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「UFO山」大胆な結末の“意図”と「TXQ」のこれから。近藤亮太と寺内康太郎が語り合う、オカルトと恐怖表現

  • 2025.12.31

「イシナガキクエを探しています」を皮切りに、「飯沼一家に謝罪します」「魔法少女山田」と、新作が放送されるたびにSNSを中心に多種多様な考察が加熱。大反響を巻き起こしてきたテレビ東京系列のフェイクドキュメンタリーシリーズ「TXQ FICTION」の第4弾となる「UFO山」が、12月22日の深夜から4夜連続で放送された。(TVerにて全話無料独占配信中)

【写真を見る】衝撃的なラストが話題の「UFO山」。その舞台裏を独占インタビュー

今回PRESS HORRORでは、今作で監督、脚本を務めた近藤亮太と、プロデューサーを務めた寺内康太郎へインタビューを敢行。作品を重ねるごとに進化をつづける「TXQ FICTION」に第1弾から携わってきた演出家の両名にシリーズの現在地を伺うと同時に、今作の舞台裏や“UFO”という題材の妙味、そしてラストシーンの解釈まで話を聞いた。

なぜUFOは人を惹きつけるのか?近藤亮太&寺内康太郎に尋ねる [c]テレビ東京
なぜUFOは人を惹きつけるのか?近藤亮太&寺内康太郎に尋ねる [c]テレビ東京

※本インタビューは、作品後半の展開に触れる表現を含みます。直接的なネタバレはございませんが、未見の方はご注意ください。

「第1話を観て、オカルトという“概念”への挑戦ではないかと感じました」(寺内)

タイトルの通り“UFO”をテーマにした今作は、1999年に北海道の朝日山という雪山で市民登山家の蜂谷修一という人物が遭難死を遂げた事件をめぐり、テレビ東京のディレクターである栄田という青年がその真相を探っていく姿が4話構成で描かれる。

市民登山家はなぜ不可解な遭難死を遂げたのか… [c]テレビ東京
市民登山家はなぜ不可解な遭難死を遂げたのか… [c]テレビ東京

――まずは前作「魔法少女山田」から今作「UFO山」までを振り返っていただき、お二人から見た「TXQ FICTION」の現在地についてお聞かせください。

寺内康太郎(以下、寺内)「これまでは、モチーフを皆で出し合うところから作業が始まっていました。例えば『イシナガキクエを探しています』では皆口大地プロデューサーが「公開捜査番組はどうか?」と提案し、『飯沼一家に謝罪します』では大森時生プロデューサーが「放送枠を買い取った番組はどうか?」と提案する。それを僕が脚本化して映像化していく、というのが『TXQ』の制作体制でした。『魔法少女山田』は、『恐怖心展』というイベントと連携した番組だったため、モチーフは『恐怖心』と決まっていました。今回も、“UFO”というモチーフは参加した段階で決まっていました」

近藤亮太(以下、近藤)「そうですね。寺内さんのおっしゃる通り、最初の2作の時は大部分の撮影を全員が立ち会い話し合うような合議制のような形でもあったのですが、『魔法少女山田』では寺内さんの班がある程度作り上げたものを、シナリオ段階や編集のプレビューでチームみんなでブラッシュアップしていくようにして進めていきました。これまで培ってきたチームワークを活かした、分業体制のようなものが確立された印象を受けました」

寺内「今回は企画段階から近藤さんの班と大森さんで話を進めていき、僕が参加したのはある程度まとまって、構成台本ができあがったところからだったと記憶しています」

近藤「なのでイメージとしては『TXQ FICTION』という大きな母船があり、そこに僕らの小船団が伴っている感じですね」

寺内「いまは寺内班と近藤さんの班ですが、今後シリーズが拡大していけばまた新たな班もできていくかもしれません」

「TXQ FICTION」第4弾にして、制作チーム念願の“UFOもの”に挑戦 [c]テレビ東京
「TXQ FICTION」第4弾にして、制作チーム念願の“UFOもの”に挑戦 [c]テレビ東京

――『魔法少女山田』の放送時に、PRESS HORRORでは寺内さん、皆口さん、大森プロデューサーのお三方で座談会を開きました。そこで皆口さんが「いつかこのメンバーでUFOものをやりたい」とお話しされていましたが…。

近藤「夏ぐらいということは、ちょうど大まかな構成案やアイデアを提出したタイミングでした。実は『イシナガキクエを探しています』の直後から、UFOをやろうという話があったので、いつ本格的に動きだしたかは結構曖昧ですね」

――“UFO”はオカルトものの鉄板ですが、これまで「TXQ FICTION」がやってきた“怖さ”とはまた系統が違うものとも感じます。

近藤「それは僕も思います(笑)。『UFOは怖いものなのか?』という問いは非常に難しい話ですが、僕自身が北海道出身で、地元の牧場とか山で漠然と“怖い”と感じていたり、“おもしろい”と感じた空間を作品でいかしたいという思いがありました」

「TXQ FICTION」に第1弾から携わってきた近藤亮太が、初めて単独で監督を務めた [c]テレビ東京
「TXQ FICTION」に第1弾から携わってきた近藤亮太が、初めて単独で監督を務めた [c]テレビ東京

寺内「プロデューサーの立場としては近藤さんがこの興味深い題材でどういうものを作っていくのか楽しみだったんですが、第1話を観て、これは個別的な怖さではなくもっと広範に、哲学的なオカルトと向き合おうとしている。つまり“概念”への挑戦ではないかと感じました」

近藤「UFOは解釈次第でどうにでもなる汎用性の高い題材ですので、まずはそれに対してどうやっておもしろさを作っていくかから考えました。たとえば、雪山で人が死んだとか、UFOを目撃したとか、現実に接続するような事象にオカルト的な見方を加えていく。それらを断片として積み上げた時に、微妙に辻褄が合いそうで合わないという感覚がきちんとUFOと紐付けば、これは“怖い”につながるんではないかと」

「情報と情報を繋げる“接着点”が難しく、外からの視点が必要だった」(近藤)

ディレクターの栄田が真相を探るドキュメンタリー番組として物語は運んでいく [c]テレビ東京
ディレクターの栄田が真相を探るドキュメンタリー番組として物語は運んでいく [c]テレビ東京

――今作の特徴としては、蜂谷修一の死について取り上げるドキュメンタリー番組という体裁のなかで、それを取材している栄田というディレクターも客観視して番組の登場人物の一人として取り上げていることが挙げられると思います。これはホラー性よりも別の、エンタメ感に近いものを意識されたからなのでしょうか?

近藤「あまり意識はしてなかった気がします(笑)。普段は撮りたいものを“点”として揃えて、大枠となるロジックのなかでそれらを繋げていくのですが、今回は情報と情報を繋げる“接着点”が非常に難しかったんです。映画なら不自然ではない方法でも、フェイクドキュメンタリーではそうはいかない。だからある程度、外からの視点が必要でした。

それにUFOについての談話というものは、幽霊や呪いの時と同じように目撃者や専門家にインタビューをしても、なぜか説得力が薄くなってしまう。もっと冷静に見ている語り口にしなくてはならず、栄田をわざわざキャラクターとして立てて進行することにしました。今回のように『TXQ FICTION』の裏側の人間をあえて紹介するのは初めての試みだったと思います」

――「TXQ FICTION」に必要なリアリティの面で寄与しているのは、やはり北海道のロケーションだと思います。これはやはり近藤監督の地元ということで、地の利のようなものもあったのでしょうか?

中盤以降、また新たなミステリが浮かび上がる [c]テレビ東京
中盤以降、また新たなミステリが浮かび上がる [c]テレビ東京

近藤「まず重視していたのは、実際の事件と繋がりすぎないようにすることでした。道内にはUFOの噂がある場所がいくつかありますが、今作の舞台となる朝日山というのも全国にいくらでもある名前で、北海道には同じ条件の山がない。外観もいくつかの山を組み合わせた、それこそ『バットマン』映画のゴッサムシティのようにすることを心がけていました。

山で撮影をするのは意外と権利の面で難しいことが多いのですが、今回ロケのコーディネーターを僕が以前北海道で働いていた時にお世話になった方にお願いすることができ、インタビュー取材をするシーンも含めてすごく撮りやすいと感じた部分は多々あります。それと第2話で登場する北海道のローカルバラエティも、実際に僕が昔から実家のテレビで観ていた(北海道内でローカルタレントとして著名な)オクラホマの河野さんを出すことでリアリティが増す。これは僕自身の地元愛の表出のようなものです」

「比嘉光太郎くんは、映画を作りながらUFOの研究もやっているという将来有望な若者です」(近藤)

虚実を取り混ぜたオカルト用語や関係者が多数登場する [c]テレビ東京
虚実を取り混ぜたオカルト用語や関係者が多数登場する [c]テレビ東京

――オカルト研究家の方々が実名で登場することも、リアルとの接続という面でねらいがあったのでしょうか?

近藤「シナリオ段階では架空のオカルト研究家を出すつもりだったのですが、武田崇元さんの八幡書店を撮影で使わせていただくことができると決まり、ならばご本人にしゃべってもらったほうがいいのではないかと思い、お願いしたところ快諾いただきました。もう一人は第3話と第4話に登場した、本作の演出補を務めてくれた比嘉光太郎くんですね。彼もシナリオ上では登場しないキャラクターだったんですが、構成を一緒に作ってもらったこともあり、重要な接着点を作るうえで彼に結論に近いものを代弁してもらうのがいいと思いお願いしました」

――武田崇元さんはオカルトブームの第一人者としてオカルトファンでなくても有名ですが、比嘉さんは“知る人ぞ知る”存在ですよね。

近藤「放送直後にネットの感想を見ていたら、『比嘉さんって実在する人なんだ』という反応がたくさんありました(笑)。彼はUFO研究家として10代の頃からフィールドワークをやっていて、僕の映画美学校時代の後輩でもあるんです。しかも僕が『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で大賞を受賞した『第2回日本ホラー映画大賞』に入賞した『絶叫する家』を撮った監督でもあり、自分で映画を作りながらUFOの研究もガチでやっているという稀有で将来有望な若者なんです。元から劇中のような喋りかたをするんですけど、それを芝居に落とし込んでやってくれるのでものすごく上手い。案の定ネットでは『オタクをうまく表現する人』だと書かれていました」

作中に登場する比嘉光太郎は、本作の演出補を務めUFO研究家でもある [c]テレビ東京
作中に登場する比嘉光太郎は、本作の演出補を務めUFO研究家でもある [c]テレビ東京

――実在の人物が登場するという点では、寺内さんが撮られた「心霊マスターテープ」や白石晃士監督のフェイクドキュメンタリー作品などからの影響も感じられます。

近藤「ほとんど成り行きのようなかたちで実在の人物を出すことを選びましたが、よくよく考えてみれば『放送禁止』でもそうした手法がとられていましたね。あくまでもキャストの一人としてしゃべってくれていますが、普段からオカルトについて話したり見聞きしたりしている方々なので、事実とフィクションの境目のなかでしゃべる感度が高いのかもしれません。それは撮りながら発見したおもしろさの一つです」

「最後のシーンは、ある種のハッピーエンドかもしれない」(近藤)

討論番組やローカルバラエティ番組など、あらゆるフッテージに物語を読み解くヒントが [c]テレビ東京
討論番組やローカルバラエティ番組など、あらゆるフッテージに物語を読み解くヒントが [c]テレビ東京

――寺内さんが今作の映像を最初にご覧になったのは、制作段階のどのタイミングだったのでしょうか?

寺内「まだ初期のオフライン編集の段階だったので、放送フォーマットの尺にはなっていましたが、映像が繋がっているだけでテロップも音楽も入っていない状態でした」

近藤「寺内さんはそれを観て、『ここはなんでこうなるのか』とか『もうちょっと強調したほうがいい』など、物語全体の動線も含めてアドバイスをくれました」

寺内「初めて観た時には正直わかりづらいと思う部分もあって、“接着点”の部分など、こうしたらもう少しスムーズになるんじゃないかなと、プロデューサー目線でお話ししましたね」

近藤「それを参考に編集を進めたのですが、『これをずっとやってきた寺内さんってやっぱりすごいな』とつくづく思いました」

寺内「いやいや(照笑)。『TXQ FICTION』は本当に大変ですから。監督、脚本を担当するだけでなく、リアリティに対するすべての責任を負ったり、アドリブを引きだす仕掛けを考えたりと、目に見えない苦労がたくさんあります」

実在のUFO事件についての言及もあり、作品のリアリティを高めている [c]テレビ東京
実在のUFO事件についての言及もあり、作品のリアリティを高めている [c]テレビ東京

近藤「これまでの3作品にも参加してきましたが、メインディレクターになるとこんなに大変なんだと。完成した状態が見えないというか、どこに向かっているのかわかっているつもりでも『これは完成しないんじゃないかな…』と思えてきたり。ギリギリまでねばって試行錯誤を重ねていくのは、映画ではあまりできない作り方。大変ではありましたけど、そのぶん楽しくもありました」

寺内「近藤さんは根が真面目で、変なことをせずに地に足のついた考え方をされるので、とても信頼しています。シリーズものの途中で別の監督さんに変わるという経験は過去に何度もありますが、意外とそれまでの流れを踏襲した作品にするのは難しいものです。でも今作はきちんと『TXQ FICTION』になっている。それはやっぱり近藤さんの実力があってのことです」

近藤「ありがとうございます」

寺内「完成した作品を観た時に、『TXQ FICTION』というシリーズは、視聴者にとっては“誰がやっているのか”が気にならないような、確固たるものになってきたんだと実感しました。もちろんそれは近藤さんであったり、大森プロデューサーの舵取りの的確さであったり、ドキュメンタリーパートなどでカメラマンを務められた川滝悟司さんの世界観がシリーズ構成の柱となっていることもあるのでしょう」

近藤「仕上げの編集スタッフも共通しているので、途中まで全然“らしく”ならないと思っていても最終的には“らしく”なっていく。スタッフの方々の尽力があるおかげで、クオリティも伴っていくのだと思います」

開かれた結末について、SNS上では解釈が真っ二つ。作り手の意図は? [c]テレビ東京
開かれた結末について、SNS上では解釈が真っ二つ。作り手の意図は? [c]テレビ東京

――ラストの解釈についてお聞きしたいのですが、近藤監督にとって今作は“ハッピーエンド”なのでしょうか?

近藤「誰かが幸せになって終わるわけではないですから、ハッピーエンドではないと自分では思っています。仮に蜂谷が本当にUFOに連れて行かれて、いまもどこかにいるのだとしても、それが幸せなのかどうかはわからない。自分のなかではどの作品もハッピーエンドかどうかよりも、“過去に確実にこういう時間があった”ということを大事にしています。この想いは間違いなくあったとか、この瞬間は間違いなく幸せだったとか。そういう意味で言えば、最後のシーンはある種のハッピーエンドなのかもしれませんね」

「映像制作をしていれば、一度はUFOに憧れたことがある」(寺内)

これまであらゆるオカルトの題材になってきた“UFO” [c]テレビ東京
これまであらゆるオカルトの題材になってきた“UFO” [c]テレビ東京

――UFOを題材にした作品は、これまでも数えきれないほどあります。今作を手掛けるうえでのレファレンスになった作品を教えてください。

近藤「書籍で言うと『黒衣伝説』や『新耳袋』の『山の牧場』などは大いに参考にさせていただきました。映画ですと、スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』はもちろん念頭にありますが、『THE 4TH KIND フォース・カインド』や『フォーガットン』、『ダーク・スカイズ』のような比較的近年のジャンル映画から大きな影響を受けています。M.ナイト・シャマラン監督の『サイン』もその一つで、第2話の牧場の映像になにかが映り込むシーンを撮る時に『ホアキン・フェニックスが見る、“あの映像”のようにやってください!』とお願いしたのですが、あまり通じませんでした(笑)。それと、ドキュメンタリー映画ですが『虚空門GATE』はかなり参考にしています」

――ちょうど『未知との遭遇』の名前も挙がりましたが、先日スピルバーグ監督がUFOが題材になっているらしい『ディスクロージャー・デイ』を製作しているというニュースがありました。なぜこれほどまでUFOは人を惹きつけるのか、お二人が考えるUFOものの魅力はなんでしょうか?

近藤「たぶんそれは“未確認”だということじゃないでしょうか。未知の領域があること自体にも惹かれますし、SCPのような共同創作の概念もUFOもの特有のおもしろさだと思います。劇中でも触れたケネス・アーノルド事件の目撃談があってから、UFO=円盤という概念ができあがったように、話がおもしろかったり独創的であればあるほど広がっていく。これはフィクションをおもしろがる感覚に限りなく近いと思います」

寺内「僕も近藤さんと同じです。未確認だからこそ映画的にも相性がいい。どんな形をしているのか新しく考えることができたり、ビジュアルとして観る側に興奮を与えられる。映像化することのロマンみたいなものがあるんです。きっと映像制作をされている人ならば、一度は憧れたことがあるのではないでしょうか」

近藤亮太、寺内康太郎の2人はUFOを目撃したことがあるのか? [c]テレビ東京
近藤亮太、寺内康太郎の2人はUFOを目撃したことがあるのか? [c]テレビ東京

――もう一つ聞いておきたいのは、放送決定時の第一報のコメントで、寺内さんが「10人に1人がUFOを見たことがある」と書いていたことです。お二人は目撃されたことがありますか?

近藤「僕はないですね…」

寺内「僕は数年前に、ニコニコ動画の生放送で心霊ドキュメンタリーの配信をやっていた時に生まれて初めて見ました。光が早く動く程度のものではなく、わりと長時間にわたって光る物体が上空にいて。なんとも説明し難いものだったので、検証もできていないのですが、僕はそれをUFOだと信じています」

「ファウンドフッテージという手法から、一度離れるというのもありなのかもしれない」(近藤)

――最後に、今後の『TXQ FICTION』の展望についてお聞かせください。描きたい題材や、抱負はありますか?

近藤「『TXQ FICTION』自体、実はホラーだと言い切っていないので、怖いとか怖くないにかかわらず、おもしろいことを取り上げていければいいと思っています。“本当らしさ”というものをいちから立ち上げて作っていくこと。それこそファウンドフッテージが常套手段になっているいまの手法から一度離れるというのもありなのかなと」

寺内「まずは大森さんやテレビ東京さんが、『TXQ FICTION』の視聴者についてどう考えるか、という点に僕は興味があります。『TXQ』の前にも、キタ二タツヤさんのМV『素敵なしゅうまつを!』や『祓除』から、大森さんと作品づくりをともにしてきましたが、それ以前の大森プロデュース作品と比べると、リアリティに対して、より強く重きを置くようになったと感じています。だからこそ、大森さんは今後、より日常的なフェイクドキュメンタリーを求めていくのではないでしょうか。例えば、ある一日の些細な出来事のなかに、喜びや感動がある――そうしたエッセイ的な表現とか。そうなったときに、そこへ色を与え、物語としておもしろくしていくことが、僕たちの仕事なのだと思っています」

【写真を見る】衝撃的なラストが話題の「UFO山」。その舞台裏を独占インタビュー [c]テレビ東京
【写真を見る】衝撃的なラストが話題の「UFO山」。その舞台裏を独占インタビュー [c]テレビ東京

近藤「ちょうど先日、リドリー・スコットとトニー・スコット兄弟が製作総指揮を務めた『LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語』を観返したので、これの“すごく嫌なバージョン”を作れたらちょっとおもしろいかもしれないですね。ただ今作で思ったのは、おもしろそうなものほど作るのが大変なので、自分を思い切り奮い立たせなくてはいけない。だからいまは一回真っ白で、次回作のことを考えられない気分なんです。宮崎駿監督のように引退宣言でもして構想を練って、次撮る時にまた復帰宣言をしようかなんて考えています(笑)」

取材/編集部

構成・文/久保田 和馬

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