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アリ・アスターも虜に!『ブゴニア』誕生のきっかけとなった“知る人ぞ知る”韓国発のカルト映画とは?

  • 2026.1.17

ヨルゴス・ランティモス監督がエマ・ストーンと長編映画では4度目のタッグを組み、韓国の“知る人ぞ知る”カルト映画『地球を守れ!』(03)をリメイクした『ブゴニア』(2月13日公開)。日本では映画祭での上映ながら、多くの映画ファンを虜にした『地球を守れ!』とはどんな映画なのか?そして同作がどのようにして『ブゴニア』へと進化していったのか。その舞台裏と共に、本作の見どころを紹介していこう。

【写真を見る】オスカー女優エマ・ストーンがスキンヘッドのカリスマ経営者に!

【写真を見る】オスカー女優エマ・ストーンがスキンヘッドのカリスマ経営者に! [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.
【写真を見る】オスカー女優エマ・ストーンがスキンヘッドのカリスマ経営者に! [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

『1987、ある闘いの真実』(17)のチャン・ジュナン監督の長編デビュー作である『地球を守れ!』は、地球上で起こるあらゆる厄災がエイリアンの仕業だと信じる青年が、製薬会社の社長を誘拐することから始まるSF映画。独創的な展開が話題を呼び、モスクワ国際映画祭監督賞など多くの映画賞を受賞。主演を務めたシン・ハギュンは一躍トップスターの仲間入りを果たすなど、「韓国映画の概念を覆した」一本としていまも語り継がれている。

そんな伝説的な1本の英語リメイクを、『パラサイト 半地下の家族』(19)で知られる製作会社CJ ENMが検討するなか、まず動いたのが『ミッドサマー』(19)や『エディントンへようこそ』(25)で知られる鬼才アリ・アスターだった。かねてから『地球を守れ!』の大ファンで本作にも製作として名を連ねている彼は、脚本家のウィル・トレイシーに同作を観るよう伝えたという。詳しい内容を説明せず、「いまの時代に生きる私たちに関連する物語の種を秘めている」と。

狂気的な陰謀論に取り憑かれた男たちは、カリスマ経営者を宇宙人だと信じ込んで誘拐するのだが… [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.
狂気的な陰謀論に取り憑かれた男たちは、カリスマ経営者を宇宙人だと信じ込んで誘拐するのだが… [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

それまでこの作品の存在すら知らなかったトレイシーは「20分も観ないうちに、彼がなんのことを言っていたのか理解しました。2003年製作のこの韓国映画には、いまの英米というコンテキストにおもしろく置き換えることができる要素がありました」と振り返る。そしてトレイシーはコロナ禍のロックダウン期間中にオリジナルの骨組みを活かしながら、大胆な解釈でアレンジした脚本を、わずか3週間で書き上げた。

「外出制限がかけられていて、僕はブルックリンにある小さなアパートで気が狂いそうになっていました。脚本を書き上げたあとは、あまり分析しすぎないようにしたけれど、当時のあの雰囲気のおかげでこの脚本が完成したのだと思っています。狭いところに閉じ込められたような感覚が役に立ちました。ああいった環境でなければ書けなかったと思うぐらいです」。

ヨルゴス・ランティモス監督とアリ・アスターがタッグ!『ブゴニア』はどのように生まれた? [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.
ヨルゴス・ランティモス監督とアリ・アスターがタッグ!『ブゴニア』はどのように生まれた? [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

オリジナルからもっとも大きく改変されたのは物語の視点だ。『地球を守れ!』では誘拐犯を主人公に、その狂気が物語を展開させていったのに対し、『ブゴニア』では誘拐される側であるストーン演じるカリスマ経営者のミシェルを主人公にしたストーリーを構築。誘拐される側の性別が変わっている点も、2000年代前半の韓国と現代の英米の社会の違いを取り入れたものといえよう。

そして、従来の映画表現を超越した独自の映像センスで世界中を圧倒してきたランティモスが監督として迎え入れられる。その手腕についてアスターは「非常に独特なスタイルがあるヨルゴスならば、この物語にピッタリな斬新なビジュアルとトーンを見つけてくれるとわかっていました。脚本の段階ですでに新しい解釈になっていたが、さらに新しい解釈になる。そう確信していました」と、絶大な信頼を寄せる。

第83回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)など3部門にノミネート [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.
第83回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)など3部門にノミネート [c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

世界の映画界をリードする2人の鬼才と、2度のアカデミー賞主演女優賞に輝くトップ俳優、そして映画史を塗り替えた製作チームの強力なタッグによって、『地球を守れ!』がどんな作品に生まれ変わっているのか。オリジナルを凌ぐ唯一無二の映画体験を、是非とも劇場で味わってほしい。

文/久保田 和馬

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