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“蒸発者”をモチーフとしたドキュメンタリー映画『蒸発』3.14公開決定 アンドレアス・ハートマン監督&森あらた監督からコメントも到着

  • 2026.1.16
映画『蒸発』ポスター (C)2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM width=
映画『蒸発』ポスター (C)2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM

日本の蒸発者やその背景に迫り、40以上の国際映画祭で絶賛されたドキュメンタリー映画『蒸発』が、3月14日より公開されることが決定。予告編、ポスタービジュアル、アンドレアス・ハートマン監督&森あらた監督からのコメントが解禁された。

【動画】日本の蒸発者を捉えた映画『蒸発』予告

日本では毎年、約8万人が失踪。その多くは帰宅するが、数千人は完全に姿を消してしまう。彼らは「蒸発者」と呼ばれ、その理由は、人間関係のトラブル、借金苦、ヤクザからの脅迫など、さまざま。いわゆる「夜逃げ屋」の支援を受ける者もいる。すべてのしがらみを捨て、どこか別の場所で、新しい生活を始める。深い喪失や挫折と、人生をゼロからやり直す希望が交差する。そんな「蒸発」は、これまでも優れた文学や映画のモチーフになってきた。

映画『蒸発』は、日本の蒸発という現象に迫ったドキュメンタリー。ドイツ人映画作家のアンドレアス・ハートマンと、ベルリンと東京を拠点に活動する映像作家の森あらたとのコラボレーションによって生まれた。知られざる「夜逃げ屋」の仕事や、失踪者と残された人々の心の葛藤と和解の道のりを、没入感のある映像で描く。

コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭で上映された際は連日超満員を記録し、ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭では最優秀作品賞を受賞。40以上もの国際映画祭で注目を集め、ドイツ国内の50館以上のアートハウスで上映され話題を呼んだ映画が、ついに撮影地の日本で劇場公開される。なお本作では、出演者たちの身元を保護する目的で、AI技術を用い一部の顔や音声を加工している。

予告編は、「まともになりたい。普通の生活がしたい」と語る男性や、夜逃げ屋に住むところを貸してもらいながら働く女性、会社経営がうまくいかず自身を「一族の恥」だと思ってしまったと語る男性、夜逃げ屋を経営する女性、名前が偽名でも持ち物がなくても生活できる都会の一角で生きる人々が次々と映し出されていく。

合間には「圧倒的な没入感」(スクリーン・デイリー)、「“自ら姿を消した人々”をめぐる胸を打つ記録」(ザ・ガーディアン)というメディアからの絶賛評が挟み込まれ、最後は「本当に生きている、という確証がもてれば」という残された人の言葉、埠頭(ふとう)の風景、神社で祈る人の姿で締めくくられている。

ポスタービジュアルは、車が行き交う都会の道路の真ん中に佇む、スーツ姿の男性の後ろ姿が描かれたもの。横には「日本では毎年約8万人が失踪し、そのうち数千人が完全に消える――」というコピーが添えられている。

アンドレアス・ハートマン監督は「外国人である私の視点と、長年日本を離れて暮らしてきた共同監督・森あらた氏の視点が重なり合うことで、日本社会の中ではしばしば見えにくい『隠された世界』への扉が開かれました。本作は、日本特有の社会現象を記録するにとどまらず、人間の心理に迫る普遍的な試みでもあります。この作品が、社会的規範、家族や職業といった日本社会の構造について、判断や非難を加えることなく、注意深く、そして敬意をもって考えるきっかけとなることを願っています」とコメント。

森あらた監督は「『蒸発』は広く知られながらも、日本社会の暗黙のタブーです。本作では、複雑で周縁的でありながら同時にどこにでも存在する、目に見えないブラックホールのような世界を描いています。そこで私たちが気づいたのは、蒸発者が新たな地で探しているのは、自由や安全だけでなく『自分自身』だということです。この記録が、皆さんの心に秘めた物語とどこかで重なることを願っています」と語っている。

映画『蒸発』は、3月14日よりユーロスペースほか全国順次公開。

※監督のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■アンドレアス・ハートマン(監督)

10年ほど前、日本滞在中に「蒸発」という現象、そして人生をやり直す手助けをする「夜逃げ屋」の存在を知りました。自らの意思で姿を消すという選択の裏にある、深い喪失感と可能性に強く惹かれました。

外国人である私の視点と、長年日本を離れて暮らしてきた共同監督・森あらた氏の視点が重なり合うことで、日本社会の中ではしばしば見えにくい「隠された世界」への扉が開かれました。本作は、日本特有の社会現象を記録するにとどまらず、人間の心理に迫る普遍的な試みでもあります。私たちはあえてセンセーショナルな表現を避け、人々の声に静かに耳を傾ける姿勢で制作に臨みました。

この作品が、社会的規範、家族や職業といった日本社会の構造について、判断や非難を加えることなく、注意深く、そして敬意をもって考えるきっかけとなることを願っています。

■森あらた(監督)

人生の半分を欧州で暮らしてきた私にとって、生まれ育った日本は半ば遠い国でした。しかし本作を通じ、この国の新たな側面、そして日本人としての自分自身を再発見することができました。

「蒸発」は広く知られながらも、日本社会の暗黙のタブーです。制作を通して驚かされたのは、この言葉にまつわる個人的な物語を、一見普通の人々が誰もが一つは抱えているという事実でした。本作では、複雑で周縁的でありながら同時にどこにでも存在する、目に見えないブラックホールのような世界を描いています。そこで私たちが気づいたのは、蒸発者が新たな地で探しているのは、自由や安全だけでなく「自分自身」だということです。

世界各地で上映されてきた本作が、ついに日本で配給されることを光栄に思います。この記録が、皆さんの心に秘めた物語とどこかで重なることを願っています。

映画『蒸発』予告編

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