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「マチュピチュ展に行ってきました」が最高にかっこいい理由。ホンモノの至宝約130点とカズレーザーの言葉で味わう天空都市の真実!六本木で3月1日まで開催中

  • 2025.12.29

世界遺産マチュピチュ。その名を聞くだけで胸がざわつく憧れの神秘的な天空都市だ。六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリーでは、そんな謎とロマンに満ちた天空都市を紹介する展覧会「CREVIA マチュピチュ展」が開催中。会場には、ペルーから運ばれた130点以上の本物の至宝だけが展示され、都市の成り立ちや技術、神話の世界まで立体的に感じられる内容になっている。

さらに、オープニングセレモニーには公式ナビゲーターとしてお笑い芸人のカズレーザーさんが登場。世界史好きとしての視点や、思わずクスッと笑えるコメントも交えながら、この展覧会の楽しみ方を軽やかに案内してくれた。今回は、そんな未知の文明を覗いてみたくなる、ワクワクを抱えながら巡る「CREVIA マチュピチュ展」の模様をレポートする。

公式ナビゲーターのカズレーザーさん
公式ナビゲーターのカズレーザーさん

謎と技術が息づくマチュピチュの正体

標高約2400メートル。南米ペルーの深い山脈にひっそりと姿を隠すマチュピチュは、1911年に探検家ハイラム・ビンガムが“再発見”するまで、数百年ものあいだ世界から姿を消していた都市だ。断崖の尾根に突然あらわれる石組みの神殿や住居跡は、太陽を中心とした信仰と天文学、そして高度な農耕技術がひとつに結びついて築かれたものとされている。

本展では、マチュピチュについて詳しくパネルで解説されている
本展では、マチュピチュについて詳しくパネルで解説されている

ただ険しい山の上に都市があったという話ではない。金属製の道具を使わずに石を切り出し、隙間なく積み上げる“精密な石組み”。昼間に熱を蓄えて夜間の霜から作物を守る“段々畑の温度管理”。そして、山肌を縫うように流れる“水路のネットワーク”。どれも、文明の成熟度を物語る技術だと評価されている。

近年は3D LiDARや航空写真によって、地中に埋もれていたテラスや階段、水路が次々と可視化され、当時の都市が想像以上に広く、計画的につくられていたことがわかってきた。自然の地形を読み、環境と調和しながら暮らしていた人々の知恵。そのしなやかで合理的な設計思想こそ、マチュピチュが“天空の都市”と呼ばれ、いまも多くの人を惹きつけ続ける理由になっている。

世界巡回展がついに日本へ。約130点すべてが“ホンモノ”

本展は、2021年にアメリカのボカラトン美術館からスタートし、これまで世界4都市を巡回してきた人気展。累計54万人以上を動員し、ついに日本へ上陸することになった。最大の特徴は、ペルー・リマのラルコ博物館から貸し出された約130点もの文化財が“すべてホンモノ”であること。国外初公開の品も多く、日本でこれだけまとめて見られるのは極めてレアな機会だ。

「CREVIA マチュピチュ展」エントランス
「CREVIA マチュピチュ展」エントランス

さらに今回は、2012年の「インカ帝国展」以来13年ぶりとなる大規模マチュピチュ関連展でもあり、黄金の装飾品や儀礼具、神話世界を描いた陶器など、アンデス文明の核心に迫る品々がそろう。展示室に入ると、金細工が静かに光を返し、戦士が身につけた耳飾りや、儀式に使われた祭具がずらり。ゆったりとした間隔で配置されているので、一点一点とじっくり向き合いやすい構成となっている。

■■本展のおもな展示構成

今回の展示は、ただ順路に沿って眺めるというより、ストーリーを追いながら歩ける“体験型”の構成になっている。どのエリアも雰囲気がガラッと変わるので、少しテーマパークを歩いているようなワクワク感がある。ここからは、その6つのゾーンをカジュアルに紹介したい。

展示の入り口で迎えてくれるのがイントロシアターだ。会場に入ると、アンデスの大地と天空都市マチュピチュを映し出す巨大スクリーンが広がり、霧の尾根を渡る光や神話の英雄“アイ・アパエック”の登場が、これから始まる物語の扉をそっと開いてくれる。この瞬間に気持ちがふっと「古代アンデス」へ切り替わる。

イントロシアターで、マチュピチュの魅力に触れる
イントロシアターで、マチュピチュの魅力に触れる

続いて進むエリアでは、アンデスの人々が信じていた“天空・現実・地下”の三層に分かれた世界観に触れられる。コンドル、ネコ科の獣、ヘビなど、それぞれの象徴となる動物モチーフが造形として並び、螺旋文様の階段状デザインやシャーマンの変容を表した作品など、神話と自然観がそのまま形になったような造形が多い。眺めているだけで、独特の世界観にすっと入り込める展示だ。

「アンデス世界」の展示風景
「アンデス世界」の展示風景
神話上の動物を表現した彫刻(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
神話上の動物を表現した彫刻(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
シャーマンの変容(紀元前1250 - 100年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
シャーマンの変容(紀元前1250 - 100年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
螺旋状の象徴を配した三角形の階段(西暦100 ‒ 800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
螺旋状の象徴を配した三角形の階段(西暦100 ‒ 800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU

次に登場するのは、モチェ神話の英雄“アイ・アパエック”が活躍する冒険の世界。魔物と戦ったり、生き物に姿を変えたりといった神話のエピソードが、仮面や耳飾りなど迫力ある装飾品とともに描かれている。細部を見つめるほど、当時の人々がアイ・アパエックをどれほど強い存在として信じていたかが伝わってくる。

「モチェの英雄アイ・アパエックの冒険」の展示風景「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
「モチェの英雄アイ・アパエックの冒険」の展示風景「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
アイ・アパエックの顔を表した埋葬用仮面(西暦100 ‒ 800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
アイ・アパエックの顔を表した埋葬用仮面(西暦100 ‒ 800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
トカゲのモザイクの耳飾り(西暦100年-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
トカゲのモザイクの耳飾り(西暦100年-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
カニの姿をしたアイ・アパエック(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
カニの姿をしたアイ・アパエック(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU

そこから一転して、犠牲の儀式をテーマにしたエリアへ。アンデス文明では、戦士の血は神に捧げる最も尊い供物とされ、戦士同士の戦いや敗者の献上といった儀式が行われていた。金を「太陽の汗」、銀を「月の涙」と捉えた文化観も象徴的で、そうした素材でつくられた装身具や祭具には祈りの重さが宿っている。モザイク状の耳飾りなど、長く見入ってしまう作品も多い。

「犠牲の儀式」の展示風景 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
「犠牲の儀式」の展示風景 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
生贄の儀式を、映像と音声で詳しく紹介する展示も 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
生贄の儀式を、映像と音声で詳しく紹介する展示も 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
モザイク状の鳥の戦士の耳飾り(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
モザイク状の鳥の戦士の耳飾り(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU

さらに進むと、祖先との出会いをテーマにした神聖な空間が広がる。アンデスの支配者たちは死後に神へ昇華される存在と考えられ、その装飾品はどれもキラキラと輝き華やかで荘厳だ。実際に支配者たちが身につけていた装飾が10点並ぶ様子は圧巻で、金や銀の輝きから、祖先がどれほど神聖な存在として祀られていたかが静かに伝わってくる。

「祖先との出会い」展示風景 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
「祖先との出会い」展示風景 「CREVIAマチュピチュ展」会場 (c) NEON Group Limited. All Rights Reserved. / (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
羽飾りが付いた頭飾り(西暦1100-1470年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
羽飾りが付いた頭飾り(西暦1100-1470年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
ネコ科動物とコンドルが表された頭飾り(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
ネコ科動物とコンドルが表された頭飾り(西暦100-800年) ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU

ラストのゾーンでは、インカ帝国がどのようにして天空都市マチュピチュを築いたのかに迫る。断崖の段々畑、石を叩き込んで組み上げた耐震構造、天然繊維で編まれた吊り橋など、現代の基準で見ても驚く技術が並ぶ。なかでも“キープ(結縄)”は必見だ。インカ文明は文字を持たず、人口や収穫、儀式の記録を縄の結び目で管理していた。その独自の“知の仕組み”は、見ているだけでもワクワクする発明だ。

インカのキープ(結縄記録装置)ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU
インカのキープ(結縄記録装置)ラルコ博物館所蔵 (c) MUSEO LARCO LIMA - PERU

オープニングセレモニーにカズレーザーさんが駆けつけ、展覧会の魅力を語る

■■想像しながら巡ると深まる。“カズレーザー的視点”で楽しむCREVIA マチュピチュ展

オープニングセレモニーに姿を見せたのは、本展の公式ナビゲーター・カズレーザーさん。世界史が好きで、プライベートでも博物館や展覧会に足を運ぶタイプだと自己紹介しつつ、こんな独自の視点を披露した。

『神話上の動物を表現した彫刻』を手に、オープニングセレモニーに登壇したカズレーザーさん
『神話上の動物を表現した彫刻』を手に、オープニングセレモニーに登壇したカズレーザーさん

司会から「プライベートでも展覧会や博物館に行かれますか?」と聞かれると、カズレーザーさんは「行きますね。けっこう行くほうだと思います」と即答。続けて「どう楽しむのか?」と聞かれた場面で、彼らしい切り口が飛び出した。「もちろん自分が興味ある分野とか題材のときは積極的に行きますし、全然知らないやつだったりしても、これを見に来てる自分かっこいいよねって満足度って実はすげえ重要で。つまり『マチュピチュ展行ってきました』ってかっこいいじゃないですか」

司会者との呼吸もピッタリで、絶妙なやり取りが繰り広げられた
司会者との呼吸もピッタリで、絶妙なやり取りが繰り広げられた

司会が「かっこいいです」と反応すると、「そこなんですよ、重要なのは」と笑顔を見せ、「朝からパチンコ行ってきたよりも、『マチュピチュ展行ってきました』のほうがかっこいいですよね」と軽やかに続けた。さらに「まず人に言いたくなる。行ったうえで、かつ、学びも多いのが一番重要。これ両得ですから。これ一番いいですよね」と補足し、展示に足を運ぶ“満足感”についてもう一歩踏み込んで語った。

「だいたいこういう展示会に行く人、まぁまぁみんなかっこいいから行ってる人いますからね」「(行くだけで)かっこつけてるから、ちゃんと『あの人かっこいいな』って思ったほうがいいし、その分周りから『あの人かっこいいな』って思われるんで、ウィンウィンの関係、すごい大事ですから」と語り、司会との掛け合いにも自然と笑いがこぼれた。

■■マチュピチュが謎めいておもしろい理由

マチュピチュの魅力について、カズレーザーさんは少し考えたあと、ゆっくり語り始めた。「まあ日本から相当、一番遠いクラスの場所にある、行くのに相当時間がかかる場所にある世界遺産じゃないですか。それだけ離れているので、やっぱり背景的なものが全然違う。なんでこうなったんだろう?の想像が、本当につかないというか」

さらに、その“遠さ”だけでは語れない魅力があると続けた。「数百年の間、人々から忘れられたというか興味をあまり持たれてなかった。再発見まで時間がかかってるので、正直わからないことが今もある。わからないからこそ、考察とか想像する余地がめっちゃあるんですよね」

「全体をぐるっと見れて、その分『これは何でこういう形なんだろう』『これはどういう意味があるんだろう』って考える余裕がすげえあるので、けっこうこれだけでも見応えありましたね」と、展示の特徴について気になったポイントにも言及した
「全体をぐるっと見れて、その分『これは何でこういう形なんだろう』『これはどういう意味があるんだろう』って考える余裕がすげえあるので、けっこうこれだけでも見応えありましたね」と、展示の特徴について気になったポイントにも言及した

石積みについても興味深い視点を示した。「これ石の積み方すごいな、びっちり積んでるじゃないですか。『これはすごい技術もあっただろうし、これが残ってるってことはほかに残ってないものもある。それはどういう積み方だったんだろう』『これは、たまたますごいきれいに積んでるから残ってて、ほかにはなくなっちゃったのかな?いやそうじゃなくて本当にそういう技術があまねくあったのかな?』『我々、日本人とちょっと近い部分もあるな』とか、いろいろ想像できますよね」

司会が「2400メートル。そこに“なぜ”というのもありますよね」と投げかけると、カズレーザーさんはうなずきながら、こう付け加えた。「そこに別荘地みたいな感じでちょっと作ったっていうのに、もっと高いとこにも都市があったじゃないですか。それも不思議な感じもするし」

距離の遠さ、歴史の空白、技術の謎、そして土地の選び方。どれも“答えが出ないからこそおもしろい”という視点で語られ、マチュピチュの魅力の奥行きがそのまま言葉として広がっていった。

■■カズレーザーさんが語る音声ガイドの裏話

音声ガイドの収録も担当したカズレーザーさん。実際の収録を振り返る場面では「固有名詞が難しくてめちゃくちゃ噛んだ」と苦笑い。「イントネーションも独特で、むちゃくちゃ難しいです。やっぱ(笑)」と言いながらも、読み込むほどに不思議な語感や背景がおもしろくなってくる時間だったと話す。中でも「マチュピチュ自体が、だいぶかわいい語感じゃないですか」と笑顔で語る場面もあり、言葉そのものを楽しみながら収録に臨んだ様子がよく伝わってきた。

自分のスマホからも、音声ガイドを聞くことができるので試してみて
自分のスマホからも、音声ガイドを聞くことができるので試してみて

一方で、公式ナビゲーターとしてのコメントでは「天空都市を築いた人々の叡智や、神話の英雄アイ・アパエックの物語を、すぐ隣で語りかけるような気持ちで収録に臨みました」と語り、「古代文明の謎を巡る旅に出かけましょう。ご来場の皆さんにご満足いただける最高の体験が待っています」と来場者に向けてメッセージを寄せていた。

音声ガイドは入場料金に+1000円。端末を借りるか、エントランスのQRコードからアプリをダウンロードして、自身のスマホで楽しむ2パターンが用意されている。スマホをチョイスするなら、イヤホンやヘッドホンを持参しよう。

■■インパクト抜群!推し展示は“アンデスのドラゴン”

これだけは見てほしい!と、「推し展示」として挙げたのが、通称「アンデスのドラゴン」とも呼ばれる『神話上の動物を表現した彫刻』。展示室中央で存在感を放つ造形に強く惹かれたようで、「竜っていうのは、西洋だったらドラゴン、東洋だったら竜みたいのがあって。それもけっこう(距離が)離れてるのに、全然違う文明のところで似たような形になってるのがまずおもしろい」と語った。さらに「口が大きくなるのが力の象徴なのかな。でもこういうトゲトゲは何なんだろう?とか思うだけでも時間潰せる」と続け、複合的な生き物を読み解く楽しさを熱心に話してくれた。

『神話上の動物を表現した彫刻』のグッズを手に、その魅力に触れた
『神話上の動物を表現した彫刻』のグッズを手に、その魅力に触れた

司会が正式名称の説明に触れると、カズレーザーさんは「パッと見どういう形かって説明しづらいですよね」と苦笑い。スタッフが実際に販売される『神話上の動物を表現した彫刻』のグッズを持ってくると、「これ本物ですか?」と驚きつつ手に取り、「確かに竜っぽい。でもほかの部分もいろいろ混ざってて、紋様とかどういう意図があるんだろう」と興味津々に観察。「牙が生えてたりして。それは力強さとか…。歯並びはいいですね。非常にいいです」と細部まで楽しんでいた。

『神話上の動物を表現した彫刻』の歯並びなど、ディテールまで細かくチェック
『神話上の動物を表現した彫刻』の歯並びなど、ディテールまで細かくチェック

さらにこのグッズが会場で約12万円で販売されると紹介されると、「いいですね〜。ご家族分いただきたいですね」と笑いを誘った。司会が「すべて本物。ペルーから持ってきたということで、本物のパワーを感じますよね」と補足すると、カズレーザーさんは「あれだけの数の本物があるってすごいですよね」と、展示の迫力に触れていた。

■■三層世界で読み解く“アンデスの世界観”

「この世界観の中で心に残ったものはありますか?」という問いに、カズレーザーさんはマチュピチュに伝わる三層世界の考え方について話し始めた。

「マチュピチュに当時住んでた方の世界観としては、天空の世界と我々の日常世界と内側の世界(インナーワールド)みたいのがあって。たとえば、上の世界だったらコンドル(猛禽類)、我々の世界だったらネコ科の獣、内側の世界だったらヘビとかいろんなものに当てはめて、それを合体させた生き物を人間にまた乗っけているみたいなものがあるんですよね。それぞれの強い部分を自分に取り込みたいという欲求があって。『あの世界で一番強いものは、やっぱピューマとかだから、『ジャガー、ピューマになりたいんだ』という感覚もあったんだろうなと感じました」と語った。

当時のアンデスの人たちと、我々現代人を比べ、カズレーザーさんらしい考察を披露してくれた
当時のアンデスの人たちと、我々現代人を比べ、カズレーザーさんらしい考察を披露してくれた

さらに、「それって我々だったら文明とか機械でより便利にするっていうのと、方向は近いけどアプローチは違うなと。同じ人間だけど似てるところもあるし、やり方が違う。シャーマンとか精霊とかの力に頼ったりするのは、『同じ人間なんだ』って共感できるし、『あぁ、でもこういうことを考えるんだ』という違いもあって、それがおもしろかったですね」と続けた。

異文化に触れながらも「同じ人間」と感じられる瞬間と、発想の違いが生むおもしろさ。その両方が印象に残ったと穏やかな口調で語っていた。

■■「マチュピチュ展」をもっと楽しむためのヒント

最後に、これから来場する人へ向けて、展示をどう楽しむか、まずどんなふうに見始めるといいのかアンバサダーとして提案してくれた。「すごく昔のもので、パッと見、素朴に思うものとか、作りが『あ、こういう形なんだ』『ちょっと今よりはシンプルに思えるもの』っていうモノが多いと思うんですけど、それまず見て『これってどういうものだろう?』っていっぱい想像を膨らましたうえで、音声ガイドの説明を聞いてほしいですね。そうするとそれを超えてくるはずなんで」と、楽しみ方をアドバイス。

さらに、「あ、なるほど、こういう一個一個のものに、すべて長い長い歴史あるストーリーがあるんだ」という、気づきも感じられるとも語り、展示を見る前後で理解が深まる流れこそ大事だと強調した。そして最後に、カズレーザーさんらしい視点でこう締めくくった。

想像を膨らませてから、展示の説明を見たり、音声ガイドを聞くとより楽しめるという
想像を膨らませてから、展示の説明を見たり、音声ガイドを聞くとより楽しめるという

「やっぱ『マチュピチュ展に行った』って(言えたら)めっちゃかっこいいんで。本当に、その一点だけで、やっぱ、ぜひ行ってほしいですね(笑)」

展示の背景にある長い時間と、“見に行った自分”をちょっと誇れる感じ。その2つを楽しんでほしい、と軽く背中を押すような言葉を残し、セレモニーは終了した。

※カズレーザーさんのコメントで触れられた、歴史や史実については諸説あり

日本限定デザインも登場!マチュピチュの魅力が詰まったグッズたち

会場ショップには、日本限定アイテムや巡回展ならではのグッズがそろい、展示の余韻をそのまま持ち帰れるラインナップが並ぶ。カラフルなラマや牛のフィギュア、使いやすいステーショナリーに加えて、日本だけのオリジナルデザインが採用されたアイテムも登場している。

ぬいぐるみ ラマクッション(2750円)
ぬいぐるみ ラマクッション(2750円)
セラミック ブル アソート L(3850円)
セラミック ブル アソート L(3850円)

まず注目したいのが、ミントタブレットが入った「ミント缶」。日本限定の特別デザインで、手のひらサイズながら存在感のある仕上がりだ。同じく日本オリジナルの「マチュピチュ展Tシャツ」も展覧会のキービジュアルを取り入れたデザインで、会場ならではの一枚として人気になりそう。

マチュピチュ展 ミント缶(810円)
マチュピチュ展 ミント缶(810円)
スライド式ケースのミント缶。食べ終わったあとも、市販のものを詰め替えてタブレットケースとして使用できる
スライド式ケースのミント缶。食べ終わったあとも、市販のものを詰め替えてタブレットケースとして使用できる
マチュピチュ展 T Shirt(4290円)。手前はペルー人形ボールペン(550円)
マチュピチュ展 T Shirt(4290円)。手前はペルー人形ボールペン(550円)

さらに、「金属羽飾付き頭飾り前面部」のガラス絵を主役にした『マチュピチュ缶』も印象的。マチュピチュの神秘性とペルーの民芸文化を組み合わせたデザインで、四角く描かれた“隠れアルパカ”もポイントになっている。缶の中には、トウモロコシ風味の米粉クッキーが入っており、ちょっとしたギフトにもぴったりだ。

マチュピチュ缶(1620円)。中にはグルテンフリー&植物の素材のみで作ったトウモロコシ風味クッキー5個入り。『羽飾りが付いた頭飾り』がデザインされたカラフルな缶は、小物入れにもピッタリ
マチュピチュ缶(1620円)。中にはグルテンフリー&植物の素材のみで作ったトウモロコシ風味クッキー5個入り。『羽飾りが付いた頭飾り』がデザインされたカラフルな缶は、小物入れにもピッタリ

そして、存在感でひときわ目を引くのが、会場の目玉展示としても紹介されていた“アンデスのドラゴン”の精巧なレプリカ。カズレーザーさんも手に取っていた“アンデスのドラゴン”の造形を再現したもので、渦を巻く模様や力強い牙まで丁寧に作り込まれている。約12万円という価格にも納得の重厚感で、存在感のあるインテリアとしても楽しめる。

カズレーザーさんも気になった『神話上の動物を表現した彫刻』のレプリカ
カズレーザーさんも気になった『神話上の動物を表現した彫刻』のレプリカ

日本限定アイテムと巡回展グッズが一度にそろう今回のショップ。展示を見終えたあと立ち寄れば、「もう少しだけマチュピチュの世界に浸りたい」という気持ちを満たしてくれるはずだ。

六本木の上空で味わう天空の特別ランチコース

アンデスの香りと太陽をテーマにしたメニューが楽しめる特別企画も用意されている。会場と同じフロアにあるレストラン「THE SUN & THE MOON(Restaurant)」では、今回の開催を記念して、ペルー料理をベースにしたコラボレーションメニューが期間限定で登場する。メニューは、ランチコースとコラボカクテルの2種類。どちらもペルーの食文化をベースにしながら、展覧会の世界観をさりげなく取り入れた内容になっている。

THE SUN & THE MOON (Restaurant) コラボメニュー
THE SUN & THE MOON (Restaurant) コラボメニュー

まずは、全5品で構成された特別ランチコース「マチュピチュ展 ペルビアンコース」。黄色い唐辛子やレモンで風味付けしたポテトにアボカドやズワイガニを重ねた前菜“カウサレジェーナ”にはじまり、レモンと唐辛子のソースで魚介をまとめた“ティラディート”、白身魚のフライに魚介の旨みを重ねた“ペスカード・ア・ロ・マチョ”、クミンを利かせた和牛サーロインの“ロモ・サルタード”へと続く。締めには、トゥロンやクレマ・ボルテアダなどペルーの伝統デザートとトウモロコシのアイスを盛り合わせたデザートプレートが登場し、南米の食文化をしっかり体感できる構成になっている。

さらに、ペルーを代表するリキュール“ピスコ”を使ったコラボカクテル「Old peak」も登場。ピーチやレモンを組み合わせたさわやかなサワースタイルで、展示を見たあとの余韻にぴったりの一杯になっている。

展覧会と一緒に楽しめる食の体験としてだけでなく、「CREVIA マチュピチュ展」の世界観にもう一歩踏み込める特別メニューを味わおう。

日本で“天空都市”に一番近い場所へ行こう

古代アンデスの知恵や技術、そしていまだに多くの謎が残る天空都市の存在に触れていると、「こんな世界が本当にあったんだ」と素直にワクワクしてくる。展示を見ながら当時の暮らしを想像していくと、はるか遠くの時代や場所の話なのに、どこか親しみも感じられて、思わずもう一歩踏み込みたくなるのがおもしろいところだ。

「マチュピチュ展」は、2026年3月1日(日)まで無休で開催中!
「マチュピチュ展」は、2026年3月1日(日)まで無休で開催中!

さらに、これだけの“ホンモノ”が一度に見られる機会はそう多くない。ふらっと寄ったつもりが、気づけば「もっと知りたい」という気持ちが湧いてくる引力のある展覧会だ。カズレーザーさんも「世界遺産、人気すぎて入れない場所も多いですから。マチュピチュも登るのに制限かかってたりするし、行きゃあ絶対すぐに登れるわけじゃない。そういう意味じゃ、こうやって手軽に見れていい気はしますけどね」と語るとおり、日本にいながら天空都市の魅力がしっかり味わえる。そんな貴重な展覧会は、2026年3月1日(日)まで休館日なしで開催中。六本木の52階で天空都市の叡智や芸術・文化を体験しよう!

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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

取材・文・撮影=北村康行

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