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【ゾッとする怖い話】自宅へ向かう夜道で感じた“違和感”【ホラー小説】

  • 2026.1.10
夜道
出典:stock.adobe.com

夜道は不思議だ。同じ道のはずなのに、時間や天候でまるで別の顔を見せる。 見慣れた帰り道だからこそ安心できる──はずなのに、その夜、思いもよらない異変を目にしてしまった。

見慣れた帰り道

残業を終え、駅から自宅へ向かう夜道を歩いていた。

8年以上住んでいるこの街は閑静な住宅街で、街灯は少ないが不安はない。
両脇の街灯と、夜更かしをしている住人の窓明かりが、いつものように俺を迎えてくれている。

「今日も同じ道だ」そう思った瞬間、数軒先の家の玄関灯がふっと消えた。
就寝時間なのだろうと気にも留めなかったが、次の角を曲がるとまた一軒、さらにその先でも一軒、明かりが次々と消えていく。

しかも家だけではない。街灯までが、遠くから手前へと順番に消えていった。

まるで何かが迫ってきているかのように。

迫る暗がり

やがて気づいた。
消えているのは明かりだけではない。住宅そのものが、闇の中で跡形もなく消えていたのだ。

昼間には子どもの声が響いていた庭も、鉢植えが並んでいた玄関先も、気づけばすべて土の空き地に変わっている。

自分の靴音だけが乾いた音を響かせ、辺りはどんどん静かになっていく。
その様子に背筋が冷え、思わず足を早めた。

気がつけば、左右にあったはずの家々は一軒残らず消え去り、黒々とした空き地ばかりが広がっていた。
街灯もなく、夜空の下で自分の影だけが細長く伸びている。

呼吸が荒くなり、逃げるように足を進めると、やがて目の前に一軒だけ家が残っているのが見えた。

玄関の光

それは紛れもなく、俺の家だった。
玄関の明かりが灯り、今朝消し忘れたキッチンの照明まで見えている。ようやく帰り着いたと胸をなで下ろした瞬間、ぞっとする違和感に襲われた。

手の中には確かに自宅の鍵を握っている。だが、家の中にはすでに誰かがいる。

窓のカーテンがわずかに揺れ、影が横切った。
恐る恐る玄関へ近づくと、扉が静かに開いた。

そこに立っていたのは──もう一人の自分だった。目が合った瞬間、息が止まる。
向こうも俺を見つめ、ゆっくり口角を上げた。

気づけば、背後は真っ暗な空き地ばかりで、逃げ道はどこにもなかった。
「お前は誰だ……」

──声が重なった瞬間、意識が暗闇に呑まれていった。

いつものアラームで目が覚めた。

昨夜の恐怖は夢だったのか、今の俺は、本当に“俺”なのか――。
答えは、誰も知らない。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

◆斎 透(さい とおる) noteにて短編小説を執筆中の、犬と暮らすアラサー女子です。 やるせない夜にそっと寄り添うような文章をお届けしています。 幼い頃から、オカルト好きな母と叔母の影響で、不思議な話に夢中に。 「誰でも一つは、背中がひんやりする話を持っている」をモットーに、 ゾッとするけど、どこか温度のある物語を綴っています。 美容やキラキラした話題に疲れた夜、よければ一編、覗いてみてくださいね。 ●note:https://note.com/sai_to_ru

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