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【絶品!郷土メシ】栃木県民でも「好き・嫌い」が分かれる!?噂の「しもつかれ」を鮭の切り身で作ってみた!

  • 2025.12.29

栃木県を代表する郷土料理「しもつかれ」。サケの頭と大豆、根菜、酒粕を煮込んだものですが、栃木県民の間では「好きか嫌いか」で真っ二つに意見が分かれる料理だそうです。いったいなぜそんなことになるのか、実際に食べてみないことにはわかりません。本来は「鮭の頭」を使うそうですが、今回は手軽に「サケの切り身」を使って調理してみることにしました。


この記事は、「農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト」という肩書で活動している山本謙治さんことやまけんさんが、『家の光』で2021年12月号~2024年4月号まで連載していた「やまけんのニッポン郷土食遺産」を参考にしています。

『家の光』はJAグループである家の光協会が、農家向けに毎月発行しているファミリー・マガジンで、今から100年前の大正14年(1925年)に創刊しました。「食と農」「暮らし」「協同」「家族」という4つの柱を基本に、JA組合員をはじめ地域の人々の暮らしに役立つ情報を掲載しています。

少なくとも鎌倉時代には存在していたという、古い歴史をもつ「しもつかれ」。時代とともに食材が変化し、「サケの頭」を使うようになったのは大正に入ってからだそう。今回は手軽に甘塩サケの切り身で作ってみました。

栃木県の郷土料理「しもつかれ」の材料と作り方
※今回はやまけんさんの記事と、その他いくつかのレシピを参考にして作りました。

【材料】※2~3人分
大根…250g
にんじん…60g
油揚げ…1枚
煎り大豆…12g(乾燥大豆の場合は水で一晩戻してから弱火で20分煎ります)
甘塩サケ(切り身)…2切れ(200g目安)
酒…大さじ1
和風だしの素(顆粒)…小さじ2
水…100ml
酒粕…25g
水…大さじ1
みりん…大さじ1/4
しょうゆ…小さじ1/4



大根とにんじんは鬼おろし(※)で、すりおろしておきます。
油揚げは油抜きをしてから、1~2cm幅の細切りにしておきます。
甘塩サケは酒をふって10分ほどおいておきます。
鍋に酒粕と水大さじ1を入れて火にかけ、粒が残らないように煮溶かしておきます。

(※)鬼おろし…粗目におろせるおろし器のこと。今回はフードプロセッサーで粗目に刻みました。

【作り方】※調理時間:30分
1. サケは焼いて皮を取り、粗くほぐします。



2. 鍋に大根、にんじん、油揚げ、大豆、サケ、和風だしの素(顆粒)、水100mlを入れて火にかけ、落としブタをして弱めの中火で20分程度煮ます。



3. 溶かしておいた酒粕を加えます。


4. 大豆が柔らかくなったら、みりんとしょうゆを加えてひと煮立ちさせ、器に盛りつけて出来上がりです。



作りながらも「なぜしもつかれは好きな人と嫌いな人に分かれるのか?」を考えていましたが、ひとつめはやはりサケの頭を入れると臭みが強いからだと思います。今でこそ臭みを取る方法がありますが、昔は下処理も今ほどではなかったでしょうし、もったいない精神が今よりも強かったのだと思います。

もうひとつは、酒粕独特の味と香りだと思います。甘酒は飲めるけど粕汁は嫌いという人もいます。わたしも子どもの頃は好きではありませんでしたが、大人になって日本酒を飲むようになってからは大好きになりました。冬の間に残ったサケと酒粕で体が温まるようにと作られた料理なのでしょうけど、確かに好き嫌いが分かれそうな材料だなとは思います。



さて、いよいよ自分で作ったしもつかれを口へと運んでみると、あれっ?思っていたより全然おいしいぞ!とびっくりしました。酒粕が好きだということもありますが、サケは切り身なのでもちろん臭みもなく、それ以外にくせの強い材料は使っていませんので、おいしくて当たり前かもしれません。適度に細かくなった大根とにんじんが全体を覆い、その中にほぐしたサケ、煎り大豆、油揚げが入り乱れていますので、箸ですくうと全部の食材が一度に口の中に入ってきます。酒粕は入っているものの、しょうゆやみりんといった基本調味料が使われていますので、味のまとまりもよく、おかずとしても酒の肴としてもおいしく食べられそうです。驚いたことに、箸がどんどん進みました。

記事では栃木県の郷土料理として紹介されているしもつかれですが、栃木県以外でも隣接する地域で食べられています。2月最初の午の日である初午の日に作り、赤飯などと一緒に稲荷神社にお供えされる料理とも言われており、その名前の由来にも諸説あるらしく、定説はないようです。

鎌倉時代から受け継がれてきた料理ですが、前述したように栃木県でも嫌いな人が多いため、カレーに入れたり歌を作ったりと、普及させるための努力も続けられています。子どもたちにしもつかれを好きになってもらおうと、学校給食で酒粕を1/10に減らすバージョンもありました。時代と共に少しずつ形は変わっても、しもつかれはこうして後世に伝えられていくんだろうなぁと思います。

臭みのない、おいしい「しもつかれ」が出来ますので、ぜひ作って食べてみてください!

山本謙治さん プロフィール

農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト。学生時代にはキャンパス内に畑を開墾して野菜を生産し、卒業後は畜産関連の調査・コンサルティングの仕事や流通業を経て会社を設立。農業・畜産分野での商品開発やマーケティングに従事する傍ら、日本全国の食を取材して地域の郷土料理や特産物を、書籍やテレビを通じて一般に伝える活動を続けている。

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