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【ホラー】35年前のジェットコースター事故死→頭部と両腕を失った少年が、今も遊園地を彷徨う理由【作者に聞く】

  • 2026.1.18
遊びに来た遊園地で少年の霊につきまとわれる 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
遊びに来た遊園地で少年の霊につきまとわれる 三ノ輪ブン子(@minowabunko)

子どもたちで賑わう人気の遊園地。しかし35年前、この場所では1件の痛ましい事故が起きていた。7歳の少年がジェットコースターと接触し、頭部と両腕を激しく損傷して死亡したのだ。凄惨な事故の記憶が薄れ、楽しい時間が流れるなかでも、少年の霊だけは当時の姿のまま、その場にとどまり続けていた。三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんが描くホラー漫画『鬼の居る間にわたしたちは』第3話は、そんな孤独な地縛霊を巡る物語だ。

日本的ホラーと幽霊への眼差し

鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p02 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p02 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p03 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p03 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p04 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第3話_p04 三ノ輪ブン子(@minowabunko)

本作の主人公は、怪異が見える女子高生・螢と、霊を引き寄せやすいあざみのコンビ。怪異の姿が見えないあざみも、螢と手を繋いでいる間だけは霊の存在がわかるようになる。作者の三ノ輪さんは、幽霊を単なる恐怖の対象ではなく「生きている人の延長」として捉えることが、日本的ホラーの特徴だと語る。「幽霊をただやっつけるのではなく、生きている人の延長で捉えて何か別の方法を探す」という視点が、本作の根底には流れている。

また、作中の観覧車から見た夕焼けの描写は、読者の心に強烈な印象を残す。モノクロでありながら鮮明なオレンジ色を感じさせるこのシーンについて、三ノ輪さんは「人物に当たる夕陽も一つのキャラクターと同じくらい大事に描いた」と明かす。そのこだわりがあったからこそ、読者は色のない世界に確かな光を感じることができるのだ。

観覧車への未練と救いの結末

少年の霊は螢たちにつきまとうが、その視線は終始、巨大な観覧車へと向けられていた。彼を35年間もその場に縛り付けていたのは、観覧車に対する切ない未練だったのだ。その事実に気づいたとき、あざみはある行動に出る。それは、恐怖をぬくもりへと変える、最も純粋な救いの手だった。

「ただのホラーで終わらせたくなかった」という作者の意図通り、物語の結末は読者の心を深く洗う。凄惨な事故死という絶望のなかで、少年の霊が最後に救われる瞬間を、美しい夕焼けの描写とともに見届けてほしい。本作は、ホラーという枠組みを借りて、私たちが忘れがちな「生者の延長にある思い」を描き出している。

取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)

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