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ストーリーが進むほど「死亡フラグ」が邪魔になる?クライマックスで作者を悩ませた“ギャグ漫画の矛盾”【作者に聞く】

  • 2026.1.1
死亡フラグ破壊、という新ジャンルで人気を博した漫画『ゴリせん』
死亡フラグ破壊、という新ジャンルで人気を博した漫画『ゴリせん』

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パニック映画やホラー作品において、真っ先に犠牲になる「お約束」のキャラクターがいる。調子に乗って単独行動をしたり、怪しい物音を確認しに行ったりする彼らには、明確な“死亡フラグ”が立っているからだ。 しかし、もしもその死亡フラグ乱立男が、地球上のあらゆる怪異をワンパンで粉砕する最強のフィジカルを持っていたらどうなるか?

画像提供:酒井大輔
画像提供:酒井大輔
最新刊「ゴリせん」7巻~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師~【発売中】 画像提供:酒井大輔
最新刊「ゴリせん」7巻~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師~【発売中】 画像提供:酒井大輔
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あらゆる危機を筋肉と物理法則無視のパワーでねじ伏せる様を描いた『〇〇で死ぬタイプの体育教師』シリーズ(通称:ゴリせん)。 ヤンマガWebでの連載を経て全7巻で完結を迎えた本作は、その痛快すぎるギャグと予想外の熱い展開で多くの読者を虜にした。 今回は完結から時間が経過した今だからこそ話せる制作秘話や、最終回に込めたこだわりについて、作者の酒井大輔さん(@sakai0129)にインタビューを行った。

「とにかく疲れた」作者が語る連載の過酷さ

長い連載を走り抜けた現在の心境について尋ねると、酒井さんは「ありがとうございます!」と感謝を口にしつつも、開口一番に「連載は本当に疲れました。とにかく疲れた、という感想に尽きます!」と笑いながら偽らざる本音を吐露した。 強烈なインパクトを放つ「ゴリせん」というキャラクター、そして次々と現れる怪異たちを描き続ける日々は、作者にとって相当ハードなマラソンだったようだ。読者に向けては「短い間でしたが、お付き合いいただきありがとうございました」と、改めて深い感謝の念を示している。

また、最終回ならではの苦労もあったという。それはストーリー展開の悩み以上に、単純な「作画コスト」の問題だった。 「最終回の集合絵を描く際、『こんなにキャラクターがいたのか』と自分でも戦慄しました。たった7巻分の連載なのに、これほどの人数を描かなければならないのかと(笑)」 自らが生み出したキャラクターの多さに、最後の最後で苦しめられたエピソードを明かしてくれた。彼らの内面的な成長については「中身はあまり変わっていない気もする」と謙遜するが、あの賑やかな大団円は作者の執念と労力によって支えられていたのである。

ストーリー進行と「死亡フラグ」の板挟み

物語がクライマックスに向かうにつれて、制作上の新たな壁も立ちはだかった。それは「ストーリー性」を持たせることと、単発ギャグである「死亡フラグネタ」を両立させるという難題だ。 「最終回に向けて物語を組み立てていくと、どうしても単発の『死亡フラグ』というネタから離れていってしまうんです。ストーリーを進めながら、いかにお約束のフラグも提示していくか。そのバランス調整が本当に大変でした」 ギャグ漫画としてのアイデンティティを保ちつつ、物語を畳む苦労は並大抵のものではなかったようだ。

それでも、最終回には酒井さんの美学が詰まっている。「最後のタイトルが出てくる演出が気に入っています。これはずっとやりたかったことなので」と語るラストシーンは、ファン必見の出来栄えとなっている。 あらゆる“お約束”を生命力だけで粉砕してきた「ゴリせん」。未読の人も既読の人も、この機会に全7巻を一気読みして、理不尽なまでの爽快感を味わってみてはいかがだろうか。

取材協力:酒井大輔(@sakai0129)

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