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チームで繋ぐ、物語のバトン――次世代を担う日本人クリエイターが『ズートピア2』の現場で触れた ディズニー流“コラボレーション”

  • 2026.1.21

国内興収129億円を突破し、歴史的な記録を塗り替え続けている『ズートピア2』

そんな『ズートピア2』の制作に、ストーリー・アーティストとして参加したのが、鳥海ひかりさんです。

いくつもの制作現場を経験してきた鳥海さんが『ズートピア2』の制作現場で体感したのは、異なる視点を歓迎し、失敗を恐れず試せるディズニー流のコラボレーション文化でした。

 

次世代を担う日本人クリエイターが『ズートピア2』の現場で触れた ディズニー流“コラボレーション”

 

 

ディズニー・アニメーション・スタジオでストーリーボード・アーティストとして、長編映画制作に携わる鳥海ひかりさん。

日本でも洋画アニメーション史上初7週連続No.1で国内興収129億万円(2026年1月19日時点)を突破し、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品として史上最高の世界興収アニメーション作品となった 『ズートピア2』の制作現場で彼女が体感したのは、異なる視点を歓迎し、失敗を恐れず試せるディズニー流のコラボレーション文化でした。

鳥海ひかりさんは、東京で生まれ育ち、大学入学を機に渡米。

カリフォルニア芸術大学で学びながら、ピクサー・アニメーション・スタジオでのインターン、他のスタジオでの制作経験を経て、現在はディズニー・アニメーション・スタジオでストーリーボード・スーパーバイザーとして長編映画制作に携っています。

いくつもの制作現場を経験してきた鳥海さんが『ズートピア2』で強く実感したのは、作品の完成度は「個人の才能」だけではなく、「チームの関わり方」で大きく変わるということ。

学生時代に心を奪われた『ズートピア』に、今度はつくり手として関わる——。

鳥海さんの言葉を手がかりに、ディズニーが大切にしている“試し、磨き、つないでいく”ものづくりをたどります。

 

ストーリーボードは物語の“設計図”――脚本をもとに、何千枚もの絵で可能性を探る

 

 

ストーリーボード・アーティストとして参加した鳥海さんは、物語を最初にビジュアル化していく役割を担っていました。

日本で言えば絵コンテに近い工程で、ディズニーにおいては物語の可能性をできるだけ多く探るために必要な工程だと言えます。

鳥海さんは『ズートピア2』でいくつかの重要なシーンを担当しました。

『ズートピア2』の中で、ニックとジュディが衝突するシーンもそのひとつ。

ふたりの価値観がぶつかり合った矢先に、小屋が真っ二つに割れ、物理的にも引き裂かれてしまう。

心理的な隔たりに、目に見える距離をどう重ねるかを考えながら、工夫に工夫を重ねていきました。

感情の動きを言葉に頼らず伝えるために、画面構成やタイミングを何度も描き直し、よりエモーショナルな瞬間として成立させることを目指したと言います。

「ボツになることは失敗ではありません。ストーリーボードは完成形ではなく、あくまで“設計図”なんです」

鳥海さんは、ストーリーボード・アーティストの仕事は一枚の完成度を評価するものではないと語ります。

時には、ひとつのシーンに対して何十、何百というカットを描くこともあるようで、構図やテンポ、キャラクターの表情や動きなど、わずかな違いを試しながら、とにかく量を出していくことで、物語として機能する形を探っていきます。

「書いている絵の90%は、ゴミ箱にいってしまいます」と鳥海さんは話します。

それでも、そのプロセスが無駄になることはありません。

「例えばシーンがカットされても、それが無に帰すわけじゃないんです。あの場面で、あの感情の出し方はうまくいっていたよね、というのがみんなの中に残っている。それを次のシーンでやり直してみよう、という話になることもあります」

そう語る鳥海さんは、制作現場でのチームワークを、リレーのようなものと話します。

「”映画づくりはリレーのようなもの”だと思っていて。私が一生懸命走って届けたバトンを、次の人が受け取り、また全力で走る。その積み重ねが、一本の映画になるんです」

鳥海さんがそう感じるのは、制作の過程で何度もその瞬間に立ち会ってきたからです。

脚本を受け取り、全力で走り、次の部門へと手渡す。

「じゃあ、任せた!」とバトンを渡され、また次の人が走り出す。

「こんなに大きなプロジェクトなのに、みんなが同じ方向を向いて本気でつくっているんです。完成した作品をみんなで観て、笑って、『よかったね』と言い合えたとき、このメンバー全員が関わっていたんだと思うと、すごいなって。これだけ多くの人が、本気でバトンを渡し続けた結果を映画館で観られるなんて、本当に楽しい仕事だと思います」

 

視点を持ち寄り、物語を磨く

 

 

ディズニー・アニメーションの制作には、専門分野も、考え方も異なる非常に多くのメンバーが携わり、それぞれの立場から物語を見つめています。

鳥海さんが実感しているのは、ディズニーではそれぞれが持つ感性や表現を、ひとつの「視点」として歓迎する文化が根づいているという点です。

鳥海さんが日本で育つ中で身につけてきた情緒や演出の感覚も、制作の中に組み込まれてきました。

「最初は、日本のアニメっぽい絵柄が、自分の弱点だと思っていたんです」

そう振り返る鳥海さんですが、現場で仕事を重ねるうちに、その感覚は少しずつ変わっていったと言います。

「仕事を始めた頃から、自分が弱点に感じていたことがもしかしたら強みかもしれない、と感じる場面が増えてきました。アニメって本当に世界的に人気があって、いま最前線で働いている監督や制作のキーメンバーにも、アニメを観て育ち、影響を受けてきた人がすごく多いんです」

日本アニメならではの誇張やリズム感は、キャラクターの感情を強く伝える場面で、思いがけず力を発揮することもあります。

「そういう部分が、結果的に表現の個性として受け取ってもらえることが増えてきて。むしろ、強みとして活かせる場面が多くなったと感じています。言語やカルチャーを超えた演出で、自分ができることはやろうと思ったんです」と、鳥海さんは言います。

また、ディズニーでは、そうした一人ひとりの感じ方や考えを、丁寧にすくい上げる仕組みが用意されていると言います。

「制作の途中では、ストーリーボードをスタジオ全体で共有する内部スクリーニングが行われます。チームメンバーが、まだ途中段階の試案を見ながら、どこがよかったか・どう感じたかを率直に言葉にします。監督はそのすべてに目を通した上で全体の調整をしていきます」

自分の意見や感性が作品づくりの一部として受け入れられる。

こうして持ち寄られた多様な視点によって、作品は磨かれ続け、輝きを増していきます。

『ズートピア2』が世界中で大きな反響を呼んでいる背景にも、異なる視点を歓迎し、それぞれの個性を物語の力に変えていく制作の積み重ねがあります。

ひとつの正解や表現方法を押し付けないディズニーのカルチャーは、鳥海さんが自分らしく仕事に向き合うための土台となっています。

 

物語を、次へつないでいく

 

 

数多くのバトンをつないで完成した作品の物語は、上映されて終わりではありません。

鳥海さんが携わった『ズートピア2』の物語もまた、映画館を飛び出し、グッズやイベント、さまざまな体験へと姿を変えながら、また次のバトンをつなぎ、生き続けます。

「自分が関わったキャラクターや物語が、別の場所で、別の形で生き続けていく。その流れが見えることこそが、ディズニーで働くことの醍醐味」と鳥海さんは語ります。

ひとつの作品を完成させることにとどまらない、この地続きのプロセスが、ディズニーの仕事の中にあります。

異なる視点を歓迎し、アイデアを持ち寄りながら議論を重ね、よりよい形へと磨いていく。

国境やバックグラウンドを越えて、コラボレーションを重ねていく。

ディズニーで働くということは、こうした文化の一員として、自分らしく挑戦しながら、次の誰かへと物語のバトンを手渡していくこと。

その積み重ねが世界中の人にスクリーンを越えて広がるキャラクターや物語を生み出しているのです。

ディズニーはこれからも新しい物語を紡ぎ続けていきます。

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