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古賀葵が見つめた“四宮かぐや”の成長と7年の軌跡――『大人への階段』で描かれる、恋のその先

  • 2025.12.30
古賀葵 クランクイン! 写真:吉野庫之介 width=
古賀葵 クランクイン! 写真:吉野庫之介

アニメ第1期の放送から、まもなく7年。多くのファンに愛され続けてきた本作が、テレビスペシャル『かぐや様は告らせたい 大人への階段』として再び帰ってくる。そこに描かれるのは、恋人になったその先――“大人になる”という変化を迎えた、四宮かぐやと白銀御行の新たな姿だ。本作で主人公・四宮かぐやを演じる古賀葵に話を聞くと、その言葉の端々からは、キャラクターとともに歩んできた時間の重みと、作品への深い愛情が滲み出ていた。副題『大人への階段』に込められた想い、久しぶりに集結した“かぐや様”チームの空気感、そして7年間をともに過ごしてきたかぐやへの想いまで。帰ってきた『かぐや様』の今を、彼女の言葉とともに紐解いていく。

【動画】古賀葵、“四宮かぐや”と歩んだ7年を振り返る

■「ここまで来たんだな」積み重ねてきた、かぐや×白銀の時間

――今作は『大人への階段』が副題となっていますが、ここまで長い時間をかけて築かれてきた、かぐや×白銀の関係は、今どんな段階に来ていると感じますか?

古賀:第1期の頃を思い返すと、本当に「ここまで来たんだな」と感じます。いろいろなことがありましたし、決して一直線ではなかったですけど、その分、一つひとつを乗り越えながら、確かに成長してきた関係だと思うんです。

生徒会のみんなや、周囲の人たちとの関わりがあったからこそ、かぐやと会長(白銀御行)の絆もより深まっていったんだろうな、と。そうした積み重ねを振り返ると、第1期から歩んできた時間がすごくはっきりと感じられますし、今は“ちゃんと築かれてきた関係”の場所に立っている、そんな段階に来ている気がします。

『ファーストキッスは終わらない』の時点で、ふたりはもう“階段を登り始めた”感覚がありましたよね。そこからさらに階段を上っていくと考えると、また一つ先のフェーズに入るんだな、と思いました。

『かぐや様』はラブコメではありますが、今回はその“ラブ”の部分が、より前に出てくるのかなと感じています。かぐやと会長が、お互いの気持ちにちゃんと向き合った状態で進んでいく物語が描かれるのかなと思うと、すごくいろいろな期待が膨らみましたね。

――初期の頃と比べると、かぐやは“誰かを想うこと”を自然に受け止められる、普通の少女になりましたよね。

古賀:そうですね。最初の頃は、人との関係や、誰かを想う気持ちを、まっすぐに受け取ることができなかった子だったと思うんです。それが今では、こんなにも素直に、自分の感情を誰かに向けられるようになっていて。なんだか親みたいな気持ちになってしまうんですけど、「よかったね」「頑張ったね」って言いたくなります。

すごく微笑ましいですし、同時に「いい人たちに恵まれたんだな」とも感じていて。でも、その出会いを引き寄せたのも、やっぱりかぐや自身の魅力なんですよね。そう思うと、彼女が歩んできた時間そのものが、とても愛おしく感じられます。

■“知らない未来のかぐや”と向き合って

――PVでは“大人になったかぐや”の姿も描かれています。大人かぐやを演じる際に、意識したことを教えてください。

古賀:最初に台本をいただいた時、「あれ? なんかいつもと違うぞ……?」と思ったんです。読み進めていくうちに、「大人やん……!」って(笑)。そこで初めて、“大人になったかぐや”が描かれるんだと知りました。

原作はもちろん読んでいましたが、この“大人かぐや”は、原作にも描かれていない、本当に知らない姿のかぐやなんですよね。だからこそ、「どうしよう……」という気持ちも正直ありました。私自身も、皆さんと同じように見たことのない未来のかぐやを、想像しながら補い、形にしていかなければならなかったので、すごく緊張しました。

ただ、現場に行くと「じゃあ、とりあえずやってみましょうか」という雰囲気で始まって(笑)。ドキドキしながらも、そこから少しずつ、大人のかぐやに向き合っていった感じです。

前作の収録から約3年という時間が空いていたことも、大きかったのかもしれません。これまでの思い出を、アルバムをめくりながら、ひとりで語っていく。その感覚が、自然と自分の中にもあったんです。アニメが始まってから数えると、7年ほどの時間が流れていて、思い出がちゃんと“アルバムの記憶”として残っていた。その空白があったからこそ、あのアルバムのシーンは生まれたんだろうな、という気がしています。

――久しぶりに集結した『かぐや様』チームでの収録はいかがでしたか?

古賀:会長役の古川慎さんとは、今回ほぼ全編をご一緒できたので、本当にありがたかったですね。一方で、『大人への階段』の収録で久しぶりにお会いする方も結構いらっしゃって。どこか同窓会のような気持ちもありつつ、「またここから始まるんだな」という緊張感もあり……少し恥ずかしいというか、話しかけるのにもドキドキしてしまって。もしかしたら、ちょっとよそよそしく見えていたかもしれません(笑)。

そんな中で、ナレーションの青山穣さんが、会った瞬間に「わ〜古賀ちゃ〜ん!」って、いつも通りのテンションで迎えてくださって。それが本当に嬉しくて、「ああ、帰ってきたな」って気持ちになりました。喜びがぎゅっと詰まった、あたたかい収録だったなと思います。

それから、藤原千花役のここちゃん(小原好美さん)とも、今回は一緒に収録できました。別の現場やプライベートでは会っているんですけど、それでも「この場所で会うのはちょっと緊張するな」という、不思議な感覚があって。久しぶりに集まったキャストの皆さんも、スタッフさんも、ずっと一緒に作品を作ってきた“知った顔”ばかりだからこそ、3年という時間を経ての再集結には、自然と気合いが入りました。

原作では描かれていなかった部分も少しずつ加わっていて、「よし、やるぞ」「戦うぞ」というような、いい意味での緊張感が現場にあったんです。その空気感も含めて、とても印象に残るアフレコでしたね。

■現場が仕掛ける『かぐや様』らしさ

――今作のアフレコで、特に印象に残っているシーンややり取りはありますか?

古賀:会長に「かぐや」と、初めて下の名前で呼ばれるシーンですね。古川さんが本当にいろんなニュアンスの「かぐや」を出してくださって。「さすがだな」と思いました。

そして、『かぐや様』の現場ならではのコメディ力の高さも詰まっていて……どこで一泡吹かせてやろうか、みんなが虎視眈々と狙っている感じが、「これこれ!」って思える瞬間でもありました。

そうした要素が、今作にはいろんなところにたっぷり散りばめられています。“帰ってきた『かぐや様』感”を、ぜひ楽しんでいただきたいですね。キュートなところはさらにキュートになっていますし、ドキドキも、キュンキュンもあります。あまり深くは言えないんですけど……ぜひ、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

――今作では、かぐやと早坂の関係性にも変化が描かれていますが、その点についてはどのように感じましたか?

古賀:そうですね。早坂は、かぐやにとって本当に大切な存在ですし、その関係性が改めて描かれること自体が、すごく嬉しかったです。長く応援してくださっている方ほど、「ここも見たい」「あそこも気になる」と思う瞬間が、きっとたくさんあると思うんです。

でも、あえて“すべてを見せない”からこそ、そこから先を自分で想像できる楽しさも生まれるんじゃないかな、とも感じていて。その余白も含めて、味わってもらえたら嬉しいですね。

エモーショナルなシーンも本当にたくさんあって、「ああ、よかったな」と心から思える瞬間が何度もありました。正直、欲を言えば全部見たいです(笑)。でも、それ以上に素敵な“供給”がしっかり用意されているので、ぜひじっくり楽しんでいただけたらと思います。

■7年間ともに歩んだ、四宮かぐやへの想い

――OPテーマ、鈴木雅之 feat. 古賀 葵「アブナイキオク」について、楽曲の魅力やレコーディングのエピソードを教えてください。

古賀:「アブナイキオク」というタイトルからして印象的なんですけど、今作で描かれている、かぐやと会長が少しずつ“大人”になっていく過程、いろいろな意味で成長していく姿が、そのまま楽曲の世界観や歌詞に落とし込まれているなと感じました。

歌詞を読み進めていくと、大人っぽいテイストでありつつ、その中に、これまでのかぐやと会長の関係性を連想させるようなニュアンスもあって。勝手ながら、「あ、ここはあのシーンっぽいな」と思える部分がいくつもあったんです。なので、コーラスを歌わせていただく時も、これまでかぐやが抱いてきた想いや、積み重ねてきた時間を、少しでも一緒に乗せられたらいいなと思いながら歌わせていただきました。

――レコーディングの際、鈴木雅之さんとお話しする機会もあったそうですね。

古賀:最初に聞いていたのは、「レコーディングには鈴木さんはいらっしゃらない」というお話だったんです。お忙しいですし、スケジュールのご都合もあるので、鈴木さんの音楽チームの皆さんと、作品のスタッフさんたちと一緒に収録を進めていました。

かぐやとして(これまでのキャラクターソングを)歌唱させていただくときの音楽チームの皆さんとはまた違う現場だったので、それだけでもドキドキしましたが、「じゃあ、もう少しこうしてみましょう」「このニュアンスはどうかな?」と、たくさんアイデアを出していただいて。その一つひとつに必死についていきながら、「ここはこういう想いで歌いたいです」と、自分なりの気持ちも伝えつつ、とにかく全力で臨んでいました。

それで、一通り録り終えて、「じゃあ、聴いてみましょうか」となった瞬間、バンッと扉が開いて……鈴木さんが登場されたんです(笑)。「え!? いらっしゃらないはずでは!?」って、もうプチパニックでした。

でも実は、最初から「全部録り終わった後に顔を出そう」と考えてくださっていたみたいで。「最初からいたら緊張しちゃうでしょ?」って。その心遣いに、もう胸がいっぱいになってしまって……本当にありがたかったです。

「ついに、かぐや様と一緒に歌えて嬉しいよ」と声をかけていただいた時は、もう……なんて素敵な方なんだろうって。嬉しさと光栄さと、「この楽曲が、もっとたくさんの人に届いてほしい」という想いが、いっぺんに込み上げてきた瞬間でした。

――最後に、長い時間をともに歩んできた四宮かぐやというキャラクター、そして作品を支え続けてきたファンの皆さんへ、今あらためて伝えたい想いを教えてください。

古賀:改めて「もう7年も経つんだ」と思うと、本当に長い時間を一緒に歩んできたんだな、と実感します。この作品に関わらせていただいたことで出会えた人たちや、かぐやを演じたからこそ見えた景色が、本当にたくさんあって。そう思うと、かぐやには……なんと言葉にすればいいのかわからないくらい、感謝と恩があって、とても大切な存在であり、大切な作品です。

そして、そのかぐやたちが、こうして長い時間をかけて、たくさんの方に愛され続けてきたことを、『大人への階段』という形で、また皆さんに届けられることが、本当に嬉しくて。それは間違いなく、ずっと応援してくださった皆さんがいてくださったからこそだと思っています。

原作の頃から作品を愛してくださっている方、アニメをきっかけに『かぐや様』を好きになってくださった方……そのすべての存在があったからこそ、私たちも再び集まって、こうして新しい物語を紡ぐことができました。本当に、感謝の気持ちしかありません。

ずっと待っていてくださった方、ずっと愛してくださった方に、1秒でも多く心に残る時間を届けられる作品になっていたら嬉しいです。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

新作テレビスペシャル『かぐや様は告らせたい 大人への階段』は、12月31日22時からTOKYO MX、とちぎテレビ、BS11、1月1日0時から群馬テレビ、2日25時15分からMBS、3日26時35分からRKB毎日放送、4日26時からテレビ新潟で放送。

『かぐや様は告らせたい 大人への階段』古賀葵インタビュー

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