で“生の芝居”を観る楽しさを知ってほしい (C)言式
劇場で“生の芝居”を観る楽しさを知ってほしい (C)言式

【梅津瑞樹】そういったものがその空間の中で、どのようにして演出として加わっているか…みたいなところも、実際に劇場まで足を運んでいただいて、生で芝居を観ていただく醍醐味だと思っているので、戯曲集で「言式」に興味を持っていただけた方はぜひ、恐れずに一歩踏み出して、僕たちの舞台を観に来ていただけますと幸いです。

そして、もうすでに「言式」をご存じで、応援してくださっている皆様には、これからも変わらずに僕たちの活動を見守っていただければと思います。

おもしろいものを作り続けるというスタンスで、これからも取り組みを続けていきたいですね。そこでがっかりさせるようなことは絶対にしませんので、安心して観にきてください。応援していただけるお気持ちには必ず報いますので、これからも何卒、よろしくお願いいたします!

撮影:ソムタム田井
撮影:ソムタム田井

取材・文=ソムタム田井

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