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新感覚の青春ホラー『とれ!』人気動画クリエイターのコウイチ監督と主演の中島瑠菜が語る、撮影の裏側「同じことをやり続ければ、大きな力になる」

  • 2026.1.15

登録者数89万人を超える人気YouTubeチャンネル「kouichitv」。チャンネルを運営するコウイチが監督&脚本を務めた映画『とれ!』が、1月16日(金)よりスクリーンに登場する。心霊動画で一攫千金を狙う高校生が、とうとう“本物”を映してしまい、さらには“神様”も巻き込んだ騒動を引き起こしていく様を描く本作。コウイチ監督が唯一無二の発想力やコミカルな持ち味を存分に発揮し、恐ろしいホラーでありつつ、とびきり爽やかな、新感覚の青春ホラー映画を誕生させた。今回、YouTubeの動画クリエイターとして日本で初めて長編映画の監督&脚本を務めたコウイチと、本作で長編映画単独初主演を飾った中島瑠菜を直撃。新境地に挑んだ心境をはじめ、映画づくりを通して味わった充実感や今後の展望を語ってもらった。

【写真を見る】『とれ!』コウイチ監督と中島瑠菜のとびきりの笑顔を撮り下ろし!

「状況そのものが恐ろしいホラーでありつつ、主人公の成長物語をしっかりと描きたかった」(コウイチ)

神様+心霊=新感覚の青春ホラー映画『とれ!』は1月16日(金)公開 [c]2025 「とれ!」製作委員会
神様+心霊=新感覚の青春ホラー映画『とれ!』は1月16日(金)公開 [c]2025 「とれ!」製作委員会

主人公は、高校3年生の美咲(中島)。母子家庭で親に負担をかけたくない美咲は、進学せず、地元で就職しようとバイトをしながら高校生活を送っていた。親友の皐月(まいきち)は親の希望で大学進学を目指しているが、日々SNSの投稿に夢中。そんなある日、美咲が撮ったVlogに霊のようなものが偶然写り、投稿動画は瞬く間にバズっていく。バズりを求めて調子に乗った2人の撮影はエスカレートし、地元で噂の廃墟に潜入。とうとう本物を映してしまう。さらに廃墟撮影の道中で地蔵を拝んだ美咲は、和装でお面のような顔の“神様”につきまとわれてしまい、未知なる世界へと足を踏み入れていく…。

――オリジナル作品で、劇場長編映画監督デビューを果たしたコウイチ監督。どのような意気込みで本作に臨みましたか。

コウイチ「高校時代から映画監督になることを夢見ていたので、いつか長編映画を撮ることになるだろうと思ってはいたんですが、想像以上に早くお話をいただけて。自分には実力不足なのではないかと感じる部分もありながら、どんどんやっていかなければ力は付かないぞと思い、『頑張るぞー!』と気合を入れて臨みました。企画の成り立ちとしては、以前僕が作った『消えない』という短編映画をきっかけに『ホラーで長編映画に挑戦しませんか』とお話をいただいて。いくつかアイデアを出していくうえで一貫してやりたいと思っていたのは、神様など次元が一つ上の異様な存在に人間がつきまとわれるという、状況そのものが恐ろしいホラーでありつつ、主人公の成長物語をしっかりと描くことです」

――中島さんはホラー映画で主演というオファーが届き、「怖いな」と感じることはありましたか?

中島「ものすごくうれしかったですし、自分が経験したことのないジャンルの映画なので『ワクワクするな』と撮影が楽しみになりました。美咲と皐月は廃墟を訪れることになるので、最初は『本当に怖いところに行くのかな、どこに行くんだろう…』という不安もありましたが、撮影場所に行ってみると、本物の廃墟で、暗くはありましたが、怖い雰囲気はなかったので、全然大丈夫でした」

さらなる刺激を求め、地元で噂の廃墟に潜入する美咲と皐月。おどろおどろしい雰囲気に震える! [c]2025 「とれ!」製作委員会
さらなる刺激を求め、地元で噂の廃墟に潜入する美咲と皐月。おどろおどろしい雰囲気に震える! [c]2025 「とれ!」製作委員会

――「kouichitv」を観ていると、コウイチ監督が女子高生を主人公にしたことを意外に感じる人もいるかもしれません。主人公を女子高生にした経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

コウイチ「YouTubeではいつも自分が出演をしているので、今回は自分ではできないようなキャラクターを登場させたいなと思っていました。また脚本に取り掛かっていた当時、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を読んでいて、こういうのもやりたいなと。高校生の女の子2人がとにかく雑談を重ねて、会話劇を繰り広げていくような話をやりたいなという想いが発端になりました」

美咲&皐月による、楽しくみずみずしいやり取りに注目! [c]2025 「とれ!」製作委員会
美咲&皐月による、楽しくみずみずしいやり取りに注目! [c]2025 「とれ!」製作委員会

――美咲と皐月のやり取りがとてもみずみずしく、等身大の躍動感や輝きを感じられます。中島さんは、美咲に共感する部分はありましたか?

中島「撮影時は私も高校3年生で、進路に悩む時期に美咲役を演じさせていただいて。まさに、ドンピシャのタイミングでした。美咲には『まだ学生をやっていたいな』という想いがあり、『将来、どのような職業に就くにしても大学に行っておいたほうが選択肢も増えるのではないか』と想いを巡らせていきますが、私自身、進路はどうしようかな、現実を見なければいけないな…と考えていたころで。だから、美咲の悩みは私の悩みでもありました。美咲は私にとって、“ザ・等身大”の役だと感じています」

「なかなか出会えないような役に、出会わせていただきました」(中島)

――コウイチ監督の作品は、怖さとおもしろさ、緊張感と笑いが同居する点が大きな魅力です。本作でも高校生が霊や神様に遭遇するという状況が、絶妙なバランスで描かれています。

コウイチ「軸となったのは、怖すぎないホラーであり、10代の方に楽しんでもらえるホラーにしたいという想いです。“神様がずっと憑いている”という異様な状況を、感情移入しやすい美咲というキャラクターを通して感じてもらいたいなと。それでいてホラーとしてのノルマもクリアしたいなと思っていたので、皐月に取り憑くサラリーマンの霊を登場させています。ひとつの作品で2体、まったく別物の怪異が同時進行で動いていく。そのなかでは、美咲と皐月の家庭の違いも表現しています。美咲の家はお金がないけれど、母親と仲良く過ごしている。一方、皐月の家にはお金はあるけれど、親は兄に目を向けていて、あまり娘のことを見ていないんですね」

【写真を見る】『とれ!』コウイチ監督と中島瑠菜のとびきりの笑顔を撮り下ろし! 撮影/河内彩
【写真を見る】『とれ!』コウイチ監督と中島瑠菜のとびきりの笑顔を撮り下ろし! 撮影/河内彩

――高校生が心霊動画の投稿や神様にストーカーされる経験を通して、自分の足元や未来を見つめていく。改めて、よくこんなおもしろい話を思いつくなと驚きます。

コウイチ「『観てくれる人に楽しんでもらうためにはどうしたらいいか』『ちゃんとエンタメにしよう』ということを心がけて脚本を作りました。霊や神様を退治するという考え方ではなく、あくまで美咲と皐月の問題を解決する話にすることを軸に置いたので、あまり観たことがないようなホラーにできたのかなと感じています」

――中島さんにとっても、神様に取り憑かれる高校生という、なかなか出会えないような役になりましたね。

中島「なかなか出会えないような役に出会わせていただきました。撮影時も最初は、お面を付けた神様がずっと隣にいることに違和感があったんですが、撮影が進んでいくにつれて『いるものだ』とその状況に慣れてきて。監督も、『美咲としてもそうやって慣れていくのがリアルだ』というお話をされていました。撮影の合間には、神様とも普通にお話をしていました(笑)」

期待の新星・中島瑠菜が、長編映画単独初主演を飾った 撮影/河内彩
期待の新星・中島瑠菜が、長編映画単独初主演を飾った 撮影/河内彩

――インパクトあふれる神様のビジュアルは、どのように決めていったのでしょうか。

コウイチ「最初はシンプルな和装にお面だけ付けてもらおうと思っていたのですが、衣装合わせで試しに茶髪のウィッグを被ってもらったら、これがすごくおもしろくて。アリだなと(笑)。また“お面を付けている”という感じがはっきりと出てしまうと観ている方が冷めてしまうなと思ったので、それを隠す意味でもウィッグが助けになりました。“神様が進化していく”という展開をやってみたいという想いもあり、取り込んだものを吸収してどんどん成長していく化け物じみた感じを出したいなと、いろいろとアイデアを練っていきました」

「バズって得られる金額も、リアルな数字が出せたかなと(笑)」(コウイチ)

――中島さんは、コウイチ監督とご一緒してどのような印象を持ちましたか?

中島「役作りに関しては私や皐月役のまいきちちゃんに任せてくださった部分もあり、自由に動かせていただいたなと思っています。監督は、とにかくやさしくて。いつも噛み砕いてわかりやすく伝えてくださるので、本当に助かりました。まいきちちゃんも大変なシーンが多かったと思いますが、丁寧にゆっくりと撮影していただき、現場自体もとてもアットホームな雰囲気でした。コウイチ監督はYouTubeでいつも出る側もやられているからか、演者の立場や気持ちについてもものすごく汲み取ってくださる。監督との距離が近く、お話ししやすい現場だったなと感じています」

美咲は、和装でお面のような顔の“神様”につきまとわれる [c]2025 「とれ!」製作委員会
美咲は、和装でお面のような顔の“神様”につきまとわれる [c]2025 「とれ!」製作委員会

――高校生のころから動画クリエイターをやってきたことが長編映画の監督をするうえで活きたと思うことや、ご自身の強みだと感じていることはどのようなことでしょうか。

コウイチ「“バズる”という状況は僕自身も体験してきたことでもあるので、脚本を書く際にもリアリティを持って描けたと思っています。バズって得られる金額も、リアルな数字が出せたかなと。『こんなにもらえないだろう』とツッコミが入ったとしても、『いやいやいや』と実感を持って答えられます(笑)。また役者さんへの演出においては、自分自身もYouTubeで演じる側をやってきているので、それを武器にわかりやすく伝えることができていたのかなと…。できていたらいいなと思います」

――たくさんの人が集まって挑む映画制作を通して、新たな発見や醍醐味を味わったことがあれば教えてください。

コウイチ「YouTubeでは、基本的に1人でカメラを置いて、録画ボタンを押して撮影をするだけ。一方、映画ではアングルを変えるたびにセッティングをして、それを繰り返していくという本当に地道な作業だなと思いました。そんななかでカメラマンさんがアングルについて提案をしてくれて助けられたり、また芝居の解釈においては人それぞれ違うものがあったりと、そういった部分もすごく興味深くて。文化祭のような熱気と言いますか、1本の映画を撮るという同じ目標に向かって、ものすごい人数が動いているという状況がとてもおもしろかったです。僕は映画って、主演や監督のものだというイメージがあったんですが、みんなで作り上げるものなんだということを痛感しました。ただそこですべての責任を負うのは、監督。みんなで作って、みんなのものだけれど、責任は監督が負う必要があるなと感じています」

撮影中にカマキリを見つけて喜ぶ無邪気な一面を見せてくれたコウイチ監督 撮影/河内彩
撮影中にカマキリを見つけて喜ぶ無邪気な一面を見せてくれたコウイチ監督 撮影/河内彩

中島「私もみんなで一つの方向に進んでいる時はとても楽しいですし、1人ではできないことをやらせてもらっているなと思うと、ありがたいと同時に、幸せだな、恵まれているなとうれしくなります。本作の終盤で、皐月ちゃんが太鼓をドンドコと叩いている除霊シーンがあります。私はそのシーンを外から見ていたんですが、キャストの皆さんだけでなく、スタッフさんもものすごく楽しそうに臨んでいて、カットがかかるとみんなで笑顔になって。ものすごい一体感を覚えて、この楽しさやおもしろさは、映画を観ている方にも伝わるんじゃないかなと思いました」

コウイチ「ものすごく笑えるシーンですよね。太鼓の音が鳴り響くなかで霊能者の浅野が激しく動いて、霊に取り憑かれたおじさんの背中をぶっ叩いて(笑)。浅野役の和田雅成さんには、事前に織田無道さんの除霊動画を観てもらったんです。和田さんは、声が枯れるくらい全力でやってくれました。やはりああいうシーンでも、まじめにやればやるほどおもしろくなるものなんだなと感じました」

霊能者、浅野斗真役を和田雅成が演じる [c]2025 「とれ!」製作委員会
霊能者、浅野斗真役を和田雅成が演じる [c]2025 「とれ!」製作委員会

――「kouichitv」もシュールな世界観が人気ですが、笑いを巻き起こす秘訣は「まじめにやること」にあるのでしょうか。

コウイチ「そうですね。『これ、おもしろいでしょう?』とやらないこと。『ここは笑わせに来ている』という思惑を隠すと、シュールな笑いが生まれるのではないかなと。いやらしさを消すのが大事かなと感じています。僕は基本的に、動画にはツッコミを用意しないようにしていて。自分で自分にツッコむと寒くなってしまうような気がするので、作り手としてはツッコまず、皆さんに自由に笑ってもらうのがいいのかなと思っています」

「撮影が終わる時にも、自然と感慨深い気持ちになっていました」(中島)

――本作を撮りあげ、これから取り組んでいきたい方向が見えて来たことはありますか。

コウイチ「無駄な雑談など、会話劇が好きなんだなと思いました。もっと会話劇を作ってみたいという想いもありますし、怖さに特化したホラーもやってみたい。また青春ものに振り切って、文化祭の1日を切り取った映画も撮ってみたいですね。いろいろとやりたいものはありますが、まだ監督としては若いほうなので、まずはちゃんと売れるものを作りたいです。そこから、マニアックなものも作れるような監督になれたらすごくうれしいです」

中島瑠菜は、演じた美咲から「背中を押された」と話した [c]2025 「とれ!」製作委員会
中島瑠菜は、演じた美咲から「背中を押された」と話した [c]2025 「とれ!」製作委員会

――等身大の役柄で単独主演を務めた中島さんにとって、本作はどのような作品になりましたか?

中島「私が現役でできる、最後の高校生役です。高校生活が終わるという節目を美咲と一緒に経験できたことは、とても大切な思い出になりました。進路を決める時期に出会った作品ですが、前向きに進んでいく美咲ちゃんから、私自身、背中を押された部分もあります。きっと思い出すことが多い作品だろうなと、撮影が終わる時にも自然と感慨深い気持ちになっていました」

――コウイチ監督は動画クリエイターとしての活動が、スクリーンで上映される長編映画の監督業につながりました。どのように歩んできた結果、いまがあると感じていますか。

コウイチ「同じことをずっとやり続けていると、大きな力になるものなんだなと感じています。YouTubeを始めて13年が経ちましたが、たくさんの人に観てもらえるようになったのは本当にここ数年の話で、自分としてはなにかすごいことをやっているという感覚はなくて。今回の映画についても、お話をいただいたことに対してきちんとやり遂げようという想いで進んできたので、すべては目の前のものにコツコツと取り組んできた結果かなと思っています。予告編を公開してからは、地元の友だちや親戚からも『映画を撮ったのか』と連絡が来たりして、気付いたらすごいことになってきたぞと。これからもっと『とれ!』がたくさんの劇場で観てもらえるように広まって、家族や友だちにも『僕も頑張っているよ』と伝えられるような映画になったらとてもうれしいです」

――ホラー映画の撮影では、恐ろしい現象が起きることもあると伺います。本作の撮影現場はいかがでしたか?

コウイチ「皐月の家のシーンで、そこにいるはずのない女性の声が入っていたんですよ。仕上げの際にスタッフさんが消去しているので、本編には入っていませんが…。あと、まいきちさんと和田さんは霊感が強いらしく、喫茶店のシーンで『キッチンのほうになにかいる、なにか感じる』みたいな話をしていましたね。僕はそのあたりに待機していたので、怖かったです!あと霊的なものかはわかりませんが、終盤で和田さん演じる霊能者が除霊をするシーンで『それだ!』と声を上げる場面で、ノイズが入っています。それは編集で追加したものではなく、テープに入っていたノイズを活かそうということでそのまま使用しています」

恐ろしいものがいた(?)という噂の喫茶店のシーンにはコウイチ監督も出演しているので必見! [c]2025 「とれ!」製作委員会
恐ろしいものがいた(?)という噂の喫茶店のシーンにはコウイチ監督も出演しているので必見! [c]2025 「とれ!」製作委員会

中島「たしかにまいきちちゃんは、『ここは大丈夫だよ』『ここはヤバいかも』とよく話していました。実はいろいろとあったんですね…。そんななかでも撮影は幸せに、楽しくやらせていただきました!」

取材・文/成田おり枝

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