1. トップ
  2. ファッション
  3. エルメス初の腕時計として誕生した「アルソー」。普遍的な美しさを持つ現行モデルをピックアップ

エルメス初の腕時計として誕生した「アルソー」。普遍的な美しさを持つ現行モデルをピックアップ

  • 2025.12.30
Hearst Owned

数あるなかでも「名品」と呼ばれ、世代を超えて語り継がれる時計についてひもとく連載「語り継がれる名品ウォッチ」。ガイドは、ジュエリー&ウォッチをこよなく愛するライターの沼田珠実さん。

「多くの女性にとって、あこがれのブランドのひとつであろうエルメス。バッグや宝飾品など、さまざまな人生の節目に購入してきたという人も多いかもしれません。私もそのひとりではありますが、やはり興味の矛先は革製品ではなく宝飾品でした。特に時計は革製品に比べて買いやすい価格設定ということもあり、若かりし日の私でも手が届きやすく、ファースト・エルメスウォッチとしてお迎えしたのは、今は販売が終了してしまった『ベルト』というコレクション。エルメスのウォッチというと『Hウォッチ』『ケリー』『ケープコッド』など、さまざまな魅力的なコレクションがありますが、今回はそのなかでも一番歴史が長く、エルメス初の腕時計として登場した『アルソー』を深掘りしたいと思います」

エルメスの「アルソー」誕生ヒストリー

1837年に創業したエルメス。馬具商からライフスタイル全般を彩るメゾンへ

ティエリ・エルメスによって小さな馬具工房として1837年に創業したエルメス。1880年にはパリのバス・デュ・ランパール通りから現在のブティックの所在地、フォーブル・サントノーレ24番地に店を構え、馬具の製造だけでなく鞍を入れる鞄の販売も開始した。

のちに3代目となるエミール・エルメスは時代や人々のライフスタイルの変化をいち早く察知し、馬具の海外輸出だけでなく、スカーフや手袋など女性のための革製品の製作・販売もスタート。そして衣服や時計、宝飾品など展開アイテムを広げていった。

時計づくりの原点は懐中時計にレザーベルトをつけた「ポルト・オニオン」

1912年に撮影された、3代目エミール・エルメスの4人の娘たち。左からイボンヌ、ジャクリーヌ、シモーヌ、アリーン。 Julie Hermès / Archives historiques Hermès

エルメスの時計づくりの物語は約110年前まで遡る。ある休日に撮影された3代目エミール・エルメスの4姉妹の写真のなかで、左から2人目のジャクリーヌが手首に時計をつけている。懐中時計にエルメスのアトリエで作られたレザーストラップを付け、腕時計に仕立てたこの時計は「ポルト・オニオン」と名付けられ、メゾンにとって時計製造の原点となり、その精神と理念は現在にも受け継がれている。

その後、1920年代から時計販売を開始してきたが、1978年、スイス・ビエンヌに「ラ・モントル・エルメス(現 エルメス・オルロジェ)」社を設立し、時計製造業界に本格的に参入。まさにその年に、メゾン初となる腕時計コレクション「アルソー」を発表した。

「ラ・モントル・エルメス(現 エルメス・オルロジェ)」社。 ©Hermès

馬具工房としてのメゾンの歴史と時計製造技術が融合した「アルソー」

「アルソー」をデザインしたのはアンリ・ドリニーで、そのデザインはまさにエルメスの馬具工房としてのDNAと歴史を感じさせるものだった。馬の鐙(あぶみ)から着想されたこのモデルは、丸型のケースにたてがみを連想させるような、流れるような斜体インデックスが配されているのが特徴で、クラシックさとユニークさを兼備し、瞬く間に脚光を浴びることになる。

1978年に誕生した「アルソー」の初代モデル。 ©Hermès
©Hermès

その後、馬具製造で培われた卓越した職人技と自由な発想により、世界初となるドゥブルトゥール(2重巻き)ストラップや、複雑機械式時計など、多様な進化を遂げながら、さまざまなモデルを発表。「アルソー」は、その後に続くウォッチコレクションの始まりであり、メゾンの核となる大切なタイムピースであり、現在も人気コレクションとしてファンを魅了し続けている。

今手に入れるなら。「アルソー」の注目モデル【スペック付き】

初代の美しさを体感できるオーセンティックなモデル

ウォッチ「アルソー」(SS、36mm)¥514,800 <strong>Hermès</strong> ©Hermès

初期モデルをほぼ忠実に受け継いだ1本。女性の腕にもフィットするユニセックスの36mmサイズは、パートナーとシェア使いするのもおすすめ。ストラップは簡単に付け替え可能なので、数本持っているとファッションや気分に合わせて、雰囲気を変えながら楽しめる。社会人生活スタートの節目など、ファースト・エルメスウォッチとしてもぴったり。

基本情報
ケースサイズ:36mm
ケース素材:ステンレススティール
リューズ素材:ステンレススティール
文字盤色:ホワイトラッカー
防水性能:3気圧の日常生活防水
ストラップ/ブレスレット:シンプルトゥール・レザーストラップ(ヴォー・スウィフト)

女性がつけやすいサイズ感とエルメスカラーで手元を華やかに演出

ウォッチ「アルソー」(SS、28mm)¥488,400 <strong>Hermès</strong> @Hermés

手元に知性を添えてくれる28mmのスモールモデル。シーン、装いを問わず活躍し、私たちの日常に寄り添う1本。ベーシックカラーのストラップとは別に、身につけるだけで気持ちまで弾むオレンジなど、ポップなカラーのストラップもそろえておくと楽しさの幅がより広がる。

基本情報
ケースサイズ:28mm
ケース素材:ステンレススティール
リューズ素材:ステンレススティール
文字盤色:ブラン・マット
防水性能:3気圧の日常生活防水
ストラップ/ブレスレット:シンプルトゥール・レザーストラップ(ヴォー・スウィフト)

美しい夜空を手元にまとう贅沢さを堪能したい

ウォッチ「アルソー プティット リュンヌ」(SS×MOP×ダイヤモンド、38mm)¥2,750,000 <strong>Hermès</strong> @Hermés

「アルソー」の基本的なDNA、フォルムはそのままに、新しい解釈が加えられて誕生した機械式腕時計。ダイヤルには幻想的な夜空が広がり、さらに月の満ち欠けを表すムーンフェイズ表示も備え、デザイン全体の神秘的なアクセントに。ベゼルに一周セットされたダイヤモンドや、夜空に光り輝く星としてダイヤルに配されたダイヤモンドがブルーに映える、美しく気品あふれる1本。

基本情報
ケースサイズ:38mm
ケース素材:ステンレススティール
リューズ素材:ステンレススティール
文字盤色:グラデーションブルーラッカー仕上げマザーオブパール
防水性能:3気圧の日常生活防水
ストラップ/ブレスレット:シンプルトゥール・レザーストラップ(アリゲーター・リス)

ジェローム・コリヤールのデッサンに着想を得た大陸のモチーフ

ウォッチ 「アルソー ル タン ヴォヤジャー」(SS、38mm)¥4,125,000 <strong>Hermès</strong> @Hermés

ジェローム・コリヤールのデッサン「乗馬の世界地図」のモチーフにインスパイアされて誕生。ダイヤルには、エルメスのスカーフにも描かれている想像の世界地図が広がり、中心からずらした位置に文字盤を持つオフセンター式で、この文字盤は操作によって位置が移動。またエルメスのためだけに開発されたディスクに世界24都市のタイムゾーンが表示され、2つの都市の時刻を確認できる画期的な機能が搭載。海外旅行のパートナーに選びたい1本。

基本情報
ケースサイズ:38mm
ケース素材:ステンレススティール
リューズ素材:ステンレススティール
文字盤色:ブルー
防水性能:3気圧の日常生活防水
ストラップ/ブレスレット:シンプルトゥール・レザーストラップ(アリゲーター・マット)

私が選ぶ、「アルソー」ウォッチ

宝飾マニアの沼田珠実さんが狙う、「アルソー」ウォッチとは?

ウォッチ「アルソー」(PG×ダイヤモンド、30mm)¥2,090,000 <strong>Hermès</strong> @Hermés

ピンクゴールド×ダイヤモンド×ホワイトという上品さに心ときめきました。ベーシックな「アルソー」も魅力的ですが、ピンクゴールドとダイヤモンドを使用し、ジュエリーウォッチとして昇華したエレガントなモデルも美しく、その品格ある佇まいには思わずため息が。ストラップの付け替えで、その印象は変幻自在に様変わりし、さまざまなシーン、装いにフィットしそう。何気ない日常を飾り、手元に圧倒的なオーラを添えてくれるウォッチです。

基本情報
ケースサイズ:30mm
ケース素材:ピンクゴールド
リューズ素材:ピンクゴールド
文字盤色:スパークリングホワイトラッカー
防水性能:3気圧の日常生活防水
ストラップ/ブレスレット:シンプルトゥール・レザーストラップ(アリゲーター・マット)

問い合わせ先/エルメスジャポン tel. 03-3569-3300

※SS(ステンレススティール)、PG(ピンクゴールド)、MOP(マザーオブパール)と略記で表記しています。価格は公開日時点のものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる