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「早くして!」と怒鳴った息子の腕は、折れていた。言葉で伝えられない障害の息子。母の『後悔』と『誓い』

  • 2026.1.19

筆者の体験談です。重度知的障害がある長男の「いつもと違う」サインを見逃し、痛みで苦しむ彼を怒ってしまった朝。「骨折」が判明した時の私の後悔と自責の念。その経験が「怒ること」から「寄り添うこと」への大きな転換点となりました。

画像: 「早くして!」と怒鳴った息子の腕は、折れていた。言葉で伝えられない障害の息子。母の『後悔』と『誓い』

長男の異変

朝のバタバタした時間。

重度知的障害がある20歳の長男が、いつもはスムーズに着るジャンパーに手こずっていました。

次男のスクールバスの時刻が迫っていた私は、余裕をなくし「早くして!」とつい強い言葉で急がせてしまいました。

しかし、何かがおかしいのです。長男の表情がいつもと違います。

よく見ると、右腕を上げる時に顔をしかめていました。

「痛いの?」と聞いても、意思疎通が難しい長男は、ただ痛みをこらえるように顔をしかめるのみです。

昨日も今朝も兄弟で激しく喧嘩していたので、「もしかしてどこか痛めたのかも」という不安がよぎりました。

念のため整形外科に連れて行くことにしましたが、この時はまさかこんな大事になるとは思ってもみませんでした。

骨折の診断

病院に到着し、レントゲンを撮ることになりました。

長男がレントゲン室から出てきたので上着を着せようとすると、技師さんが慌てた様子で
「骨が折れているから、上着は今は着せない方が良いかも」と言いました。

「骨折? 脱臼じゃなくて、骨折?」

頭が真っ白になりました。

診察室に入り、医師から説明を受けました。

「右腕の上腕骨が折れています。今のところは圧迫固定して自然に癒合するのを待ちますが、もし固定している状態が耐えられずに腕を動かしてしまうと、ズレを抑えるためにボルトを入れる手術が必要になります」

「手術」という言葉に、私は動揺しました。長男は痛みや不安を言葉で伝えられません。

どうやって「手術」というものを説明すればいいのでしょうか。

そして何よりも長男が痛みで苦しんでいたのに、私は焦りから怒ってしまったのです。

その自責の念が胸を締め付けました。

試練の日々と変化の兆し

処置が始まり、長男は激しく抵抗しました。

腕と胸に巻かれたバンテージや三角巾を、すぐに外してしまいます。

医師も看護師さん3人も、私も途方に暮れました。

「外さないでね」「じっとしていてね」と言っても、状況が理解できずパニックを起こしています。

何とかバンテージを巻いて帰宅しましたが、そこから試練の日々が始まりました。

体格は立派な大人になった長男ですが、理解や感情の表れ方は幼い子供のように純粋です。

痛みと不安で、いつも以上に私に甘えてきます。
仕事をしようとしても邪魔をされ、家事もままなりません。

ついイライラして「もう! ダメでしょ!」と怒ってしまった瞬間、長男の目に涙が浮かびました。

悲しそうな、寂しそうな表情です。その顔を見て、私はハッとしました。

長男は今、一番不安で辛いのに、私はまた怒ってしまった……。

その夜、私は深く反省し「怒る」のではなく、「寄り添う」ことを最優先にしようと決めました。

寄り添いと学び

私は長男が甘えてきたら、仕事の手を止めて抱きしめることにしました。

「痛かったね、頑張ってるね」と何度も声をかけます。

バンテージを外そうとしたら「これがあると早く治るよ」と説明し、一緒に好きなアニメを見て気を紛らわせました。

すると長男は少しずつ落ち着いてきました。

完全ではありませんが、固定を受け入れる時間が増えていったのです。

2週間後の診察。

医師から「よく頑張りましたね。順調に癒合していますよ」と言われました。

手術を回避することができ、私は心からホッとしました。

この経験で学んだこと

障害のある本人は、痛みや不調を言葉で伝えるのが難しいことが多いです。

だからこそ、親が「いつもと違う」サインを見逃さないことが何より大切なのです。
子どもが一番辛い時に必要なのは、「叱責」ではなく「安心感」です。

あの朝、怒ってしまったことを今でも悔やんでいます。

でも、その後悔があったからこそ、私は接し方を変えることができました。

長男の骨折は無事に治癒し、スムーズにジャンパーに手を通すことができます。

長男の悲しそうな顔を、二度と見たくありません。

これからは、もっと寄り添える母親でありたいと心から思います。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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