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期待は裏切らず、予想は裏切った衝撃展開!映画、スペシャルドラマも放送の「ラストマン-全盲の捜査官-」の魅力をプレイバック

  • 2025.12.28

最後の切り札としてどんな事件も必ず終わらせることから“ラストマン”と称される全盲のFBI捜査官と、周囲から煙たがられている警視庁捜査一課の孤高の刑事。性格も育った環境も異なる2人が力を合わせ、難事件に挑む姿を描いた2023年4月期のTBS系連続ドラマが「ラストマン-全盲の捜査官-」だ。初回放送時にはTwitter(現X)で世界トレンド1位を獲得、平均視聴率は全10話すべてで2桁を記録するなど反響を巻き起こした。

【写真を見る】盟友にして共に名優でもある福山雅治&大泉洋が生みだす唯一無二の関係性(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』)

【写真を見る】盟友にして共に名優でもある福山雅治&大泉洋が生みだす唯一無二の関係性(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
【写真を見る】盟友にして共に名優でもある福山雅治&大泉洋が生みだす唯一無二の関係性(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

福山雅治&大泉洋だからこそ生まれた最強のバディ

まず大きな注目ポイントとなったのが、そのキャスティングだ。目は見えないながら、研ぎ澄まされた鋭い感覚と人たらしの魅力で事件を解決に導く皆実広見に福山雅治。手段を選ばない嫌われ者ながら、根は生真面目で正義感にあふれ、目端が利く護道心太朗に大泉洋。

まさにスター同士で、同じ事務所で仲がよいことでも知られる2人。その初対面にして初共演となったのは、2008年放送のスペシャルドラマ「the波乗りレストラン」。大泉はワケあり客が集まってくるレストランのマスターに扮し、福山はその客役で出演している。また、福山が主演を飾ったNHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年放送)、大泉が司会を務めた2020~22年のNHK紅白歌合戦でも共演するなどつながりは深く、エピソードも多い。

最後の切り札としてどんな事件も必ず終わらせることから“ラストマン”と称される皆実広見(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
最後の切り札としてどんな事件も必ず終わらせることから“ラストマン”と称される皆実広見(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

そんな福山と大泉の満を持してのバディ役であり、異色にして最強タッグの誕生となった「ラストマン」。盟友の2人はそれぞれが“名優”でもある。福山が皆実役で見せたクールさと華麗さ、大泉が心太朗役で見せた熱さと男臭さ。また、全盲の緻密な演技、孤高の繊細な芝居でも存在感を示し、両者が四つに組んで丁々発止のやり取りを展開する。

なにより、時に笑いを交えながらもただの凸凹コンビにとどまらず、まさにバディもののおもしろさが詰まっていた。分析力の皆実と洞察力の心太朗。くさし合い、補い合いながらもなれ合いにはならず、それでいて通じ合い、認め合っている。その軽快でいて荘重な関係性も福山と大泉だから示せたものかもしれない。

生真面目で正義感にあふれ、目端が利く護道心太朗(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
生真面目で正義感にあふれ、目端が利く護道心太朗(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

皆実と心太朗の間にある因縁と縁とは?

しかし、期待を裏切らなかった一方で、予想は裏切られたと感じた視聴者も多かったのではないだろうか。1話完結の笑いも交えたバディものではなく、1つの芯を持った涙必至のメロドラマでもあったのだ。警察庁とFBIの交換研修生として来日した皆実と、そのアテンド役を任されるはめになった心太朗。ここにバディ誕生となるが、両者の間には因縁がほのめかされ、最後には当人たちも知らなかった縁が明らかとなる。

研ぎ澄まされた鋭い感覚と人たらしの魅力で事件を解決に導く皆実(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
研ぎ澄まされた鋭い感覚と人たらしの魅力で事件を解決に導く皆実(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

カギは約40年前に起こった強盗放火殺人事件

1982年に起こった強盗放火殺人事件。その被害者は皆実の両親である誠(要潤)と勢津子(相武紗季)で、この時の火事が原因で当時10歳だった皆実は視力を奪われ、日本を離れていた。一方、被疑者として逮捕されたのは鎌田國士(津田健次郎)。心太朗の実の父親で、事件後、心太朗は警察一家の護道家に引き取られ、養子となっていたのだった。

片や被害者の息子で、片や被疑者の息子。事件の真相を究明したいと考えていた皆実は、鎌田の息子である心太朗の協力を仰ぐべく、彼をアテンド役に指名していたのだ。その事実を知った心太朗は激昂して、一度はバディの解消を申し出るが、自分の過去から逃げずに立ち向かうことを決意。技術支援捜査官の吾妻ゆうき(今田美桜)たちも2人をあと押しする。

技術支援捜査官の吾妻ゆうきらも皆実と心太朗をあと押し(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
技術支援捜査官の吾妻ゆうきらも皆実と心太朗をあと押し(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

ここで大きな役割を果たしたのが、心太朗の義父で元警視総監の清二(寺尾聰)を祖父に、清二の息子で警察庁次長の京吾(上川隆也)を父に持つ、捜査一課の刑事、護道泉(永瀬廉)である。事件を調べ直すなか、皆実たちは父の誠と暴力団の元幹部、泉の母方の祖父である政界のドンがつながっていた事実を掴むが、護道家の体面を保とうとする清二の横槍が入る。しかし、泉は祖父や父に逆らって捜査を続け、その執念が事件解説の糸口へつながっていく。皆実だけでなく、心太朗、そして泉もまた“ラストマン”だったのだ。

実は血のつながった兄弟だった皆実と心太朗(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
実は血のつながった兄弟だった皆実と心太朗(『映画ラストマン -FIRST LOVE-』) [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

実は血のつながった兄弟だった皆実と心太朗

そして明らかになったのは、皆実と心太朗が血のつながった兄弟だったという事実。皆実の本当の父親は勢津子の元恋人、鎌田であり、それを知った誠が勢津子を殺害していたのだ。一方で、鎌田が皆実と心太朗を守るために罪を被ることを決めたのだが、誠を殺害し、家に火をつけ、すべてを闇に葬ろうとした黒幕はいったい誰だったのか?

ここまでの流れからも想像できると思うが、未見の方はぜひ連続ドラマを観てほしい。過去と現在、血と絆、皆実=福山と心太朗=大泉のつながりが泣かせるバディもの。“ラストマン”の真の意味に改めて触れることで、スペシャルドラマ「ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH」(12月28日21時放送)、公開されたばかりの『映画ラストマン -FIRST LOVE-』の見え方もまた変わってくるはずだ。

文/渡辺水央

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