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家賃3万円台の「アフォーダブル住宅」が人気拡大中…東京都も2026年度から本格始動、全国展開の企業に“現場の声”を聞いた

  • 2026.1.13

都市部を中心に家賃の高騰が止まらない昨今。「給料は上がらないのに、家賃だけがどんどん上がっていく」「都心ではワンルームすら手が届かない」——そんな声が、若者から子育て世帯、さらには外国人労働者まで広がっている。

住まいは“生活の基盤”であるにもかかわらず、今、日本では「安心して住める家」を家賃や初期費用の負担などで、借りたくても借りられない層が急増しているのが現状。とはいえ、公営住宅は抽選倍率が高く、入居まで時間がかかる。では、誰がこの住宅難を支えるのか。その解決策のひとつとして注目されているのが「アフォーダブル住宅」だ。東京都でも2026年度以降、順次、アフォーダブル住宅の供給を開始していく方針だとか。

そこで今回は、全国でアフォーダブル住宅を展開するビレッジハウス・マネジメント株式会社(以下、ビレッジハウス)の代表取締役社長兼CEOであり、フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社マネージング・ディレクターの岩元龍彦さんに、アフォーダブル住宅の現状と今後の展望を聞いた。

近年徐々に入居者が増えている「アフォーダブル住宅」とは? 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
近年徐々に入居者が増えている「アフォーダブル住宅」とは? 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

家賃を抑えながら安全・快適性はどう守る?

ビレッジハウスは、全国47都道府県で1064物件・10万室以上を運営している。築50年前後の鉄筋コンクリート造団地を中心に取得し、既存の建物を有効活用し長く使用することで家賃を抑えているのだそう。

ビレッジハウス・マネジメントの岩元さんに詳しく話を聞いた 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
ビレッジハウス・マネジメントの岩元さんに詳しく話を聞いた 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

「日本は『スクラップアンドビルド』(※)で、建て替えるたびに家賃がリセットされて高くなります。建築単価も上がっているので、新築を安く出すのは難しい。だからこそ『古い建物を長く使うこと』が、弊社のビジネスモデルの前提になります」

※老朽化した建物や仕組みを一度ゼロにして壊し、最新のものへ全面的に入れ替えて再構築する手法

老朽ストックの活用は、「空き家は余っているのに、住める家が足りない」というミスマッチを埋める手段として注目されている一方、築古ゆえの耐震性や断熱性、防災面への不安もつきまとう。最低限の安全・快適性をどう確保するかは、アフォーダブル住宅共通の課題だ。

ビレッジハウスは全国の物件を直接管理。取得時点では雇用促進住宅時代の入居者退去後に長期間空室となっていた部屋も多いが、リノベーションによって「築年数は古いが、きれいで手ごろな部屋」へと転換し、入居率は現在80%超に達している。

2017年には33.6%だった稼働率が、2025年10月には83.7%まで上昇 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
2017年には33.6%だった稼働率が、2025年10月には83.7%まで上昇 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

「誰もが高い家賃を払えるわけではありませんし、中低所得者向けの住居は必要です。日本の成長には外国人労働者も欠かせません。技能実習生や特定技能の方々は増えており、社宅としても個人契約としても、家賃を抑えたいニーズがあります」

日本では、公営住宅が低所得層の受け皿になってきたが、入居条件は厳しく、人気物件は抽選になるため、実際に住める人は限られている。さらに2005年をピークに減少しており、公営住宅だけではニーズに応えきれない状況だ。

一方で、「公営住宅を減らしすぎて、低所得者の住まいを民間任せにするのは危険だ」という見方もある。民間住宅は市況によって家賃が変動しやすく、不況や金利上昇の局面では、一番弱い立場の人が住まいを失いやすくなるからだ。公的なセーフティネットをどう維持・強化しながら、民間の取り組みと組み合わせていくかが、今後の大きなテーマになっている。

手ごろな家賃水準。ビレッジハウス独自の取り組み

では、ビレッジハウスの家賃水準や入居者はどのような層なのか。同社の家賃相場は全国平均で約4万円と手ごろな家賃となっている。家賃だけを極端に下げるのではなく、周辺相場や築年数、設備を踏まえて設定しているという。

「入居者の平均年収は約335万円で、年収300万円を下回る人の契約が約6割を占めます。単身者だけでなくファミリー層もおり、外国人入居者は約2割前後(※物件・時期により変動)。エレベーターのない物件が多いため、高齢者は1割程度にとどまっています」

一般的に家賃は年収の2~3割が目安とされるなか、ビレッジハウスのアフォーダブル住宅は1割程度に抑えられている。「無理のない水準で住めることで、生活に余力が生まれ、 QOL(生活の質)向上にもつながっています」と岩元さん。

平均家賃は4万円未満と、かなり安く抑えられている 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
平均家賃は4万円未満と、かなり安く抑えられている 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

ただ、「家賃は安いが駅から遠い」「築古で設備が古い」など、アフォーダブル住宅全般については立地や快適性とのトレードオフを指摘する声もある。安さだけを重視すれば“安かろう悪かろう”になりかねず、若年層や外国人が都市周縁部に集中する“住宅の分断”を招くのではないかという懸念も消えていない。質と価格のバランスをどこまでとれるかは、アフォーダブル住宅事業者に共通して突きつけられた課題だ。

「そのなかで弊社は、敷金・礼金、仲介手数料、更新料、家賃保証会社への支払いを原則不要とし、入居時のハードルを下げています。入居希望者の負担を抑えつつ、自社で家賃滞納リスクを引き受けることで、トータルのコストを抑えるのが弊社の特徴と言えますね」

入居者の約2割が外国人。今後の課題は、外国人への対応

人口が集中する都市部では、アフォーダブル住宅の需要が高まっているが、公営住宅は満室に近く、需要過多の状況が続く。そんななか、東京都が出資し、民間企業と共同でファンドを設立して企業を支援。古い団地エリアで老朽化・高齢化により空き家が増えた物件をリノベーションし、アフォーダブル住宅として活用することは、空き家対策と住宅供給を同時に進める手段になりうる。

【画像】アフォーダブル住宅のモデルルーム。リノベすることで住みやすくしているという 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
【画像】アフォーダブル住宅のモデルルーム。リノベすることで住みやすくしているという 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

ビレッジハウス物件の入居率は83.7%(2025年10月時点)。今後は90%台まで引き上げることを目標に、中小企業の工場、食品加工会社、介護施設や病院、ホテルなど、外国人が働く現場の近くでの供給を増やしていく考えだ。外国人居住者が増えると、文化や生活習慣の違いから日本人との摩擦が生じることもある。その意味で、共生のためのコミュニケーション支援は欠かせない。

「弊社のコールセンターでは、日本語話者56名に加え、英語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・インドネシア語・ミャンマー語などに対応できる外国語話者29名を採用しています。入居時だけでなく、入居後の相談も母国語で受けられる体制を整えています」

日本人と外国人が一緒に暮らしていくための受け皿をつくることも、アフォーダブル住宅の大事な役割のひとつである。

「アフォーダブル住宅に必要な大きな機能のひとつが外国人対応です。弊社でも入居者の約2割が外国人で、今後も増えていくと見ています。その変化に対応し続けることが重要だと考えています」

外国人居住者も年々増加傾向にある 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
外国人居住者も年々増加傾向にある 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
英語だけでなく、さまざまな言語で対応できるようにサポート環境を完備 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】
英語だけでなく、さまざまな言語で対応できるようにサポート環境を完備 【画像提供=ビレッジハウス・マネジメント】

アフォーダブル住宅は、住居費に悩む中低所得者や外国人労働者を支えるセーフティネットとして期待されている。同時に、住まいだけを用意して終わりにするのではなく、行政や地域コミュニティと連携し、教育・福祉・防災も含めた生活基盤をどう整えるかが課題になっているのだとか。

古い団地を再生し、多言語サポートで外国人も受け入れているビレッジハウスの取り組みは、そうした課題に向き合うひとつの具体的なモデルケースと言えそうだ。

文=織田繭(にげば企画)、取材=西脇章太(にげば企画)

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