1. トップ
  2. レシピ
  3. 「お雑煮の味が決まらない…」を解決!“味迷子”にならないコツと材料選び

「お雑煮の味が決まらない…」を解決!“味迷子”にならないコツと材料選び

  • 2025.12.30

料理にまつわるちょっとしたお悩みに、人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんが答える、フーディストノートの公式連載。今回は「お雑煮の味がなんだか決まらない…」というお悩みがテーマです。塩?しょうゆ?どれを足せばいいのか迷ってしまう方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

こんにちは!かな姐です。

今年も「お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室」をお読みいただきありがとうございました。

みなさまからいただいたご質問は私自身が改めて料理に真面目に向き合うきっかけになったり、わたしが普段思いもしなかった視点で考えるきっかけになったりするので、本当に勉強になっています。いつもありがとうございます!

今回のお悩み相談:お雑煮のだしが薄い・味が決まらない

さて、2025年最後に選ばせていただいた料理のお悩みはこちらです。

「お雑煮の味が薄くて調味料を足したいとき、どの調味料を足せばいいのかわからず、足しては味見を繰り返してしまいます…」 「お雑煮のだしが薄くて、おいしく作れません」

お正月の定番料理、お雑煮についてです。

新しい年をお祝いする料理ですし、ここは丁寧に作って家族をあっと言わせたい!普段は顆粒だしやめんつゆを使ってそれなりの味でなんとなくごまかしているけど、たまには本格的なおだしから作るお雑煮を味わってみたい!

という方も多いのではないでしょうか。

うちは関西在住で、オットの実家では白みそのお雑煮でした。しかもそのお雑煮に入っているお餅にきな粉をかけて食べる習慣があり(義父の故郷が奈良なので、そのあたりのお雑煮だそうです)、一方でわたしの実家はお澄まし仕立てのお雑煮。そんな背景もあって、わたしが作るお雑煮も長らくお澄まし仕立てでしたが、ここ数年は白みそ好きの長女のリクエストもあり、白みそベースのものとお澄まし仕立てのものを日にちをずらして作り、両方を楽しんでいます。

今回こちらでご紹介させていただくのは、お澄まし仕立てのお雑煮です。

お雑煮は郷土料理なので、地方によって入れる具材やだしもいろいろだと思うのですが、これはそこまで特徴も出さずどなたにでも作っていただけるよう、そろえやすい材料でシンプルに作ってみました。根菜類も入れないので皮をむいたり煮込んだりする必要もなく、わりと短時間でできあがると思います。

だしが決め手!お雑煮作りはここから始まります

まずはおだしからです。

今回はいつもよりちょっと多めに4人分のレシピでご紹介します。

昆布の種類で変わる、お雑煮のだしの味わい

昆布は日高昆布を使用しましたが、せっかくのお正月ですのでもっといいものを!という方には羅臼昆布がおすすめです。

上品で極上のおだしが味わえます。

ここで使う昆布の種類によってだしの味わいや仕上がりが全く変わってくるので、せっかくのお正月ですから自分の中での最高のお気に入りの昆布をお使いになってくださいね。

わたしのおすすめは羅臼です。

鍋に分量の水と昆布(10cm四方くらい)を入れ、30分以上このままおいておきます。

昆布は固く絞ったぬれ布巾で拭く、と家庭科の教科書には書いてありますが、わたしはやったことがありません。

これはたぶん、昆布の表面についた汚れを落とすための作業。 ただし、このとき決して洗ってはいけません(これが大事です)。

さっとでも洗ってはダメで、なぜなら昆布の表面についている白っぽい粉のようなもの、これが昆布のうまみ成分ですので、洗ってしまうとこれが流れてしまうからです。

昆布は自然界のものですから、砂などが付いている場合もあり、それを落とす意味で表面を軽く拭くというわけですが、わたしのように自己責任で省略するのもありです。気になる方は、表面をさっと拭くくらいで十分です。

昆布をゆっくり水に漬けている間に、具材を用意していきます。

だしにうまみを加える鶏もも肉の選び方と下処理

ここで今回必ず入れてほしいのが鶏もも肉です。

それもちょっといい鶏肉を選ぶとよりいいでしょう。うちの近所のスーパーに行くと大体3種類くらいの鶏肉が売っているんですが、一番安いのがブラジル産で、真ん中くらいの値段で一番売り場面積が大きいのが国産の鶏肉、そしてそれよりはちょっとお高めになる銘柄鶏の鶏肉。

今回は、照り焼きチキンやから揚げのように濃い味付けでこってり食べる料理ではなく、素材のうまみをいかしたシンプルな料理。 なので、こういう場合は素材がよいものを選ぶようにすると、よりおいしくなると思います。

鶏肉の臭みもほとんどなく、だしによい味がしみ出てくれますし、具として食べたときにももちろんおいしく、お雑煮が極上の味わいになってくれます。

とはいえ、メインの料理ではなく汁物なので鶏肉の量は150gくらいでよいです。

あとは香りのよいしいたけを選びましたが、これはお好みで大黒しめじやそのほかのきのこでもよいです。

あとは青みにゆでたほうれん草を用意しましたが、小松菜や水菜などで代用してくださってもかまいません。

半分サイズにカットした鶏肉ですが、余分な脂肪や白い筋、軟骨などをきれいに取り除きます。

こうすることで雑味がなくすっきり澄んだ味わいのおだしになりますので、ここは丁寧に。

2cm角くらいに切って下味をもみ込みます。

こうすることで鶏肉の臭みを抑え、鶏肉を口に入れたときのおいしさがアップします。

そうそう、鶏肉を切る前にしいたけも薄切りにしておきました。

昆布を付けておいたお鍋は中火にかけます。

お湯が煮立ってくる直前くらいで昆布は取り出します。普段、おみそ汁やおでんを作るときなどは、わりと入れっぱなしにして昆布も具のひとつとして食べちゃうんですが、昆布は長時間煮立たせると、とろみが出てくるんです。

今回はお正月なのでそれは避けたい…というわけで、

昆布は取り出しました(これは刻んで佃煮にしてもいいし炊き込みご飯の具にしたり五目豆にしてもいいでしょう)。

後ろの鍋が煮立っていますね。ここに先ほど下味をもみ込んでおいた鶏肉を入れ、あくをすくいます。

あくをすくったらここで調味料を入れていきます。

酒、しょうゆ、塩を加えます。

味が決まらないときの調味の考え方

このときよく「薄口しょうゆ」となっているレシピが多いですが、ご家庭に薄口しょうゆを常備している方は少ないと思いますし、濃い口しょうゆで作ることもできるので、わたしはいつも通り「濃い口しょうゆ」で作っています。ただ、色が濃くなってしまうのでしょうゆの量は少なめにし、塩分は塩で調整するイメージです。

つまり、色を出したくないときは「しょうゆは控えめ、足りない分は塩で調整」がおすすめです。

再び煮立ったら、ここでしいたけを入れます。

しいたけのせっかくの香りが飛んでしまわないよう、最後に入れます。

しいたけに火が通ったらここで味見をします。

昆布、鶏肉、しいたけと3種類のうまみが溶け合って、極上の味わいになっているはず!

薄く感じられたら塩を足し、濃すぎたなと思ったら水を足します。大丈夫、焦らなくても。失敗じゃありません。

お椀にゆでたほうれん草(入れる前にもう一度絞って)、トースターで焼いたお餅を入れてスタンバイさせておき、ここに先ほどの汁を具ごとたっぷりと注ぎます。

これだけでもいいのですが、さらに香りづけとしてここに加えたいのがかつおぶしと柚子の皮。

香りのよい素材をここでトッピングしてあげることで、料理がワンランクアップします。

柚子がなければ三つ葉でも。 柚子こしょうを散らしたり、粉山椒や七味など香りのあるものをそっとトッピングするのもおすすめです。

料理に香りがあるのとないのとでは雲泥の差。香りが添えてあるだけで、3割増しでおいしくなります。

柚子の皮は今の季節なら手に入りやすいですよね!手に入りやすい季節に買って、皮を丁寧にそいで(白い部分は入れないように皮の表面だけ)、ラップに包んで冷凍しておけば、柚子の季節ではない時期にも味わえて便利です。わたしはいつもこの方法で冷凍庫にストックがあるので、一年中楽しめています。

では、最後に今回のお雑煮のレシピです。

おだしを味わう吸い物仕立ての絶品「お雑煮」レシピ

分量

4~5人分

材料

  • 鶏もも肉…150g
  • しいたけ…2~3枚(サイズが小さくて薄いものなら5枚ほど)
  • ほうれん草…1/2束(別ゆでして絞ったもの)
  • 昆布…10cm四方のもの1枚
  • 水…1000ml
  • A 酒…大さじ2
  • A しょうゆ…大さじ1
  • A 塩…小さじ1
  • B 酒…大さじ1/2
  • B 塩…ひとつまみ
  • 餅…人数分
  • 柚子の皮、かつおぶし…各適量

作り方

1. 昆布は分量の水とともに鍋に入れて30分おく。

2. しいたけは薄切り、鶏肉は余分な脂肪や筋を切り落として掃除し、2cm角に切ってボウルに入れ、Bをもみ込む。

3. 1を中火にかける。ぐらぐらと完全に煮立つ直前に昆布を取り出す。ここに下味をもみ込んだ鶏肉を入れ、あくをすくう。

4. Aを加え、再び煮立ったらしいたけを加えて静かに2分ほど煮る。味見をする。

5. 餅はトースターで色づくまで焼き、汁椀にほうれん草と一緒に入れる。4を静かに注ぎ、柚子の皮のせん切りにしたものとかつおぶしをのせる。

※ほうれん草は入れる前にもう一度水気を絞る

お悩みへの答え:お雑煮の味が薄いと感じたら

最後に、質問の答えについてですが、

Q1. お雑煮の味が薄くて調味料を足したいとき、どの調味料を足せばいいのかわからず、足しては味見を繰り返してしまいます…。

A. 味が足りないときは塩を足してみましょう。濃いときは水を足して調整してみてください。

Q2.お雑煮のだしが薄くて、おいしく作れません。

A. 仕上げに香りのあるもの(柚子の皮など)を添えて、おいしさをアップさせましょう!


ぜひ、お試しください。

ではよいお年を。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

元記事で読む
の記事をもっとみる