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こまめな「1分エクササイズ」で健康が改善する

  • 2026.1.20
Credit: canva

「運動は健康に良い」と分かっていても、毎日30分、あるいは1時間の運動時間を確保するのは簡単ではありません。

仕事や家事に追われる中で、ジム通いが続かず挫折した経験がある人も多いでしょう。

しかし近年、「1回1分にも満たない運動を、1日の中で何度か行うだけでも健康は改善する」という、意外な研究結果が次々と報告されています。

その鍵となるのが「運動スナック(exercise snacks)」と呼ばれる新しい運動の考え方です。

研究の詳細は2026年1月19日付で学術誌『British Journal of Sports Medicine』に掲載されています。

目次

  • 運動は「まとめて」やらなくていい
  • わずか数分でも「体は確実に反応する」

運動は「まとめて」やらなくていい

1分未満の運動を“スナック”のように取り入れる

運動スナックとは、1回あたり数十秒から1分程度の短い高強度運動を、1日の中に分散して行う方法です。

たとえば、階段の段差を上り下りする、仕事の合間にスクワットを数回行う、外出前にその場で軽くジャンプするなど、特別な準備を必要としない動きが該当します。

重要なのは、これらを連続して行わない点です。

従来の運動は「30分まとめて行う」ことが前提でしたが、運動スナックでは、1〜4時間ほどの間隔を空けながら、起きている時間帯全体に散りばめる形になります。

例えるなら、1日3食しっかり食べる運動ではなく、健康的な間食を少しずつ取るイメージです。

この方法が注目される理由の1つは、「時間がない」「やる気が出ない」という、運動を妨げる最大の障壁を同時に回避できる点にあります。

実際、運動習慣のない人ほど、「長時間の運動」を前提にした時点で行動を起こせなくなる傾向があることが知られています。

こうした背景のもと、近年発表された複数の研究をまとめた系統的レビューとメタ解析では、運動スナックが心肺持久力、つまり運動中に心臓と肺がどれだけ効率よく働くかを示す指標を、有意に改善することが示されました。

対象となったのは、これまでほとんど運動習慣のなかった成人です。

わずか数分でも「体は確実に反応する」

心肺機能、死亡リスク、血糖値への影響

特に注目されるのは、その効率の良さです。

現在の運動ガイドラインでは、週150分の中強度運動、あるいは75分の高強度運動が推奨されています。

しかし研究では、が確認されています。

たとえば、1回30秒ほどの全力に近い階段昇降を、1日に数回行うだけでも、数週間後には体力が向上した例が報告されています。

しかも、このような運動は継続率が非常に高く、多くの参加者が数か月にわたって実践を続けていました。

「短い」「すぐ終わる」という心理的なハードルの低さが、結果的に継続につながっていると考えられます。

さらに、運動スナックの効果は体力向上にとどまりません。

大規模な観察研究では、普段まったく運動をしていなかった人でも、速歩や階段昇降といった高強度の身体活動を1日3〜4分積み重ねるだけで、全死亡リスクが大きく低下することが示されています。

心血管疾患による死亡リスクも、同様に大幅な低下が見られました。

血糖値に関する研究もあります。

食事前に短時間の高強度運動を行うことで、食後の血糖値の急上昇が抑えられる可能性が示されており、将来的な代謝疾患の予防という観点からも注目されています。

もちろん、運動スナックだけですべての健康指標が改善するわけではありません。

体重や体脂肪率、血圧、血中脂質などについては、現時点では明確な効果が確認されていない項目もあります。

それでも、「何もしない状態」から「少しでも体を動かす状態」へ移行すること自体が、健康にとって非常に大きな意味を持つことは、多くの研究が一貫して示しています。

健康は「やる気」より「仕組み」で決まる

忙しい現代人にとって、運動を生活に組み込む最大のコツは、意志の力に頼らないことです。

運動スナックは、すでにある習慣の中に自然に溶け込ませることができます。

朝のコーヒーの前に階段を上る、テレビの合間にスクワットをする、仕事の電話を終えたら速歩で移動する。

こうした小さな積み重ねが、確実に体を変えていきます。

本格的なトレーニングの代わりにはならないかもしれませんが、「運動ゼロ」から抜け出すための入り口として、運動スナックは非常に現実的な選択肢です。

次に1分だけ時間が空いたとき、その1分をどう使うかで、数年後の健康が変わるかもしれません。

参考文献

Exercise ‘Snacks’ Throughout Your Day Have Real Health Benefits, Study Finds
https://www.sciencealert.com/exercise-snacks-throughout-your-day-have-real-health-benefits-study-finds

元論文

Effect of exercise snacks on fitness and cardiometabolic health in physically inactive individuals: systematic review and meta-analysis
https://bjsm.bmj.com/content/60/2/133.info

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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