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極悪女子プロレスラーでも子育てで抱える悩みは変わらない! 試合も育児も全力でぶつかっていく爽快ワーキングママコメディ【書評】

  • 2025.12.29

【漫画】本編を読む

子育ての大変さと喜びを描いた漫画は数あれど、ここまで豪快で痛快な作品は珍しいかもしれない。『WWM -極悪レスラー、ママになる-』(しまだ:原作、初瀬白:漫画/KADOKAWA)は、そのタイトル通り、ママになった女子プロレスラーが、試合に子育てに奮闘する育児コメディである。

主人公・丸井小町は、孤魔千(こまち)というリングネームの女子プロレスラー。極悪レスラーとして人気の彼女は、リング上では試合相手を精神的にも追い詰め、泣いた顔を見ることで悦に浸るような性格を持っている。およそ母親とか育児とかいった言葉からは程遠いのだが、一歩リングから下りると、まだ1歳にもなっていない一人娘・小遥のママとなり、慣れない子育てで子どもと一緒に自宅では自分が泣き顔を見せているのだった。

とはいえそこに悲壮感は一切なく、むしろブッ飛んだ試合のスタイルと変わらない勢いで我が子に全力を傾ける。その溺愛ぶりと一生懸命さに笑いながらもほっこりとしてしまうだろう。そんな小町の夫・遥乃介は普通の会社員で、おもに小町の規格外な言動に対してツッコミを入れる役割を持つ。しかし実は彼も彼でなかなかなキャラクターを持っており、仕事が忙しい中でも小町が遠征で家を空けた日には家事と育児を完璧以上にこなし、クールに「ニヤリ」とする。家族への深い愛情は夫婦で変わらないのだが、その表現方法のギャップも本作の見どころだ。

体格差がありすぎる試合相手や高飛車ママ友にも動じることのない肝の据わった小町だが、唯一敵わない存在があった。義母である。厳格そうな義母は口数が少なく、小町は会うたびに緊張してしまうことから、それを克服するために精神力を鍛えるのだった。一方、そんな態度を取る義母は小町に隠した思いがあって――。

仕事、ママ友との関係、義実家。結婚や子育てに立ちふさがる壁は厄介なものが多い。だがそれらを前にしても愛する我が子と夫のために全力でぶつかる小町の姿は笑えて、とても爽快だ。子育て中の人やこれから育児を控えている人に、前向きな気持ちと勇気をくれる作品だ。

文=西改

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