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「小さい頃からカメが大好きで…『キングオブコント』決勝の日に迎え入れました」ニッポンの社長・辻さんが語る、念願だった“リクガメ2頭との暮らし”

  • 2025.12.28

お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第45回は『ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~』(日本テレビ)で初代チャンピオンに輝いたニッポンの社長・辻晧平さん。

現在、ロシアリクガメのどんでん(1歳と半年)、ヒョウモンリクガメのきーやん(2歳)と暮らしています。小さい頃からカメが大好きで、昨年から念願だったカメとの暮らしを実現させたそう。

迎え入れるために必要な知識を学び、現在も餌を工夫するなどカメが快適に暮らせるための環境づくりを楽しんでいる様子。2頭の存在が仕事へのモチベーションにも繋がっていると話します。

©文藝春秋(撮影:細田忠)

―― 一緒に暮らし始めたきっかけを教えてください。

小さい頃からカメが好きで、『ミュータント・タートルズ』とかも大好きやったんです。その頃からずっとカメを飼ってみたかったんですけど、当時はオカンに反対されていて。僕にとっておじさんにあたるオカンの弟がカメ好きで、飼っていたカメがいなくなって捜しに出た先でバイク事故に遭って死にかけたからというのが反対の理由で。結局、そのカメはベッドの下から見つかったんですけど、オカンは「弟が事故に遭ったのはカメの呪いや」って言い続けてたんですね。

そのことはすっかり忘れてたんですけど、2年前くらいにそのおじさんと会う機会があったんで聞いたら、未だにカメをめっちゃ飼ってると。あれはオカンが飼いたくないからそう言ってただけやったんやということに、その時初めて気づきました。

『キングオブコント』決勝の朝に…

――それで、飼う決心がついたと。

そうです。まずは飼うために必要なものを、半年くらいかけていろいろと調べました。ミズガメもええなと思ってたんですけど、温度と湿度を細かくセッティングする必要があるみたいなので、リクガメに決めて。ちょうど『キングオブコント2024』(TBS)の予選の最中に迎え入れるための準備をちょっとずつ進めてたんですけど、引き取りに行く日が『キングオブコント2024』の決勝の日になってしまって。朝、引き取りに行ってから決勝に向かいました。

――そんな大切な日に。そこから、さらにきーやんを迎え入れることになったのは?

今年8月です。もっと早く飼いたかったんですけど忙しくて、『ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~』で優勝したあとに迎え入れることになりました。ヒョウモンリクガメってめっちゃ臆病な性格なんです。最初、きーやんは僕がケージを覗くと甲羅の中に頭や手足を全部隠してたんですけど、2カ月くらい経った頃から引っ込めず、僕の手から餌を食べられるようになりました。

――どんでんを迎え入れる前にいろいろと準備されたということですが、基本的にどんなものが必要なんですか?

ケージの中を30度くらいにするんですけど、温度を調整できるサーモスタットが何より必要ですよね。僕、最初は衣装ケースで飼育してたんですけど、床材はもちろん、その下に敷くホットカーペット的なものも必要です。まだおらん状態でいろいろと試したり、YouTubeで飼い方を見たりしながら、あとは迎え入れるだけの状態にできるまで数ヶ月はかかりました。その分、だいぶ詳しくなれたのはよかったですけどね。

調べたら、ここ数年でカメの飼育に必要な知識が広まってるみたいです。餌とかも今はいろんなものが開発されてるんですけど、昔は種類がなくて飼育が難しかったらしくて。リクガメは繊維や水分が足りないと尿路結石で死んでしまうこともあるらしいので、食べるものにも気を使ってます。どんでんは最初のあんまり餌を食べてない時期にトマトを与えてたんですよ。それでうまいもんが好きになってしまって。あまりにも食べへん時はそういううまいものにカルシウムを混ぜたりして、栄養価を高めてます。

ヒョウモンリクガメのきーやん(辻さん提供)

どんでんときーやん、名前の由来は?

――基本的にはどんなものを食べるんですか?

ベーシックやとされているのは、小松菜とチンゲンサイ。手に入れやすいというのもあるんでしょうね。僕はそれにプラスして、サニーレタスとかもたまにあげてます。ただ、栄養価の面で野菜は野草に勝てないので、メルカリで育ててる人から野草を購入して与えてます。楽しいですよ、献立を考えるのは。人工飼料(ペレット)もどんどん開発されているので、調べるのも楽しいですね。

きーやんはそれまでにいたペットショップのお世話がよかったのか、なんでも食べます。口も大きいので。葉っぱの下においしい人工飼料を置いておくと葉っぱごとがっつりと食べますね。けど、どんでんはほんまにうまいもんだけをつまんで食べるというか。口が小さいのもあるんですけど、かなり選り好みしますね。食事は1日1回。与えるのは甲羅のサイズくらいと言われているので、多くはないです。あとは2頭分の水を入れて……っていうくらいですかね。

どんでんときーやんについて語る辻さん。思わず笑顔に ©文藝春秋

――ちなみに、2頭の名前の由来は?

どんでんは大好きな阪神タイガースの岡田(彰布)監督にちなんで名付けました。大学時代のあだながそうやったらしくて、配信で「名前がまだ決まってない」と話したら、見てくれていたファンの方が「どんでんがいいんじゃないですか」と言ってくれて。それ、ええなぁと思って決めました。

きーやんは好きなミュージシャンから。The Rolling Stonesのキース・リチャーズっていう人がいつもヒョウ柄の服を着てギターを弾いてるんです。きーやんがオスかメスかはもっと大きくならんとわからないんですけど、オスっぽいし、キースをもじって。好きなブランドがKi-Yan Stuzioっていうのもあって、そう名付けましたね。

――2頭はどうやって飼育してるんですか?

本来、カメは1頭で生きるので、最初は別々に飼ってたんです。けど、実験的に2頭を一緒にしてみたら大丈夫そうやったんで、今は一緒にしてます。どんでんはちょっと気になるみたいで、たまにきーやんの甲羅を甘噛みしたりしてますけど、サイズがちっちゃいんで、きーやんはまったく気にしてないですね。

スマホにはかわいいカメのグリップが ©文藝春秋

――迎え入れてからは、カメ中心の生活になっているようなところも?

ありますね。ペットカメラはカメが動くと通知がくるタイプのものなんで、仕事先でも餌を食べたかどうかをチェックしたり、暇さえあれば見ています。長期で出かける時は、近所に住んでる後輩に世話をしてもらってますね。

何よりお世話するのが楽しいです。家の近くに無農薬野菜を売っているお店があるんで、仕事帰りにそこで何を買おうかなと考えるのも楽しいです。本能的なものもあるんかもしれないですけど、口の前に餌を持っていったほうが食べるので、食べてない時は家に帰ってからそうやって与えることもありますね。

カメの魅力とは?

――念願のカメと暮らしてみて、改めて魅力的だと感じるところはありますか。

カメって謎が多いというか、生き物の進化として、ほんまにこれ合うてんのか? って思うことがたくさんあるのが不思議でいい。あと、長生きするっていうのがいいなと思います。ペットって短命な動物もたくさんいるじゃないですか。それは寂しい。長生きするから、カメを選んだところもあります。

ケヅメリクガメっていうリクガメの中で3番目にデカくなるカメがいるんですよ。たまに外で散歩させてる人がいるので知ってる人も多いと思うんですけど、あれってペットショップで1頭5万円くらいで買えちゃうんです。で、軽い気持ちで飼ってみたら、50年くらい生きるし、大きくなるから途中で手放してしまうとかあるらしくて。僕も憧れますけど、長生きしてもギリギリ飼えるかどうかなので、後継者を探せるのであれば考えようというくらいですけどね。

©文藝春秋

――現状は迎え入れてよかったと。

そうですね。実はペットを飼ってみたいなと思ったきっかけもあるんです。大阪から上京してきた時、仕事の帰り一緒になったこがけんさんに「引っ越し祝いをあげたいから、お花屋さんに寄ろうよ」と言われて、サボテンを買ってもらったんです。サボテンは2週間に1回、水をやればいいし、世話をするのが楽だからって言われて。何かの世話をするのはこのサボテンが初めてやったんですけど、新芽が出てきた時、めっちゃ嬉しくて。あぁ、この感覚が持てるなら、俺もペット飼えるんかなって自信になりました。

それまで、僕なんかには無理やろうと思っていました。実際、ロングコートダディの堂前(透)さんに「カメを飼いたい」って言った時、反対されましたからね。

――その後、堂前さんから何か言われましたか?

1回だけ「かわいい?」って聞かれました(笑)。ほんまはもう1頭迎え入れたくて。ホウシャガメも飼ってみたいんですけど、ワシントン条約で禁止されてからは国内で飼っているブリーダーさんを通してじゃないと手に入れる方法がなくて、すごく高額なんです。

人間の欲望と動物の幸福について考える

――今出たワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約ですよね。所有したいという人の欲望を抑えるのは難しいですが、種の保全も大切です。その辺りを、辻さんと一緒に考えてみたいなと思うのですが。

それって、異国で無理して過ごすのはどうなのか、ということですかね。

©文藝春秋

――それもありますが、多くの人間が欲しいと思うことによって、動物の不幸も招いてしまう可能性がありますよね。特に野生動物の場合、専門の獣医師が少ないですし、飼育に関しても専門的な知識が必要になる。安易にペットにしたいと思う人が増えると、人気があるならと金儲けのためだけに密輸する人が増える可能性もあります。

あぁ、それは絶対にダメです。価値が上がると、その分、犯罪も増えるということですよね? この件に限らず、悪いヤツのために新しいルールを作らなあかんってなんなんやろうなとは思いますけど、価値をなくすことができないものならば、罰を増やすしかないんでしょうね。今悪いことをしてる人をやめさせるのは難しいかもしれないですけど、厳しい罰を作って、これからそういうことをやる人を増やさないようにすることも大事なんかなと思います。

――もしくは、生息地で動物や植物を守ることが観光資源になるなど、別の価値をつけることも大事になるかもしれないですね。辻さんのように飼育環境はもちろんのこと、どれくらい生きるのかを調べて、本当に飼えるかどうかをきちんと検討して計画的に責任をもって迎え入れることも大事だと思います。

そうですね。それこそホウシャガメもそうですけど、インドホシガメとかも登録票がないと飼えなくなっているじゃないですか。そういう種を増やして、ペットは必ず登録しないといけないだとかマイクロチップを義務づけるとかの管理も大事になってくるんでしょうね。

――難しい問いかけに答えていただき、ありがとうございます。最後に、辻さんにとって、きーやんとどんでんがどんな存在かを聞かせていただけますか。

僕、甥っ子と姪っ子がいるんですけど、イタリアに住んでるんで、1年に1回、夏に1カ月くらい京都に帰ってくるんです。毎年11カ月ぶりに会うんで、最初はちょっと気まずさもあるんですけど、1カ月でめっちゃ仲良くなって。めっちゃかわいいんですけど、その2人に迫りつつあるというか。それくらいの愛着があります。かわいいですし、長生きしてほしいですね。

文=高本亜紀
写真=細田 忠

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