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【京都味遺産】京都人&京都通がおすすめ!極上の“私的味遺産”《鍋料理編》

  • 2026.1.20
撮影=高嶋克郎

古都・京都は神社仏閣と同様に、食の世界でも歴史が連綿と続いています。

百年、何百年と続く老舗が数多く存在し、長い時をかけて磨かれたその味わいは、一朝一夕では得られない信頼の証しであり、京都の文化や精神、技をいまに伝える“生きた文化財”です。

たゆまぬ研鑽が生んだ伝統の味から、近年注目を集める新味まで、古より未来へと続く「食都」の長い歴史に刻まれる味とは。

この先も受け継がれてほしい。そんな思いで選ばれた珠玉の味を“味遺産”としてご紹介します。今回は京都人&京都通の方々が選ぶ鍋料理です。

推薦してくださったのは・・・
伊東庄五郎さん[御所人形師]
江戸時代享保年間より御所人形を作り続ける伊東久重家の後嗣。老舗料亭からフレンチやイタリアンの名店、ホテルのダイニングまで幅広い情報をもつ食通。
村上恵理さん[「村上重本店」若女将]
1832年創業の老舗漬物店の若女将。2014年より「村上重本店」が運営と管理を行う、一日一組限定の高瀬川沿いに建つ宿「Bijuu」のマネージャーを務める。
吉田麻子さん[料理家]
吉田麻子料理教室主宰。家庭から懐石まで上方の味と食文化を伝える。上方食文化研究會でも活動。新著に『炊込み、混ぜ込み だしごはん』(文化出版局)がある。
渡辺紀子さん[ライター]
婦人誌で食担当のエディターを務めた後、現在は日本各地のレストランや料理店を取材をするフードジャーナリスト兼ライター。食関連の連載を多数もつ。

伊東庄五郎さん推薦

晦庵(みそかあん) 河道屋(かわみちや)[姉小路麩屋町(あねやこうじふやちょう)]

生蕎麦の老舗の名物鍋「芳香炉」。飛龍頭に真蒸、どんこ椎茸に湯葉、その下には鶏肉、九条ねぎや菊菜などの野菜もたっぷり入っている。 撮影=高嶋克郎

百年の歴史を誇る蕎麦店がリニューアルして再発進

享保年間創業の「総本家河道屋」の十四代目が、1932(昭和7)年に蕎麦部門を独立させて開いた「晦庵 河道屋」。長年営業した麩屋町通沿いの店から母屋のあった姉小路通に2025年10月に移転し、京風情を残したモダンな店を誕生させました。「創業から大切に継がれてきた出汁や自家製蕎麦はそのままです。

姉小路通沿いに移転し、新たに生まれ変わった店内。奥には坪庭がある。 撮影=高嶋克郎

メニューは厳選して少なくなりましたが、人気の味は復刻の一品として今後も季節ごとに登場します」とは現店主の植田徹さん。寒い時季に人気の「芳香炉」は、移転後も変わらず楽しめます。「野菜がたくさん食べられて女性にも人気です」と伊東庄五郎さんもいち押し。

創業当時からファンが多いこの鍋料理は、十四代目が中国の火鍋「火鍋子」にちなんで命名した名物。湯葉や真蒸、飛龍頭、椎茸、菊菜など8種ほどの具材を、利尻昆布と3種の節でとった出汁でぐつぐつと煮込みながらいただきます。締めは自家製の蕎麦とうどんを入れ、すだちを搾って味わうのがおすすめです。

撮影=高嶋克郎

DATA
「芳香炉」9,800円(2人前)、ざるそば1,100円 ※芳香炉は2日前までに要予約
営業時間/11時~16時(15時30分L.O.)
定休日/水・木曜
tel.075-221-2525
Google mapで確認
京都府京都市中京区姉小路通麩屋町西入ル姉大東町556-1

晦庵 河道屋

吉田麻子さん推薦

きんなべ[祇園]

撮影=高嶋克郎

余分な脂や灰汁を取り、旨みだけが残る紙鍋

「きんなべさんは、麻実れいさんにご紹介いただいたお店です。気楽にお料理をいただけるうえ、南座や駅からも近く便利」と吉田麻子さん。

純金や和紙の鍋で炊くことで知られる京料理店。創業は明治年間と伝えられ、京都の野菜に鶏肉を加え、金の鍋を用いたことからこの店名になったそうです。吉田さんのおすすめは、冬限定の「鴨なべ」ですが、ほかにもかしわ鍋やすき焼き、沖すきなど、多彩な鍋料理が味わえます。

「鴨なべ」の鍋用の和紙は、先々代が考案し、特別に漉かれたもの。余分な脂やアクを吸い取り、出汁の中に旨みだけが残るよう細工が施されています。風情ある座敷で味わう鍋が、寒さで凍えた体に染み入ります。

撮影=高嶋克郎

DATA
「鴨なべ」11,000円~(10月初旬~3月下旬) ※要予約
営業時間/17時~20時(L.O.)
定休日/不定休
tel.075-531-4188
Google mapで確認
京都府京都市東山区大和大路四条下ル博多町68

きんなべ

村上恵理さん、渡辺紀子さん推薦

鳥彌三(とりやさ)[木屋町団栗(どんぐり)]

撮影=高嶋克郎

坂本龍馬も愛した滋味深い濃厚な白濁スープ

1788(天明8)年創業、坂本龍馬も足を運んだ記録が残る水炊き料亭の老舗「鳥彌三」。名物の「水炊き」は、鶏ガラを長時間煮込んで深いコクを引き出した白濁スープが持ち味です。

仕込みを任されるのはごく一部の職人のみという、まさに“秘伝の味”。「最初に注がれるスープは至福の味わい。体に染みわたるおいしさ」と渡辺紀子さんも絶賛。村上恵理さんは「年月を重ねた歴史ある建物も唯一無二です」と、築280年、二度の大火を生き抜いた希少な江戸後期の建物も特別感があると語ります。

現在、2026年3月末の改装オープンに向けて休業中。新章の店では、朝食とランチ営業もスタート。自慢のスープを使う鳥そばや鳥がゆなどが登場予定。

撮影=高嶋克郎

DATA
「水炊き」16,000円~、「朝食」4,800円~(ともに予価) ※要予約
※現在休業中。オープン日の詳細はウェブサイトをご覧ください。
営業時間/8時~14時、17時~20時(ともに最終入店)
定休日/水曜
tel.075-351-0555
Google mapで確認
京都府京都市下京区西石垣通四条下ル斉藤町136

鳥彌三

撮影=高嶋克郎 取材・文=中井シノブ 編集・文=八木あきほ、吉岡尚美(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年2月号より

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