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「あけおめ退職」が起こるのはナゼ? 最新科学で判明、長期休暇に退職を考える人のほうが正常な理由

  • 2026.1.7

新年の挨拶代わりに「辞めます」と会社を去る、「あけおめ退職」がいま話題となっている。マイナビの調査によれば、20代の4割以上が同僚や先輩たちの“新年の退職劇”を目撃した経験があるという。正月休みが明け、重い体を引きずって職場へ向かう道すがら、「あー、やっぱり自分も辞めたい…」と思う。そして、そう考えてしまう自分に対し、「なんて意志が弱いんだ」と自己嫌悪に陥ってはいないだろうか。だが、安心してほしい。その猛烈な拒否反応は「弱さ」ではない。むしろ、脳が正常に働いている証拠なのだそう。

辞めたい気持ちは、ただの疲れか、職場の問題か。まず切り分けるだけでも前に進める 【画像提供=写真AC】
辞めたい気持ちは、ただの疲れか、職場の問題か。まず切り分けるだけでも前に進める 【画像提供=写真AC】

正月に退職を考える人ほど、脳が正常だった

「あけおめ退職」や、休み明けの退職願望に対し、「根性がない」「休みボケだ」と感じる人もいるかもしれない。しかし、問題の本質は気合いや根性論ではなく、“体の状態”にある。そう語るのは、MBAと医学博士の双方の知見を持つ、板生研一さんだ。板生さんによれば、ダラダラしている時にこそ辞めたくなるこの現象の正体は、“自律神経の働き”にあるという。

「リラックスして副交感神経が優位になると、脳はようやく『我慢』の蓋を外し、現状を冷静に点検するモードに入ります」(板生さん、以下同じ)

つまり、正月休みにダラダラしていた時こそ、脳は「このままでいいのか」とシビアに自分を見つめ直していたということだ。実際、前述のマイナビの調査によると、仕事で強いストレスを感じている時よりも、連休中のほうが退職願望が強く表れるというデータ(連休中18.5%)もある。そこで衝動的に起こる「辞めたい」という気持ちは、休みボケなどではなく、“努力と報酬の不均衡”。つまり「こんなに頑張っているのに割に合わない」という日ごろのモヤモヤに対する、脳からの正当な警告だったのである。

【画像】長期休暇に退職を考える人のほうが、むしろ正常な理由とは... 【画像提供=写真AC】
【画像】長期休暇に退職を考える人のほうが、むしろ正常な理由とは... 【画像提供=写真AC】

退職の衝動は「保留」しよう。決断は1カ月後でも遅くない

だからといって、新年の勢いだけで辞表を叩きつけるのはあまりにもリスキー...。そこで板生さんが提案するのは、“今すぐ結論を出さない”ための、極めて現実的な対処法だ。

「おすすめは、『期限付き保留』です。例えば期限を1カ月と決め、その間は“本当に辞めたいかどうか”を判断しない。その代わり、衝動が出た理由を紙やスマホに書き出しておく。これが重要です」

具体的には、「なぜ辞めたいのか」「何が一番つらいのか」「それは環境か、役割か、評価か」といった点を、箇条書きで構わないので言語化していく。

「研究でも、感情や衝動を言葉にして書き出すことで、感情処理を担う脳領域の過剰な反応が落ち着き、熟慮的な判断を司る前頭前皮質の働きが回復することがわかっています。いわゆる“書くことで冷静になる現象”ですね」

期限を設けると、「いますぐ結論を出さなきゃ」という切迫感が和らぐ。さらに、「本気で退職したいなら、1カ月後も同じ論点で迷っているはずだ」と、自分の気持ちをあらためて確かめられる。

「衝動が落ち着いたなら、それは一時的な疲れのサイン。もし残ったままなら、向き合うべき“構造的な問題”があるということですが、どちらに転んでも判断の質は確実に上がります」

「辞めたいと思った自分を責めなくて大丈夫。休みで頭が整ったからこそ、違和感に気づけただけです。何がつらいのかをひとつずつ分けてみれば、選べる道は必ず増えます」とエールを送る板生さん 【画像提供=写真AC】
「辞めたいと思った自分を責めなくて大丈夫。休みで頭が整ったからこそ、違和感に気づけただけです。何がつらいのかをひとつずつ分けてみれば、選べる道は必ず増えます」とエールを送る板生さん 【画像提供=写真AC】

仕事始めの憂鬱は、あなたを守るためのいわば防衛本能――。

その本音をただの休みボケで片づけず、ランチタイムにでもメモ帳を開いて、少しだけ向き合ってみる。2026年は、そんな小さな一歩から始めてみてはどうだろう。

著者プロフィール・板生研一

MBA/医学博士。WINフロンティア株式会社 創業者・CEO(在任14年)。ソニー株式会社(現ソニーグループ)(エレキ&エンタメ領域)出身。東京成徳大学 経営学部 特任教授。行動神経科学をベースに、ビジネスパーソン/経営者のための「戦略的クリエイティブ・メンタルマネジメント」を研究・実践している。監修に『超疲労回復』(クロスメディア・パブリッシング〔インプレス〕)、著書に『なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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