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「60代で恋に落ちて…」「大勢の女性に愛を捧げてきた」浅野忠信の母・浅野順子さん(74)&近田春夫さん(74)の70代コンビが語った「シニアの恋」【ベスト記事2025】

  • 2026.1.4

2025年1年間で特に人気を集めたCREA WEBの記事を発表! あの映画やドラマのヒットの理由から、気の利いた手土産、そして、じっくり読みたい注目の人のインタビューまで。たっぷりお楽しみください。(初公開日 2025年7月30日 ※記事内の情報は当時のものです)


浅野順子さん(左)と近田春夫さん(右)。中央は順子さんの作品。

CREA2025年夏号「1冊まるごと人生相談」の発売を記念して、7月3日・4日の両日にわたり、代官山 蔦屋書店で、2夜連続のトークイベントが開催された。

第1夜を大いに沸かせたのは、脳科学者の中野信子さん。そして、第2夜に登場したのは、浅野順子さんと近田春夫さん。

今年1月から、CREA WEBでは、ゴールデングローブ賞を獲得した国際的名優・浅野忠信さんの母である順子さんの波乱万丈にもほどがある半生を、ベテラン音楽家の近田さんが聞き出す対談を連載、サイトの歴史に残る特筆すべき閲覧数を記録した。

この好評を受け、企画されたのが夏号におけるお二人の人生相談。70代半ばならではの深みを帯びた叡智は、快哉をもって受け入れられた。

そのライブ版として実施されたのが、「いろいろあって70代」と題された今回のイベント。当日の模様をお届けしたい。


とても話し切れない浅野順子の半生からスタート

作品の前で。

会場となった代官山 蔦屋書店のシェアラウンジ イベントスペースには、開演前から、画家として名を馳せる順子さんの最新作が展示され、ゲストの目を引き付ける。また、舞台上の大型モニターには、ここ数年、順子さんが著名ブランドのモデルを務めた写真が投影され、トークへの期待を否応なくかき立てた。

公の場で順子さんの姿を目にすることができるのは、実のところ、かなりレアな機会。彼女が登壇した瞬間、尋常ならざるそのオーラが、満場を圧した。

聞き手は連載でもおなじみの近田春夫さん。

まずは、CREA WEBでの連載をおさらいする形で、貴重な写真とともに順子さんの半生をプレイバック。同学年に当たる近田さんが、同じ時代を遊泳してきた自らのライフヒストリーと重ね合わせつつ、彼女の軌跡を駆け足気味にトレースした。

終戦後に横浜の基地に駐留した米兵である父、ウィラード・オバリングと、満洲から引き揚げた元芸者の母、浅野イチ子。二人の間の一人娘である順子さんが生まれた時、父は24歳、母は39歳だった。

涙なくしては聴けない「写真」のエピソード。このままのトーンで進むのか……?

順子さんが4歳の頃、父は、単身母国へと帰ってしまう。悩んだ末に日本に残ることを選んだ母と、順子さんとの二人暮らしが始まる。しばらく経って、父とは音信不通になってしまうが、後に、父は、幼い頃の順子さんの写真をウォレットに忍ばせ、肌身離さず死ぬまで持っていたことが判明する。

18歳になった順子さんは、横浜界隈で鳴らした遊び人少女のグループ、「クレオパトラ党」に参加する。この集団には、国際派のモデルとなる山口小夜子さん、タレントとなるキャシー中島さんなど、後に有名になるメンバーが揃っていた。

クレオパトラ党としての遊興の傍ら、順子さんは、ディスコのゴーゴーガール、すなわち専属の女性ダンサーとしての活動も開始。さらにはモデルの仕事にも手を広げ、華やかな東京の夜で輝きを放つ。

クレオパトラ党のあたりになると爆笑が巻き起こる。

……と、このあたりで、浅野順子史を振り返るために割いていたイベント前半の時間をすでにまるまる消費。まだ忠信さんすら生まれてない。あまりにも濃厚すぎる半生、こんな尺には収まらない! 現在にたどり着くには一晩かかる!

必死で舵を切るのは司会進行を務めた筆者(左)と弊誌編集長(右)。

ということで、ここからは、ターボをかけてかいつまんで順子クロニクルを追いかける。19歳で一つ年上の男性と結婚し、二人の息子をもうける。23歳の時に生まれた次男が忠信さん。その後、子どもを幼稚園に通わせている間に隣の公園でビキニで肌を焼いたり、ヘソの出たジーンズで授業参観したりと、破天荒な子育てを行った。

ビキニの大きさを示す順子さん。

息子たちも成人した43歳の時、順子さんは家を出る。その後、40代と60代で、個性的な男性を相手に新しい恋を始め、さらに人生を謳歌することになるのだが、……この辺で本格的に時間が尽きてきたので、詳しい半生はこちらの連載をお読みください。

圧倒的オーラの一枚に「なんだったっけ」と頭を書く順子さん。

近田さんが最後に一言でまとめた通り、順子さんは「大物」である。非常に盛り上がった前半はここで終了となった。

人生経験を積んだ2人だからこそ……の回答に盛り上がる

人生経験が豊富すぎる順子さんと近田さんの掛け合いが心に響く。

イベント後半は、CREA読者やイベント参加者から寄せられたお悩みに二人がその場で答えるコーナー。いくつかの相談を要約し、Q&A形式で報告する。

Q1 順子さんの着こなしに憧れています。順子さんはスラリと背が高くて彫りが深いのに対し、私はずんぐりむっくり、平坦な顔。どんなファッションをしたらいいですか? もしくはどんな心持ちで楽しめばいい?(60代・女性)

この日は鮮やかなロングドレスに大ぶりのアクセサリーを黒のジャケットで締めて。

浅野 ファッションって、顔やスタイルは関係ないと思うのね。自分が満足して気持ちよくその洋服を着られて、「今日はお洒落して気分が上がったな」って思えれば、それでいいんじゃない? あまり周りの目を気にすることはないと思う。

近田 何か着こなしのコツってあるの?

浅野 今日着てきたこの衣装も、実はものすごく安いものなのよ。最近は安くってもお洒落な洋服が多いからね。でも、もしも頭のてっぺんから足元まで安物で揃えたとしても、何か一つ、例えば、ピアスだけでもちょっといいものをあしらってみるとか、そういう工夫をするといいと思う。このぐらいの年齢になったらなおさらね(笑)。

Q2 自分に自信がありません。中高生の頃、自信を折られるような経験や失敗を何度もしたせいで、何か成果を得ても「運が良かった」など過剰に謙遜してしまいます。また、そのせいか普段からおどおどしてしまい、何か発言したあとは周りからどう思われたかが気になり一人で反省会をしてしまいます。どうすれば自分に自信がつくのでしょうか。(20代・女性)

「僕もそのタイプ」と近田さん。いつも相談者に寄り添う姿勢が優しい。

近田 まさに僕はこういうタイプなのよ。もう、自分じゃあきらめてるけど(笑)。

浅野 何か行動を起こさないと自信というのはついてこないから。ただ待ってたって、自信は得られないと思うよね。

近田 まあ、その行動っていうのも、大したことじゃなくていいんですよ。ほんの些細なことでもね、集中して続けていくことによって、意外とこれは自分に向いてるかもしれないって気づくことがあると思う。

浅野 その結果、自信だけじゃなく、人もついてくるようになるんじゃないかな。

「みんなもっと自由でいいんだよ」

Q3 大型犬との2人(1人と1匹)暮らしを始めたら、今までの人生の中で最高の居心地で、私が共に暮らすべきは人間ではなかったのかもしれないと感じています。ただ、今が幸せすぎて、大型犬の寿命が平均10年と知って以来、犬に先立たれた後の「ロス」が恐ろしいです。(60代・女性)

愛犬・ビスケットの話に目を細める。

浅野 私なんて、74歳から犬飼っちゃったからね。武蔵小山の商店街で運命の出会いを果たして、後先考えずに買っちゃった(笑)。人間、5年後に亡くなるかもしれないし、100歳まで生きるかもしれないんだから、考えても無駄。人の考えることって、80%は取り越し苦労だから。大型犬というのは、散歩量がすごいし、60代ぐらいだったら、これからの脚力をキープするためにも、相棒としてちょうどいいんじゃない?

亡き愛犬への想いを語る近田さん。

近田 僕は、小学校の頃にアイリッシュセッターの交じった雑種を飼ったことがある。でも、その子が大きくなったら、小学生の体力では散歩できなくなっちゃって、ちゃんと面倒が見られないまま、ジステンパーにかかって亡くなっちゃった。その子に操を立てるため、僕はそれ以降犬を飼っていません。その代わり、その分の愛は、大勢の女性に捧げてきたわけだけど(笑)。

Q4 30代からでも気楽に付き合える友達を作るには、どうすればいいのでしょう。学生時代の友人とは今もよく連絡を取りますが、ライフステージの違いもあり、頻繁に会うことは減りました。新しい交友関係を広げようと思いつつも、大人になってからの「友達作り」が難しいと感じています。(30代・女性)

浅野 この人は、電話とかで連絡する前に、どこか構えちゃってるんじゃないかなあ。相手にとって、ひょっとして迷惑になるんじゃないかって。勝手な想像を根拠に躊躇するのって、すごく損なことだと思うのね。人との出会いは、すべて縁だから、何もそこからそんなに深くならなくてもいいって考え方で始めると、逆にいい友達になれるかも。

近田 そう。そして、意見が合わなかったり、喧嘩してしまったりすることを恐れない方がいいと思う。最初から自分というものを素直に出せば、相手と合う場合は付き合いが続いていくし、合わない場合は離れていくんだから、その自然な流れを信じるのがいいと思う。しかし、順子さんってさ、幅広い年代に友達がいるよね。

会場からの相談にはしっかりと目を見て答える順子さん。

浅野 うっかり利害関係や上下関係が生じると、面倒くさいことになっちゃうけど、私、できるだけそういう関係を作らないようにしてる。年齢にかかわらず同じように付き合うよう、心がけてますね。

その他、このトークイベントのまさに翌日に起こると囁かれていた大災害の噂への対応、ネイリストとの会話のテーマ、物にあふれた生活をどうすべきかなど、さまざまな相談に対し、二人から真摯な回答が返された。

浅野順子(あさの・じゅんこ)

1950年横浜市出身。ゴーゴーガール、モデルなどを経て結婚し、ミュージシャンのKUJUN、俳優の浅野忠信の2児を儲ける。ブティックやバーの経営に携わった後、独学で絵画を描き始め、2013年、63歳にして初の個展を開催。その後、画家として創作を続ける。ファッションアイコンとしても注目を浴び、現在は、さまざまなブランドのモデルとしても再び活動を繰り広げている。

近田春夫(ちかだ・はるお)

1951年東京都出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、宮台真司との共著『聖と俗 対話による宮台真司クロニクル』(KKベストセラーズ)。

文=下井草 秀
写真=平松市聖

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