「サチさん、よかったらうちに来ませんか？」寒い夜のやさしい少年の声…予想外の展開に涙腺崩壊!!【作者に訊く】

「シロさん」「雪ちゃん」「大福さん」「わたあめさん」…彼女にはたくさんの名前があった。古い家に住んでいる彼女は、色白で白髪。いつも白色の着物を着て縁側に座るかわいいおばあちゃんだった。名前を尋ねると「好きに呼んでくれていいわよ」と言う。町内の人たちは彼女のことを、その見た目から“白”になぞらえた思い思いの名前で呼んでいた。

本作を描いたのは、2013年に「王国の子」で「ブロスコミックアワード大賞」を受賞したのち、2014年に「真空融接」が単行本化されて漫画化デビューしたびっけ(@BK0418)さん。初受賞作の「王国の子」はのちに単行本化され、全9巻が刊行された。現在は、「極彩の家(新書館／13巻まで刊行中)」や「エイラと外つ国の王(秋田書店／10巻まで刊行中)」などの代表作を持つ。今回紹介する本作「わたしは名前がたくさんある白」は、2024年7月に「第1回マンガノ大賞」の最終候補賞を受賞した話題作だ。びっけさんに本作について話を聞いてみた。

繊細な作画で描かれた感動のストーリー

本作「わたしは名前がたくさんある白」の作者・びっけさんに作中でのお気に入りのシーンについて訊ねると「入試結果を見たあとに雪の中をサチさん(おばあちゃん)のところに駆けつけた少年の表情と、サチさんの本当の姿です(だいぶ終盤ですが)」と教えてくれた。

「このシーンを目指して描いた」とビッケさんが語るほどに思い入れのあるこれらの場面には、読者から「○○かと思って読んでいたけどそっちか！」「△△じゃなかったのか…！」という予想を超える展開に驚く声が多く届けられている。

ちなみに、あまりの人気ぶりに一時紙の本の販売が売り切れとなってしまっていた本作だが、現在はしっかりと購入できる状態となっているようだ。「COMITIAというイベントにも参加していますのでこちらでもお求めいただけます」と話すビッケさん。本作以外にも髪の毛の色をテーマに子供たちの成長や青春を描いた和風ファンタジー漫画「極彩の家」や、不穏な噂がある隣国の王子の元へ嫁ぐことになった姫様の数奇な運命を描いた漫画「エイラと外つ国の王」など、さまざまな作品を手掛けているようで、その精力的な創作活動からは目が離せない。

まさに「涙腺崩壊」とはこのこと。"名前がたくさんあるおばあちゃん"を巡る感動のストーリーが気になる人は、ぜひ一度読んでみては？

取材協力：びっけ(@BK0418)

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