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入浴タイミングが「老後の健康」を左右する…1日10分のお風呂で健康効果を最大化させる「入浴剤の絶対ルール」

  • 2026.1.18

健康で長生きするためには、どうすればいいのか。医師の早坂信哉さんは「お風呂に浸かることを毎日の習慣にしてほしい。ただ、健康効果を実感するためには、入浴剤や温度、過ごし方で注意してほしいことがある」という――。(第2回)

※本稿は、早坂信哉『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)の一部を再編集したものです。

お風呂にオレンジ色のバスボムを浸ける手
※写真はイメージです
「40℃に10分入浴」でペットボトル1本の水分を失う

私が25年以上、医学的に入浴を研究して導き出した「誰にとっても安全で」「最大限効果を引き出せて」「無理なく続けられる」入浴法。それは、40℃で10分間、肩までお湯に浸かるという方法です。その効果は、第1回でもご紹介しました。

それでは、40℃で10分入浴すると、どれくらい汗をかくと思いますか?

(A)おちょこ1杯分
(B)コップ1杯分
(C)500mlのペットボトル1本分

答えは、Cの500mlのペットボトル1本分です。場合によっては、1.5本分強、800mlもの汗が出ます。短時間で、これだけの水分が体から失われるわけですから、そのまま水分を補給しなければどうなるでしょう? 「熱中症」です。

お風呂で熱中症? と思いますか? しかし、800mlもの汗をかいて、水分を取らなければ、体温調節がうまくできなくなります。すると体に熱がこもって、熱中症になってしまうのです。実際、入浴中の体調不良の多くは熱中症が関係していることがわかっています。高齢の方は特に、感覚機能の衰えによって喉の渇きや、体が温まりすぎていることに気づきにくいため、熱中症リスクが高まるので要注意です。

お風呂での熱中症予防は簡単です。水分が失われるのですから、その分の水分を補えばよいのです。ポイントはたった1つ、入浴前・入浴後に分けて水分を取るということ。

入浴剤のなかでも「炭酸系」がおすすめ

人間の体が一度に吸収できる水分量は限られています。ですから、入浴前にまとめて飲むのではなく、前後に分けて体に吸収させましょう。入浴中に水分を取るのもおすすめです。

ちなみに、湯上がりに飲むキンキンに冷えたビールはおいしいですが……アルコールは水分補給にはなりません。それどころか、アルコールは利尿作用があり、脱水を悪化させます。危険な血圧低下や、血栓ができるリスクもあるので、ビールだけではなく、水やミネラルが豊富な麦茶も一緒に飲んで体をうるおしましょう。

また、入浴剤は入れてもいい? というご質問も受けます。私の答えは、「ぜひ、積極的に入浴剤を入れてください」です。というのも、入浴剤には、健康効果が医学的に裏付けられているものが多いからです。なかでも、炭酸ガスを含んだ「炭酸系入浴剤」はおすすめです。炭酸が皮膚から吸収されると血管が広がり、血流がよくなります。これまでお話ししてきた、温熱作用の効果を後押ししてくれるのです。

とはいえ、炭酸系入浴剤はけっこう高いですよね。毎日使うのは、ためらわれます。それでしたら、手作りしてはどうでしょうか。炭酸系入浴剤は、案外簡単に手作りできます。


○準備するもの
重曹(食用)・・・30g
クエン酸(食用)・・・15g

○作り方
重曹とクエン酸をよくまぜたらでき上がり。

○使い方
180~200Lのお湯を張った湯船に入れて溶かす。

お湯に浸かるのは「泡が消えてから」「2時間以内」

完全に溶けてから入る。実は、これがとても重要です。

泡が出ている間が効きそうですが、このときはまだ炭酸は湯に溶けきっていません。むしろ、泡が消えた後の透明なお湯にこそ、しっかり炭酸が溶け込んでいるのです。ここでゆったり浸かることで、皮膚からの吸収が進み、血流促進や温まり効果が高まり「長生き入浴剤」の威力が発揮されます。

ただ、2つだけ注意して欲しいことがあります。


①入浴剤を溶かしたら2時間以内に入浴する
→時間とともに炭酸が抜けてしまうからです。

②追い焚きをしない
→重曹やクエン酸は無害ですが、配管や機器の素材によっては影響が出ることがあります。また、その日のうちにお湯を抜くのが安心です。

こんなに簡単に作れるのに、市販の炭酸系入浴剤はなぜあんなに高いのでしょうか? 実は、重曹とクエン酸をまぜたものは、物質として不安定で、製品化するには技術がいります。その分が価格に転嫁されているというわけです。ちなみに、市販品を購入する場合、入浴剤は「医薬部外品」または「浴用化粧料」の表示があるものを選ぶとよいでしょう。

お風呂の入浴剤が溶ける様子を眺める小さなイノシシのイラスト
炭酸系入浴剤がブクブクしているうちは入らない。完全に溶けてから入ると効果的(出所=『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』)
42℃以上の湯に浸かると血液がドロドロに…

実は、お湯の温度が2℃変わると、その健康効果も変わります。図表にまとめたので、ご覧ください。

温熱作用を得るには、お湯の温度が体温より高いことが条件ですが、42℃以上は体にとって異常事態。血圧や心拍数が一気に上がり、血液もドロドロになりやすくなります。「熱いお湯にサッと浸かれば、体もすぐ温まる」は逆効果。熱い湯で一時的に体温が急上昇すると、体は慌てて大量の汗をかいて体温を下げようとします。結果、体温があっという間に下がり、湯冷めしやすくなってしまうのです。

なお、ぬるい温度で温熱作用を得るなら、先ほどご紹介した「長生き入溶剤」を入れます。炭酸の力で温熱作用と同じく、血流をよくしてくれます。

40℃は万人向け!温度で変わる健康効果
出所=『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』

一方で、10分間ずっと湯船に浸かるのは大変というのは、たびたび聞くお声です。

【「熱い」「のぼせる」から10分浸かれない場合】

10分間は、入浴時に「合計で10分間浸かる」としてもかまいません。例えば、5分湯船に浸かったら体を洗って、また5分湯船に浸かる。40℃のお湯で一度上がった体温はすぐには下がりません。大事なのは、合計で10分浸かることです。5分ずつというように、分割してもよいでしょう。

【「退屈」で10分浸かれない場合】

湯船の中でじっとしている10分間は、思った以上に長く感じるもの。人によっては「何もしない時間なんて、もったいない」と感じるかもしれません。でも、他人の目を気にすることなく、自分のためだけに使える時間は意外に貴重です。

ここでは、退屈な時間が楽しく、さらに健康になれる「アイディア」を本書から3つご紹介します。

「風呂で歌う」と誤嚥性肺炎を防げる
【アイディア1 歌って呼吸筋を鍛える】

湯船で歌うと、気分がいいですよね。実は、この行為は医学的にとてもよいことなのです。私たちの肺の機能は、「呼吸筋」(横隔膜や外肋間筋)に助けてられています。そのため、呼吸筋が衰えてしまうと、肺がうまく膨らんだり縮んだりできず、深い呼吸がしにくくなってしまうのです。

呼吸筋の問題は、腕や脚のようにはトレーニングできず、弱っても気づきにくい筋肉だということ。そんな隠れた重要筋肉を鍛えられるのが入浴です。

湯船に浸かっているとき、体には水圧がかかっています。特に胸まわりは外から押されるように圧迫され、その状態で歌うと、呼吸筋に負荷がかかります。ですから、ただ気持ちよく歌っているだけで、無理なく呼吸筋を鍛えることができるわけです。お風呂場で歌うと外に声が漏れて恥ずかしい、という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方は、湯船で深呼吸をするのがおすすめです。この方法は、かつて温泉地のリハビリ病院などでも実際に取り入れられていたもので、湯船での深呼吸は高齢者の呼吸機能の維持に役立つとされてきました。呼吸筋が鍛えられると、呼吸が楽にできるようになるほか、誤嚥性肺炎も防げます。

誤嚥性肺炎は、年齢が上がってくると飲み込む力が弱くなって、食べ物や唾液が気管に入りやすくなることで起こります。たとえ誤嚥をしても異物を吐き出せるように、入浴で呼吸筋を鍛えておきましょう。むせやすい方にもおすすめです。

お風呂で歌う人のイラスト
呼吸筋が鍛えられれば、呼吸が楽になったり、誤嚥性肺炎を予防できたりする(出所=『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』)
お気に入りの飲み物を持ち込む
【アイディア2 スペシャルドリンクを飲む】

浴室に、お気に入りの一杯を持ち込むのもおすすめです。湯船に浸かりながら水分補給をすれば、脱水を防げます。レモンやハーブの香るお茶、気分を落ち着かせてくれるカモミールティーなど、その日の体調や気分に合わせた飲み物を選べば、10分間がちょっと特別な時間になりそうです。

しかも、「温泉に入る直前に緑茶を飲む」という私が行った実験では、緑茶に含まれるカテキンの吸収が、平均で通常の約7倍になることが判明しました(※緑茶にはカフェインが入っているので、睡眠を妨げないよう夜の入浴時は飲まないほうがよい)。つまり、健康効果の高い成分を含むドリンクを飲むと、入浴の効果でより効率的に体内に吸収される可能性があるということです。

ちなみに、露天風呂と熱燗がセットでイメージされますが……通常より吸収されやすい上、利尿作用もあるので脱水の危険性があります。コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインが入っているものも同様の理由から避けましょう。

お風呂でドリンクを飲む人
お気に入りのドリンクで水分補給(出所=『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』)
フルーツを食べると水分補給ができる
【アイディア3 ジューシーなフルーツを食べる】
早坂信哉『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)
早坂信哉『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)

湯船に浸かりながらジューシーなフルーツを食べるのも、水分補給になります。そのときは、スイカや梨、みかんやオレンジなど水分の豊富な果物がおすすめです。

入浴中は皮膚の血流が増える一方で、内臓への血流は減少するため、消化の悪い固形物を食べると胃腸に負担がかかってしまいます。その点、水分量の多いフルーツなら安心です。ただし、フルーツは果糖が多く、夜に食べすぎると脂肪として蓄積されやすくなるので、あくまでちょっとした楽しみとして取り入れてみてください。

もちろん、入浴中に無理に何かを食べる必要はありませんが、「今日はフルーツを食べながら入浴」と決めると、いつもよりお風呂が待ち遠しくなりませんか?

(参考文献)
・石澤太市、小番美鈴、奥川洋司、中西信之、松本圭史、早坂信哉「入浴の頻度および体温上昇と健康との関連」
・竹花美紅、萬羽郁子、鴻池孝宏「ヒノキ精油による心理・生理反応」
・田中信行、宮田昌明、下堂薗恵、出口晃、國生満、早坂信哉、後藤康彰「入浴と運動の健康増進効果の比較─1回入浴と200m走の循環、代謝、末梢血組成の変化─」

早坂 信哉(はやさか・しんや)
東京都市大学人間科学部教授・医師、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長
温泉療法専門医、博士(医学)。浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学スポーツ・健康科学部教授などを経て、現職。公益財団法人中央温泉研究所理事、一般社団法人日本銭湯文化協会理事、一般社団法人日本温泉気候物理医学会理事、日本入浴協会理事。著書に『最高の入浴法』(大和書房)ほか。メディア出演も多数。環境省の「新・湯治効果測定調査プロジェクト」の調査の研究責任者を務める。

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