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ひとりぼっちの少年と化け猫との間に家族の絆は結ばれるのか? 人と怪異の心のふれあいを描いた異色の怪異譚『怪異さんと俺』【書評】

  • 2026.1.13

【漫画】本編を読む

『怪異さんと俺』(ふに・無9/KADOKAWA)は、SNSで人気を集めて書籍化された作品。怪異が見える体質ゆえに孤独を抱えている少年と、怪異たちとの触れ合いを描いた、ジャンルに収まらない痛みと温かさをあわせ持っている物語だ。

第2巻である『怪異さんと俺《弐》』では、両親を亡くし、引き取られた先でも孤独を抱える少年が、猫の怪異であるミコと出会うところから始まる。怪異と話せる特殊能力のせいでいつも独り言ばかり言っているように見える少年は、引き取り先の叔母にも理解されず、疎ましく思われながら日々を過ごしていた。そんな彼をミコはありのまま受け入れ、孤独な少年の心の隙間に少しずつ寄り添っていく――。

物語は少年とミコの出会いと別れを軸に展開していくが、その間に少年が出会う怪異たちとの関係も見逃せない。もちろんホラー的な要素もあるが、その怖さは怪異という存在そのものよりも、彼らの抱える孤独や、見捨てられる不安にある。「見えることで」孤独だった人間と「見えないことで」孤独だった怪異。お互いを「孤独や痛みを抱えたもうひとりの他者」として描いている点で、怪談や怪異譚という枠組みを超えているところが非常に巧みだ。さらに、本作における怪異はむしろ、不器用でどこか愛おしい存在にも見えるのが微笑ましい。

物語終盤は本作の核心へと迫っていく。互いの存在を必要とする少年とミコとの関係は、人間と怪異、そして血のつながりを超えた「家族としての絆」に昇華するのか……。血縁関係や社会的な枠組みにとらわれず、互いに支え合う関係が「家族」であるという視点は、現代の多様な家族像を肯定するメッセージとしても響く。

第1巻から通して描かれる人と怪異との交流には、怖さとぬくもりが常に同居する。異質な存在との出会いが時に孤独を和らげ、人生に小さな明かりを灯すこともある。そんな優しい真実をそっと示してくれるのだ。

文=練馬麟

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