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偶然見つけた謎の手紙から始まる不思議な交流。名前も顔の知らない文通相手は一体どんな人物なのか? 「エス」の関係になった少女たちの物語【書評】

  • 2026.1.8

【漫画】本編を読む

「エス」という言葉をご存じだろうか? 「シスター」の頭文字から取ったとされており、戦前ごろに日本の女学生たちの間で流行した、文字通り姉妹のように特別親密になった少女同士の関係のことだ。『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』(五十嵐 純/KADOKAWA)は、図書館の本に挟まれた一通の手紙から始まる、少女たちの青春と友情の物語である。

お嬢様学校に特待生として入学した主人公・かすみは、成績を落とすことができず、また真面目な性格もあって、放課後の図書館での自習を日課にしていた。いつしか勉強の息抜きに気になった本を読むことが楽しみとなっていた彼女はある日、手に取った本に手紙が挟まれていたことに気づく。宛先は「この本を読んだ人」。そして手紙の内容は「本の乙女達のような特別な関係の友になってほしい」というものだった。

イタズラと思いながら返事を書いて同じ本に挟んでおくと、数日後に手紙の送り主から返事があり、そこから奇妙な文通が始まる。やがて「エス」の関係になることを提案され受け入れたかすみは、文通相手を「お姉様」と呼ぶようになり、そのやり取りに心地よさを感じていた。

とはいえ、この関係のままでいいと思いながらも会いたい気持ちが勝ったかすみは、謎解きゲームのように手がかりを辿りながら、ついに本人と会うことになる。かすみが驚いた「お姉様」の正体とは? そしてかすみと「お姉様」のその後の関係は? ぜひ本書を読んで確かめてほしい。

どんな返事を書こうか。こう書いたらどう思われるだろうか。どんな気持ちでこの返事を書いてくれたのか。お互いがそんな期待や不安を抱きながら心を尽くして書いた手紙は、ふたりの日常に変化と彩りを与えてくれた。少女たちの瑞々しくて繊細な交流はどこか懐かしさを覚え、かすみが楽しんだり悩んだりしながら手紙をしたためる姿は、アナログな反面、新鮮な感覚を与えてくれるはずだ。

文=西改

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