1. トップ
  2. 父が全裸で倒れた!「高齢受給者証って何?」救急搬送された父を前に、答えられない質問ばかりが襲いかかる【作者に聞く】

父が全裸で倒れた!「高齢受給者証って何?」救急搬送された父を前に、答えられない質問ばかりが襲いかかる【作者に聞く】

  • 2026.1.20
喫煙本数に病歴、家系図…。訊かれてもわからないことだらけ! 作=キクチ
喫煙本数に病歴、家系図…。訊かれてもわからないことだらけ! 作=キクチ

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(kkc_ayn)。母の自宅介護と看取りをテーマにしたコミックエッセイ「20代、親を看取る。」では、親の死と向き合う中で揺れ動く感情を丁寧に描き、大きな反響を呼んだ。連載中のコミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」では、母を見送ってから約2年後、今度は父が病に倒れる出来事が描かれている。今回は、父が救急搬送されたあとの不安と戸惑いを描いた第4話を紹介しよう。

父と目が合った、その一瞬だけ安堵した

「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ
「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ

第4話で描かれるのは、救急搬送された父が病院に到着し、処置を待つまでの時間だ。父はキクチさんと目が合うと、ほっとしたようににっこり笑い、そのまま再び眠りについてしまう。「父は意識が朦朧としている中で、私と目が合って笑ってくれました。私も笑い返しましたが、内心は不安でいっぱいで、ちゃんと笑えていなかった気がします」。その穏やかな表情が、かえって胸に刺さる。

夜の病院で待つ時間は、驚くほど長い

病院に到着して一安心…と思ったのも束の間、そこからはただ待つしかなかった。救急車を呼ぶまで、搬送先が決まるまで、すべてが長く感じられたが、夜の病院でひとり待つ時間は格別だったという。「看護師さんに最初に話しかけられるまで、1時間くらい待ちました」。

静まり返った待合室に響くのは、ほかの患者の咳の音だけ。携帯の充電は残りわずか、モバイルバッテリーもない。「なるべく携帯を触らないようにして、不安だけが頭の中をぐるぐる回っていました」。孤独がじわじわと広がっていく。

聞かれてもわからないし答えられない、父の情報

戸惑ったのは受付で父のことを尋ねられた時のこと。すぐに答えられない質問が次々と飛んでくるのだ。離れて暮らしていたこともあり、父の生活習慣や細かな病歴は把握しきれていなかったキクチさん。母の介護と看取りを経験していても、倒れたときの入院手続きは父が担っていたため、すべてが初めてだったのだ。

「患者情報欄」が突きつける現実

なかでも一番困ったのが患者情報の記入だった。「本人か、普段から同居していないとわからない質問ばかりで、本当に困りました」。生活習慣、持病、アレルギー、そして家系図。

父の家系は少し複雑で、把握しきれていない部分も多い。「これは何のために必要なんだろう」「どこまで書けばいいの?」と考えながら、ただでさえパンク寸前の頭に、さらに負荷がかかっていく。

「知っているつもり」だった親のこと

病院に運び込まれて一息つけたものの、父についてわからないことがあまりにも多い現実に直面するキクチさん。親のことを知っているつもりで、実は知らなかった——。その事実が、静かな待合室でじわじわと重くのしかかる。つらい状況を淡々と描きながらも、ところどころにクスリと笑える視点を織り交ぜる本作。父と向き合う時間は、まだ始まったばかりだ。

取材協力:キクチ(@kkc_ayn)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる