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「お金の使い方も、この数年で大きく変わった」AAA・與真司郎が「旅は未来への投資」と考えるわけ

  • 2026.1.16

世界を歩きながら、自分の輪郭を確かめてきたアーティストの與真司郎さん。彼が大切にしているのは、理由を並べることより、まず動くこと。知らない街を歩き、人に聞き、自分で決める――旅はその姿勢を、自然と教えてくれる。

(與さん提供)

◆◆◆

「忙しいから」「お金がないから」

旅に行かない理由は、いくらでも思いつく。正直、僕自身もそうだった時期がある。けれど今は、はっきりと思う。動かなければ、何も始まらない、と。

海外に行くと、僕はよく歩く。一日2万歩、2万5千歩はざらだ。タクシーやUberは極力使わず、出先からは歩いてホテルまで戻る。知らない街を、ただ歩く。その時間が、僕は好きだ。

(與さん提供)

お金の使い方にも変化が

お金の使い方も、この数年で大きく変わった。きっかけの一つは、ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)だった。この本を読んで、お金の「貯め方」ではなく、「どう使い切るか」という視点を持つようになってから、旅との向き合い方も変わった。

さらに影響を受けたのが、アメリカでの生活だ。周りの人たちは、驚くほど「未来の自分」にお金を使っていた。体調管理、スキンケア、運動、学び、経験。一瞬の贅沢ではなく、数年後、数十年後の自分がハッピーでいるための投資。それが当たり前の価値観としてあった。

若い頃の僕は、今とは違った。ハイブランドの服やバッグを、そこまで欲しくもないのに無理して買っていた。それは働くためのモチベーションでもあり、同時に承認欲求の表れだったと思う。「これを持っていれば評価される」「自分には価値がある」と、どこかで証明したかった。

今は、靴は5年以上、バッグも10年以上は使っている。その分、旅行や新しい経験、人との出会いには惜しまずお金を使う。今あるお金は、10年後の自分に投資するためのもの。そう考えるようになった。

旅先では、できるだけ現地の人に聞く。台湾では英語が話せるタクシー運転手にナイトマーケットのことをいろいろを教えてもらった。レストランについても「ここ、めっちゃいいよ」とローカル情報を教えてもらう。ツーリスト向けの店は高いわりに口に合わないことが多いし、やっぱり、現地の人がいちばんのガイドブックだ。

ひとり旅も多い。怖さがないわけではないが、ひとりだからこその自由がある。お腹が空いたら食べ、眠くなったら寝る。誰にも合わせなくていい。歩きながら音楽を聴いていると、自然と思考が巡る。無理に内省しなくても、旅は勝手にそういう時間をくれるのだ。トラブルが起きても「自分の選択だった」と受け止められる。そのほうが楽だし、確実に自分の成長につながっている気がする。

(與さん提供)

多様性を感じられる街が好き

好きな街はいくつかある。

シドニーは、街とビーチのバランスが抜群だ。無理をせず自然体でいられるし、昼も夜も楽しめる。アジア人も多く、ダイバーシティに溢れている。ご飯もヘルシー志向で、過ごしやすい街だ。

ニューヨークは、歩いているだけで楽しい。タイムズスクエアは地元の人は行かないと言われているけど、僕は必ず足を運ぶ。夜に行くと、まるで映画の中に入り込んだような気分になる。駅ごとに街の顔が違い、ファッションも食も流行のスピードが速い。電車での移動も含めて、歩き回るからこそ見える景色がある。

(與さん提供)

ロンドンは、今、いちばん住みたい街だ。とにかくダイバーシティに溢れ、誰も他人をジャッジしない。「ロンドンはご飯がおいしくない」と言われがちだけど、それはローカルを知らないだけだと思う。タイやベトナム、インド料理など、食を楽しめる店が意外と多い。街の安心感と食の楽しさ、その両方が味わえる。

バルセロナは、サイズ感がちょうどいい。街がコンパクトで、歩いて回れるし、海もあって、ご飯もおいしい。サグラダ・ファミリアは、これまで見た建築物の中でも別格だった。美術館や教会に詳しくない僕でも、圧倒された。

タイ、特にバンコクは何度行っても好きになる街だ。人が優しく、食べ物が圧倒的においしい。パパイヤサラダ、グリーンカレー、マンゴースティッキーライス。モールのフードコートでも、千円ほどで十分満足できる。ホテルも移動もリーズナブルだ。

マヨルカ島は、人の好さが印象に残っている。損得勘定抜きで助けてくれる人が多い。南国に行くとホッとするのは、屋久島出身の母の影響かもしれない。

(與さん提供)

まずは一歩を踏み出すこと

旅をするたびに、自分が更新されていく感覚がある。興味がなかった場所を好きになり、価値観が少しずつ変わっていく。行動したからこそ見える景色があるのだ。

「やりたいことがわからない」「時間がない」「お金がない」と感じている人にこそ伝えたい。完璧な準備はいらない。考えすぎると、人はやらない理由を探してしまう。まず動く。一歩を踏み出すこと。その一歩が、次の景色と新しい自分に出会う扉を開く。

人生は一度きりだ。動かなければ、何も始まらない。

旅は僕に「自分らしさ」を取り戻させてくれた。今しかできないことに、お金と時間を使う。その選択を、これからも続けていきたい。行きたい場所があるなら、理由を探す前に、まず歩き出してほしい。動いた先にしか、出会えない景色があるのだから。

旅は未来の自分への投資――人生を豊かにしてくれる旅の価値は計り知れない。

與真司郎(あたえ・しんじろう)

1988年、京都府生まれ。14歳のときにエイベックスに入り、2005年に結成した男女混合のパフォーマンスグループ「AAA(トリプル・エー)」のメンバーとしてデビュー。2016年、ソロ活動開始と同時にロサンゼルスに移住。大学に通いながら約9年間を過ごす。2021年、AAA初となる6大ドームツアーを終えたタイミングでグループは活動休止に。2023年7月、「與真司郎 announcement」にて、自身がゲイであることを公表。著書に『すべての生き方は正解で不正解』『人生そんなもん』(ともに講談社)がある。

文=大嶋律子
写真=與真司郎

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