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『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』『映画ラストマン -FIRST LOVE-』が初登場!年末年始は“テレビドラマの劇場版”が新たな風物詩に?

  • 2025.12.29

2025年最後の週末となった12月26日から12月28日までの全国映画動員ランキングが発表。本格的な冬休みに到来し、『ズートピア2』(公開中)の勢いはますます加速。今週も2位以下に大きな差をつけて、公開初週末から4週連続のNo.1を勝ち取った。その詳細をお伝えする前に、今週は初登場タイトル2本を取り上げていきたい。

【写真を見る】2025年もヒット作が相次いだテレビドラマの劇場版。年末年始こそ、その“安心感”が効果を発揮?

今年の年末も、人気ドラマの劇場版がしのぎを削る!

【写真を見る】2025年もヒット作が相次いだテレビドラマの劇場版。年末年始こそ、その“安心感”が効果を発揮? [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
【写真を見る】2025年もヒット作が相次いだテレビドラマの劇場版。年末年始こそ、その“安心感”が効果を発揮? [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

2位に初登場を果たしたのは、天海祐希主演で2014年のスタート以来、2つのスペシャル版を含む5シーズンで展開してきたテレビドラマ「緊急取調室」の初の劇場版にして完結編となる『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』(公開中)。映画化の発表から3年、待望の公開となる同作は、初日から3日間で動員17万4000人、興収2億4400万円を記録。

また、福山雅治演じる全盲のFBI捜査官の皆実と、大泉洋演じる刑事の護道がバディを組んで難事件に挑む、2023年4月期にTBS「日曜劇場」で放送された「ラストマン -全盲の捜査官-」の劇場版『映画ラストマン -FIRST LOVE-』(公開中)は4位に初登場。こちらは初日から3日間で動員13万4000人、興収1億8500万円を記録している。

2014年から5シーズンにわたって放送されてきた「緊急取調室」が完結へ [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
2014年から5シーズンにわたって放送されてきた「緊急取調室」が完結へ [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

コロナ禍以降、映画館に観客を呼び戻す起爆剤のひとつとしてアニメ映画と双璧を成している“テレビドラマの劇場版”。この2025年も、昨年末に異例の月曜日公開が選ばれた『グランメゾン・パリ』(24)を皮切りに、『劇場版 孤独のグルメ』(25)や『劇場版 トリリオンゲーム』(25)、そして夏休みに大ヒットを記録した『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(25)など、人気ドラマの劇場版が相次いだ。

2000年前後に「踊る大捜査線」シリーズが火付け役となった前回のブームの頃には、“テレビスケール”の作品が相次いだことでやや批判的に見られたこのジャンルだが、昨今はかなり力の入った作りをした作品も目立つ(逆にテレビドラマ自体も映画的なスケール感を意識した作品が増えてきたようにも思える)。深夜ドラマなどスケール感を出すことが難しい作品では、テレビ放送と巧みに連動させるなど“映画として観る意味”を新たに創出するなどの試みも見受けられている。

福山雅治と大泉洋の凸凹バディの活躍を描く『映画ラストマン -FIRST LOVE-』は4位スタート [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
福山雅治と大泉洋の凸凹バディの活躍を描く『映画ラストマン -FIRST LOVE-』は4位スタート [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

とはいえ、やはりこのジャンルの最大の特色は、テレビでリラックスして観ていた作品を劇場でも味わえるという“安心感”に他ならない。先述の『グランメゾン・パリ』をはじめ、年末年始に期待値の高いテレビドラマの劇場版が公開され期待通りのヒットを収めているのは、普段映画館にあまり足を運ばない客層がやってくる長期休みだからこそ、“安心感”が求められた結果なのではないだろうか。

2021年の暮れは『あなたの番です 劇場版』と『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』、2022年の暮れは『Dr.コトー診療所』、昨年は先述の『グランメゾン・パリ』と『劇場版ドクターX』と、民放各局の作品が満遍なく年末年始に公開されていることがわかる。今年の場合はテレビ朝日系列とTBS系列、すなわち昨年の再戦というかたちになる。今年も例によって好成績を収めているとなれば、年末年始=テレビドラマの劇場版という傾向は、今後もしばらく続いていくはずだ。

驚異の前週比99%!『ズートピア2』の無双状態がまだまだ続く

さて、4週連続でNo. 1に君臨しつづけるディズニー・アニメーションの『ズートピア2』。この週末3日間で動員85万2000人、興収11億5900万円と、前週対比99%というほぼ変わらない数字をキープしている。

『ズートピア2』が4週連続Vで前作超えを達成! [c] 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
『ズートピア2』が4週連続Vで前作超えを達成! [c] 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

累計成績では動員586万人&興収81億2000万円となり、すでに前作『ズートピア』(15)の興収76億3000万円を突破。日本歴代興収ランキングではすでに87位。ディズニー・アニメーション作品(ピクサーは除く)に限れば「アナと雪の女王」シリーズ2作と『ベイマックス』(14)に次ぐ4位で、『ベイマックス』超えは時間の問題となっている。

前週2位に初登場を果たした『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(公開中)は週末3日間で動員13万5000人、興収2億6500万円を記録。累計成績では動員55万人、興収10億円を突破しており、ここから年始にかけての底力に注目したい。

公開30週目を迎えても安定感抜群の『国宝』。大晦日には特別上映会も! [c]吉田修一/朝日新聞出版 [c]2025映画「国宝」製作委員会
公開30週目を迎えても安定感抜群の『国宝』。大晦日には特別上映会も! [c]吉田修一/朝日新聞出版 [c]2025映画「国宝」製作委員会

2025年の映画界の“顔”ともいえる『国宝』(公開中)は、キリのよい公開30週目を迎え、前週の7位から6位にワンランクアップ。累計成績は動員1300万人、興収183億5000万円に到達しており、前週末の時点から2億円以上も興収を上乗せする勢いを保持したまま2026年へ向かうことになる。

12月31日(水)には歌舞伎座でキャスト&監督登壇による特別上映会も開催。全国の映画館での同時生中継も予定されている。いまだに着地点は見えておらず、このままいけば日本の映画興行史上10本目、実写作品としては3本目の“興収200億円”到達もあり得ない話ではないだろう。

『チェンソーマン レゼ篇』は“興収100億円”の大台まであと5000万円! [c] 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト [c]藤本タツキ/集英社
『チェンソーマン レゼ篇』は“興収100億円”の大台まであと5000万円! [c] 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト [c]藤本タツキ/集英社

そして公開15週目を迎えた『チェンソーマン レゼ篇』(公開中)は8位となり、前週末の時点で98億円だった累計興収は99億5000万円。“興収100億円”の大台突入はこの年末年始以降に持ち越しとなったが、達成はほぼ確実な情勢。

2025年はすでに『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(12月28日時点で387億1000万円)、『国宝』、『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』(146億7000万円)の3作が大台を突破。ここに『チェンソーマン レゼ篇』と好調が続く『ズートピア2』が加わることになれば、2003年と2019年、2022年を上回り、過去最多となる年間5作品の“興収100億円”超えが生まれることになる。

以下は、1~10位までのランキング(12月26日〜12月28日)

1位『ズートピア2』

2位『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』

3位『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』

4位『映画ラストマン -FIRST LOVE-』

5位『新解釈・幕末伝』

6位『国宝』

7位『栄光のバックホーム』

8位『チェンソーマン レゼ篇』

9位『楓』

10位『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

2026年の幕開けには、「マクロス」シリーズの生みの親である河森正治が監督を務めた長編アニメ『迷宮のしおり』(2026年1月1日公開)、「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督とミラ・ジョヴォヴィッチが再タッグを組んだ『ロストランズ 闇を狩る者』(2026年1月1日公開)、ジェイソン・ステイサム主演の新作アクション『ワーキングマン』(2026年1月2日公開)などが控えている。

文/久保田 和馬

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