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「部屋から出るな」と言われた少女が聞いた声の主は?描くことでしか救えない…孫が祖母の記憶を漫画にした理由【作者に聞く】

  • 2026.1.3
客が来るから部屋から出るなと言われたが、その客とは実母だった…。 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
客が来るから部屋から出るなと言われたが、その客とは実母だった…。 (C)ゆっぺ/KADOKAWA

Instagramやライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」で、実話をもとにしたエッセイ漫画を描く漫画家・ゆっぺさん(@yuppe2)。ブログは2021年に月間3000万PVを記録し、「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリを受賞している。2021年12月から連載されたでは、戦前から生きる祖母・キヨさんの幼少期からの人生を丁寧に描き、最終話でコメント欄を解放すると500件を超える応援の声が寄せられた。

どれほどつらい記憶でも、描く手だけは止めなかった理由【作者に聞く】

『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-1 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-1 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-2 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-2 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-3 (C)ゆっぺ/KADOKAWA
『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』6-3 (C)ゆっぺ/KADOKAWA

現在92歳になる祖母・キヨさんの過去を知ったゆっぺさんは、「この経験には、今を生きる私たちに伝えられるものがある」と感じ、漫画化を決意したという。取材のために何度も話を聞くなかで語られたエピソードは、胸が締め付けられるようなものばかりだったが、それでも描く手を止めることはなかった。

キヨさんが養子先で受けた仕打ちは、読んでいるだけでも怒りが込み上げてくる内容だ。ゆっぺさん自身も母親であり、物語を描くたびに「自分の娘だったら」と重ねてしまったという。あまりの理不尽さに泣きながら描くことも多く、作中でキヨさんが涙を流す場面では、ペンを持つ手も震えていたそうだ。それでも筆が止まることはなかった。涙が出ても、「描かなくては」という気持ちのほうが強かったからだという。

ただ、ほかの作品と並行して制作していた中でも、この作品は圧倒的に時間がかかった。感情を整理し、向き合いながら描く必要があったからこそ、簡単には進められなかったという。

祖母の言葉を正確に届けるため、セリフにすべてを注いだ

制作で最も時間を費やしたのは、絵ではなく言葉だった。ゆっぺさんは話を聞くたびにノートを取り、前後する記憶を丁寧に時系列へと並べ直していった。そのうえで悩み続けたのが、「どうすればキヨさんの気持ちが一番伝わるか」という点だった。とくにセリフは何度も書き直し、言い回し一つひとつに神経を使ったという。祖母の感情を代弁するのではなく、そのまま読者に手渡したかったからだ。

あえて感想を閉じたのは、祖母の人生を評価させたくなかったから

この連載では、途中までコメントやDMをすべて閉じていた。それは、伝えたい思いがはっきりしていたからこそ、他人の言葉に左右されたくなかったためだという。感想の中には、きっと批判的な意見も含まれただろう。しかし、キヨさんの人生は誰かが良し悪しを決めるものではない。読んで何かを感じることは自由だが、評価されるものではない。その考えから、最終回まで外部の声を遮断し、ただ祖母の物語だけに向き合い続けた。

周囲の気持ちを汲みすぎると、描けなくなるとわかっていた

家族からの感想も、あえて聞かなかったという。誰かの気持ちを考え始めると、「この話は描かないほうがいいのでは」と迷いが生まれてしまうからだ。これは祖母の人生の物語であり、祖母自身が「描いていい」と言ってくれたからこそ成立している。ならば、余計な配慮は捨てて、真っ直ぐ描き切るしかない。ゆっぺさんはそう自分に言い聞かせながら、最後まで作品と向き合った。

取材協力:ゆっぺ(@yuppe2)

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