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怪異か人か…狂気の隣人女性に“狙われてしまった”男性が辿る衝撃と恐怖の結末

  • 2026.1.2
写真はイメージです。提供:アフロ

北九州で書店員として働く傍ら、2016年からほぼ毎週欠かさずに生配信サービス「TwitCasting」で放送してきた、怪談ネットラジオ「禍話(まがばなし)」の語り手・かぁなっきさん。彼が語る実話怪談の数々は、一度聞いたら脳裏にこびりつくような恐ろしさです。

そんな禍話から今回は、かぁなっきさんの友人Kさんが実際に体験した、職場の先輩につきまとう不気味な女のお話をご紹介します――。


Aさんの部屋のベランダにも人影が

うつむいているので顔は見えませんでしたが、Tシャツ1枚でタバコを吸うでもなく立ち尽くすその人影が女性であることだけはわかりました。

「ちょっと飲みすぎたかな……」――目をギュッとつぶって再び開けた時、その部屋の隣、Aさんの部屋のベランダにも同じようにうつむいて立つ人影が見えた気がしました。

ブブーッ。

突然、ポケットの中で震えたスマホ。帰路を心配するメッセージが社員さんから届いていました。

顔を上げるとベランダの人影はどちらも消えていたそうです。

写真はイメージです。提供:アフロ

笑顔を作り直して部屋に戻ったKさんは、カーテンが閉まったままのベランダを見ながら、何気ない感じで聞きました。

「あの、さっき誰かベランダ出てました?」

「いや、誰も出てないよ」

そう答えた女性の先輩が振り向きざまにベランダのカーテンに手を伸ばしました。

Aさんは青ざめて足早に……

「あ、ちょっと待って!」

慌てて立ち上がったAさんの制止も虚しくカーテンがさっと開かれると、ゴミ袋が積み上げられたベランダが露わになりました。

「わ、きったな~。ゴミくらい捨てなよ~」

ドッと起こる笑い声。しかし、Kさんの首には冷や汗が一筋垂れました。

なんだあのゴミの山。こんなに足の踏み場のないベランダじゃ人が立てるわけないじゃん……――黙りこくっているとAさんが「どうしたの?」と声をかけてきたそうです。

「あ、あの、さっき外から見たらベランダに誰か立ってて……というか、隣の部屋のベランダにも人が立ってたんですよ……」

写真はイメージです。提供:アフロ

みるみるうちに青ざめていくAさん。彼はベランダに飛び出すや、ゴミ袋をかき分けるようにして隣の防火壁の向こうを覗き込みました。

「お、おい、なにしてんだよ」

「どうかしたの?」

ガサガサと音を立てながら部屋に戻ってきたAさんは、周りの様子など気にせずKさんを見つめたまま言いました。

「……いないぞ」

「でも、マジでさっきいたんですよ……」

わずかな沈黙。

突然、Aさんは文句のような声を小さく発すると、スマホと上着を掴んで足早に玄関から外に出ていってしまいました。

騒然とする一同。

しかし、数分経ってもAさんは戻ってきませんでした。

スマホに届いたメッセージ

カチャ、ガチャン。

ペタッ、ペタッ、ペタッ。

突然、隣の部屋からドアを開けて誰かが出てくる音が聞こえました。

他の社員さんたちは気づいていないようでしたが、Kさんだけはあの話を思い出して全身の血の気が引くのがわかったそうです。

写真はイメージです。提供:アフロ

しかし、玄関を指で叩く音は聞こえてきません。代わりに聞こえたのはエレベーターが下の階に降っていく微かな物音でした。

それからさらに数分が経ち、皆がまたポツポツと鍋を突き始めた頃、1人の社員さんが怯えた声で言いました。

「え、何これ……」

その男性が向けたスマホ画面には、Aさんからの1通のメッセージが表示されていました。

《今、目が合ってます》

絶句するKさんを見た他の社員さんたちは、改めて彼女に何が起こっているのかを問い正したそうです。

Kさんは正直にAさんから聞かされた話の顛末を話しました。

騒然となる室内。

口々に今後の動向や女の正体について議論する中、数名の男性社員たちが隣の部屋を尋ねるために部屋を出ていきました。ほどなくして戻った彼らはこう言ったそうです。

「隣の部屋、鍵開きっぱなしで、多分誰もいないぞ……」

月明かりに照らされた隣室で……

次第に酒に酔ってタガが緩んでいた何人かが部屋に行ってみようと騒ぎだし、Kさんも案内人として連れ出されてしまいました。

「危ないからやめなよ!」

不安そうな表情を浮かべる女子社員たちを部屋に残し、Kさんら数名のメンバーはスマホのライトを点けながら、隣の部屋に足を踏み入れたのです。

「すみませーん……」

月明かりに照らされた室内は一見すると普通でしたが、よく見るとおかしなところがありました。ありとあらゆるものが壁際にピッタリと寄せられ、部屋の真ん中だけがガランと空いていたのです。

ですが、Kさんが一番気になったのは、Aさんの部屋とこちらを隔てる壁にデカデカと貼られた大きなカレンダーでした。

「なに、これ……」

そこには、月の大半を埋め尽くす「K」というマジックの文字でした。

「……これ、KnockのKか?」

コン。

写真はイメージです。提供:アフロ

壁の向こうから指で軽く壁を叩くような音がして、Kさんは思わず後ずさりをしてしまいました。

「お、おい、大丈夫か?」

ガンッ!

「痛った…!」

その拍子に足に何か硬いものがぶつかりました。

それは蓋の開いたままのCDラジカセでした。

【××中学校校歌】

白いCD-Rの盤面にマジックで書かれていたその文字を見て恐怖にかられた一同は、逃げ出すようにその場を後にしました。

部屋に戻ると、残っていた女子社員たちが駆け寄り、こう言ってきたのです。

「今日はみんな帰ってくれ」

「ねえ! あんたたちが隣行っちゃっている間にAさんから電話来たんだけど!!」

「その、『今日はみんなそのままでいいから帰ってくれ』って、それしか言わずに電話切れちゃったのよ!!」

あまりの事態にそのまま鍋パーティーは解散となり、他の社員から「こんなことになって申し訳ない」と謝られながら、Kさんのバイト生活は唐突に終わりを告げました。

写真はイメージです。提供:アフロ

1週間ほど経っても、Kさんはあの日の出来事が頭から離れず、彼女は大学の帰りにふらりと元バイト先の会社を訪ねてみたのだそうです。

Kさんの顔を見るや笑顔で出迎えてくれた社員さんたち。

あの日のことを改めて謝られるなか、Kさんはその人だかりにAさんがいないことに気がつきました。

「あの、Aさんは外出ている感じですか? 最後に挨拶できなかったから、できれば話したくて」

Kさんの言葉を受け、一気に曇る社員さんたちの顔。

「それがさ、あの日の翌週にさ――」

社員さんたちはあの出来事があった週は誰も怯えてAさんに連絡できなかったそうです。皆一様に“週明けに何があったのか聞けばいい”そう考えていました。

そしてAさんは…

ですが、週明けの月曜日、Aさんは会社に姿を現しませんでした。

いえ、正確に言うとその日の早朝、事務員さんだけが出社する時間帯にAさんから1本の電話があったのだそうです。

鳴りやまない電話に出ると、子どもたちのざわつき声と共にAさんと思しき絶叫が聞こえました。

『あははははは!! 全然知らない女だったんだけど!!』

そして、彼の背後から子どもたちの合唱が聞こえたかと思うと、電話はプツリと切れてしまったそうです。

写真はイメージです。提供:アフロ

出社後に事情を聞いた社員さんたちは、その日の帰りにAさんのマンションを訪ねました。しかし、彼の部屋と隣の部屋のどちらにも鍵はかかっておらず、あの鍋パーティーの時のまま放置されていました。

Kさんはその会社の人たちとの連絡を絶ってしまったので、その後Aさんがどうなったのかはわからないままだそうです。

文=むくろ幽介

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