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「アメリカンドッグは串カツ」ってほんま?意外と知らない“串カツの定義”を日本串カツ協会に聞いてみた

  • 2026.1.9

大阪の名物グルメ「串カツ」。その発祥は大阪・新世界と言われており、もともとは労働者に安価でお腹いっぱいになってもらうために誕生した料理だという。

肉や海鮮、野菜など、さまざまな具材が串に刺さって揚げられているものが一般的な串カツのイメージ。関西人の筆者も同じ印象を持っていたが、あるとき、「アメリカンドッグも串カツに分類される」という情報を聞きつけた。驚きのあまり「んなアホな」とツッコミを入れたのだが、これが本当なら、私たちの思わぬところに“串カツに分類されるもの”が潜んでいることになる。

今回はその真相を探るべく、日本串カツ協会の理事長・吉野誠さんを直撃。果たして、アメリカンドッグは串カツなのか?串カツにまつわる素朴な疑問をぶつけてみた。

「アメリカンドッグ」は串カツなのか?めくるめく“串カツの世界”を深掘り! 画像提供:PIXTA
「アメリカンドッグ」は串カツなのか?めくるめく“串カツの世界”を深掘り! 画像提供:PIXTA

「アメリカンドッグは串カツ」!その定義とは?

今回取材に応じてくれた吉野さんは、串カツ文化に魅せられて出身地の東北から関西に移住したのだとか。約20年前に関西に来てから、串カツに関する文献を読み漁り、串カツ店に通って現地人からその文化を教わり、有名串カツ店に就職した経歴を持つ、関西人もびっくりの串カツマニアだ。

日本串カツ協会の理事長・吉野誠さん 画像提供=日本串カツ協会
日本串カツ協会の理事長・吉野誠さん 画像提供=日本串カツ協会

単刀直入に「『アメリカンドッグが串カツに分類される』と聞いたのですが、これは本当なんでしょうか?」と尋ねると、すぐに「はい、そう定義しています」と即答する吉野さん。なんとなくショックを受けながら、その理由を聞いた。

「串カツは具材だけでなく、衣に使う粉や油の種類によっても味わいや姿形が異なります。ですが、日本串カツ協会としては“串に刺さって揚げてあれば串カツ”と定義しているんです。というわけで、アメリカンドッグは串カツです。ほかのものだと、屋台やコンビニで売られている唐揚げが串に刺さったものも串カツに分類されますね。もちろん、素揚げでも串に刺さっていれば串カツです」

また、近年は健康志向が高まっていることから、“衣が薄くてサクサクした串カツ”が広く受け入れられ、衣が厚めの串カツのことをよく思わない人が増加傾向にあるそう。これについて、吉野さんは「もともと串カツは、“労働者に安くお腹いっぱいになってほしい”と生まれた料理。なので、“衣は厚いもの”として考えていただけるといいですね」と説明。筆者も徐々に油がつらくなってきた年齢だが、今後、衣が厚い串カツを食べたときは「本場の串カツを食べた」と思いたい。

ちなみに、最近は関西でも見かけるようになった「串揚げ」との違いも聞いてみたが、これは地域性によるものだという。吉野さんは「関西以外では『串揚げ』と呼ぶのが主流だと思いますね。だからこそ、大阪の串カツ文化は独特でおもしろい。我々は串カツも串揚げも、あくまで呼び方の違いということにしています」と教えてくれた。

2019年に設立された日本串カツ協会
2019年に設立された日本串カツ協会

コロナ禍でどうなった?「二度漬け禁止」の現在

大阪の串カツ文化といえば、ソースの「二度漬け禁止」。大阪の串カツ店ではソースがたっぷり入った容器がテーブルに置いてあり、“口を付ける前の1回だけ”串カツを入れてから食べるシステムが採用されている。口を付けた串カツや一度取り皿に置いた串カツを再び入れると、菌などが入ってソースが汚れてしまうため、「二度漬け禁止」とされているのだ。

ソースをきれいに保つための、商売人の知恵。しかし、その文化を知らない他県からの観光客も多く、外国人観光客には説明が困難なため、「二度漬け禁止」の貼り紙が意味をなさないことも。さらに新型コロナウイルスが蔓延し、衛生面のことを考え、ソースが入った容器自体を撤廃する店も増えていた。

では、「アフターコロナ」と言われる今、「二度漬け禁止」はどうなっているのだろうか。

「アフターコロナで『二度漬け禁止』を復活させているお店もありますが、醤油や塩のようにボトルに入れて提供し、それを継続しているお店が多いです。どのお店もどういう形が最善かをまだ探っている状態で、まさに“ソース転換期”と言えます」

なかには、「『二度漬け禁止』文化を体験できるように」と、ソースが入った容器をメニューに加えて販売している店もあるようだ。吉野さんは「ソースのあり方をお客様が選ぶ時代になったと感じます」と語る。

【写真】筆者が過去に食べた串カツ。ソースがボトルに入っており「二度漬け」可能に
【写真】筆者が過去に食べた串カツ。ソースがボトルに入っており「二度漬け」可能に

意外と知らない“一番食べられている串カツ”

ところで、「串カツ」と聞いてどんな具材のものを思い浮かべるだろうか。ちなみに、筆者は「エビ」と「紅ショウガ」が大好きだ。きっと人それぞれ違うと思うが、バリエーション豊富な串カツの中で最も食べられている具材を聞いてみた。

「現在は『牛肉』、『豚肉』、『紅ショウガ』の順で食べられていると把握しています。その時々で変動するのですが、『牛肉』は定番人気ですね。そもそも大阪の串カツの元祖は薄切りの牛肉で、これも、労働者が手軽に栄養を摂れるようにというところから来ています」

たしかに、大阪の串カツ店のメニューには「串カツ」というものがあり、具材の名前が書かれていない場合も。これが「牛肉」のことであると、どれくらい多くの人が知っているのだろうか。他県の人だからこそ見える串カツの世界にも興味が湧く。

なお、外国人観光客には「エビ」「チーズ」といった、自国で食べ慣れた具材が人気なのだとか。吉野さんのイチオシは「巻き寿司の串カツ」で、出合ったらぜひ挑戦してほしいとのこと。

串カツで世界を幸せに!日本串カツ協会の取り組み

日本串カツ協会では、2025年に開催された大阪・関西万博で大阪の串カツ文化を伝えたり、9月4日の「串カツ記念日」に合わせてオリジナルキャラクター「クシニョロ」のデザインコンテストを実施したりと、串カツ文化を広めるためにさまざまな取り組みを行っている。

オリジナルキャラクターの「クシニョロ」。串カツの妖精で、それぞれに名前も付けられている
オリジナルキャラクターの「クシニョロ」。串カツの妖精で、それぞれに名前も付けられている
吉野さん夫妻をイメージした「クシニョロ」
吉野さん夫妻をイメージした「クシニョロ」

また、『串カツ記念日』というテーマソングも制作しており、湘南乃風のHAN-KUNさんが作詞・作曲、はいだしょうこさんが歌唱を担当。老若男女問わず聴きやすい、踊り出したくなるような楽曲で、これを活用して小学校での食育・体育・知育にも取り組んでいるそうだ。

最後に、吉野さんは「私たちは『串カツを食べてみんなで幸せになってほしい』という想いで活動しています。“串カツ食って幸せに、運気揚げ揚げ!”を掲げながら、大阪・関西万博が終わった今こそ大阪を盛り上げられるよう、これからも串カツ文化の魅力を広めていきます」と意気込んだ。

アメリカンドッグにとどまらず、まだまだ深堀りが楽しめそうな串カツの世界。次に串カツを食べるときは、長く愛されるその文化のことも思い出してみてほしい。筆者は活気あふれる大阪の串カツを味わって、2026年の運気アップを狙ってみようと思う。

取材・文・撮影=ウォーカープラス編集部

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