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天才女医の素顔はゴミ部屋の住人!?「完璧?誰が?」女医が主役のヒューマン漫画が読者を魅了【作者に聞く】

  • 2025.12.29

「完璧だ」と評価される天才外科医の榛原あおい。帰宅後の散らかったゴミ部屋を前に彼女は「完璧?誰が?」とつぶやく。カップ麺の残骸や洗濯していない服が山積みとなっている自室の中で、かろうじて空いてるスペースを見つけ泥のように眠りにつく。「私ひとりでは何もできないのに」彼女のそんな言葉は薄れゆく意識とともに消えていった…!

「完璧だ」と現場のメンバーから信頼され尊敬されている (C)あまめのこし
「完璧だ」と現場のメンバーから信頼され尊敬されている (C)あまめのこし

心臓血管外科医のスペシャリスト・榛原あおいのもとに自伝本出版の話が舞い込んできた。編集者は「彼女の屈強な生き様を形にしたい」と意気込み、デザイナーに「憧れの存在!って感じのデザインを!」と発注する。売れっ子デザイナーの梶は仕事を引き受けたものの、ちょっと思う節がある表情を見せるのだった。ほかの人とは違う反応を見せる彼の存在が榛原にどんな影響を及ぼしていくのか…?

自宅はこの惨状… (C)あまめのこし
自宅はこの惨状… (C)あまめのこし

本格的なストーリー構成の本作を描いているのはアマチュアで漫画を描いているあまめのこしさん。日々の多忙により10年ほど筆を執らなかった時期を経て、「久々にちょっと描いてみるか」と取り組んだ作品が本作の前身となる『おつかれさまです、榛原さん』の“読切編”だという。読切編で肩慣らしをしたのち、連載作としてスタートを切ったのが今回紹介する『おつかれさまです、榛原さん』の第1話、そして第2話だ。本作は連載を開始してまもなく、2025年4月度のpixivマンガ月例賞で大賞を受賞。あまめのこしさんに本作について話を聞いてみた。

自伝本出版の話が持ち上がった (C)あまめのこし
自伝本出版の話が持ち上がった (C)あまめのこし

――本作は心臓血管外科医を主人公に描かれていますが、この構想で連載をはじめようと思った経緯や本作に込めた想いを教えてください。

強くて仲間思いのかっこいい女性リーダーが大好きなので、理想の主人公像から考えました。現代社会で「なんかかっこいい」と一般に思われる職業=外科医かな、と!日本のドラマでも外科医ってやたらカッコよく描かれていますよね。しかし医療って結局インフラなので、地道で泥臭くてひたすら根気のいる仕事なんです。やりがいと知識・経験への渇望や探究心で成り立っている。世間の思う「外科医ってかっこいい」というイメージと、自分の思う「そんなに華やかな職業じゃない」というモヤモヤから、そのまま榛原医師というキャラクターが生まれました。

――手術シーンや専門用語など医療系の描写は難しいのでは?と想像しますが、丁寧に描かれていますね。取材や勉強をされたのでしょうか?

ありがたいことに環境に恵まれているので、自分の経験から出てきたものが多いんです。ただ、専門的なシーンや用語は場面を盛り上げる効果くらいに留めるよう配慮しています。

――それはなぜでしょうか?

作者が一定の分野に詳しいあまり、そればかり描いていくと読者が置き去りになってしまう可能性があるので…!詳しい人にとっては「あるある!」とうなずけて、そうでない人にとっては「わからないけどすごい!かっこいい」と楽しめるバランスを常に心がけています。あくまで「医療漫画」ではなく、医師が主人公というだけの「ヒューマンドラマ」のつもりで描いています。

女性医師の広報活動の一環として割り切っているが… (C)あまめのこし
女性医師の広報活動の一環として割り切っているが… (C)あまめのこし

――pixivマンガ月例賞で大賞を受賞されたときのお気持ちをお聞かせください。

この賞は公募制ではなくpixivに投稿されているすべての作品の中から選ぶ仕組みのようなので、純粋にうれしかったです。びっくりしすぎて親に報告しました(笑)。ただただ自分が読みたいから描いているので、その結果、評価までしていただけてありがたいです。

――本作は医療現場を舞台にしたヒューマン漫画ですが、今後描きたい別のジャンルはありますか?

ほかに描きたいジャンルもありますが、並行して複数描けるほどキャパは多くないので、しばらくは『おつかれさまです、榛原さん』をちゃんと完結させることに専念します。実は、現地を自分の足で旅するくらい世界大戦の歴史オタクなので、いつか自分の目で見た経験や知識に基づいた漫画も描きたいと思っています。需要は自分だけかもしれませんが(笑)。

天才女医はデザイナー・梶のことを苦手に感じる (C)あまめのこし
天才女医はデザイナー・梶のことを苦手に感じる (C)あまめのこし

自分が読みたい作品を描いているだけ、と語るあまめのこしさん。「pixiv以外のSNSをやっていないのに予想以上に読んでいただけて本当にありがたいです」と感謝の言葉を口にしていた。今後の連載ペースについて訊ねると「趣味で描いているので遅筆ですが『おつかれさまです、榛原さん』のラストは最初から決めています。読んでくださっている方には気長にお付き合いいただけるとうれしいです」と答えてくれた。現在は第3話まで掲載中で、第3話では主人公が医者を志すきっかけにも触れている。本作を読んで気に入った人は、ぜひpixivでも読んでみてはいかがだろうか?

取材協力:あまめのこし

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