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新NISA「月5000円」を続けてはいけない…FPが試算した「家計ギリギリ40代」が老後1000万円を目指せる投資額

  • 2025.12.28

毎月5000円でも新NISAを始めたほうがいいのか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「何十年も少額で投資を続けても大きな金額にはなりにくい。どこかで投資額を増やす必要がある」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

黒板にコインを積み上げて描いた芽の成長
※写真はイメージです
投資に回す余裕のないカツカツ家計

新NISA(少額投資非課税制度)がはじまってまもなく2年。18歳以上の約4人に1人がNISA口座を持つとされるなかで、「新NISAやらないと損ですか?」という声をよく聞きます。さらにそこへ続くのが、「でも投資に回す余裕がなくて……」という言葉。

そこで今回は、「毎月5000円でも新NISAはやったほうがいいのか?」というテーマで、いくらなら積立投資をする意味があるのか、考えていきたいと思います。

最初に、このお話をしようと思ったきっかけとなったご家族の例をご紹介します。40代夫婦とお子さん2人の村田さん一家(仮名)。堅実で無駄遣いもほとんどないのですが、毎月の家計に余裕はありません。中小企業で働く夫の年収は約500万円で、手取りにすると400万円ほど。妻はパートに出ており、その収入が月5万円。合計すると月の手取りは40万円に満たない程度です。

支出は、毎月10万円の住宅ローンに加え、ボリュームがあるのが教育費で、子ども2人分で月8万円ほどになっています。小学1年生と3年生のお子さんは進学塾には通っていないのですが、体操教室や英語、そろばんなど、それぞれが複数の習い事に通っているため、大きなウェイトを占めていました。そして、食費6万円、水道光熱費3万円、保険料や日用品の支出も足すとカツカツの状況だったため、私のもとに相談にやってきたのです。

収入は増やせず、貯金も崩せない

先程も申し上げたとおり、村田さん夫婦は浪費家でもなく、子どもたちがやりたいことを極力叶えてあげつつ、家計もしっかり回していければ、というスタンスでした。夫の給料を来月から大幅アップ……というのは現実的ではないので、家計的には、妻の働く時間を増やすことが即効性と現実性ある対策ですが、子どもの習い事の送迎があるため、今すぐには難しいということでした。

そんな村田一家の貯金は現在、300万円。半年間の生活費を預金として持っておくのがベターなため、貯金を崩すことは非現実的です。物価高の中で賃金アップも追いついておらず、貯金は難しい。かといって、これ以上働く時間を捻出することも避けたい。でも、子どもの進学や老後のために、いち早く資産形成に取り組みたい――。村田夫妻の切実な思いは、今の現役世代の多くが抱える悩みではないでしょうか。

40歳から10年間「5000円」を積立投資した場合

前段が長くなりましたが、この村田家をモデルケースとして、家計にゆとりのない40歳からの10年間、毎月「5000円」だけ新NISAで積立投資をするとどれほどの効果があるのか、試算してみます。

【10年間、毎月5000円ずつ積立投資】

・年利4%の場合(バランス型)……約74万円 ・年利10%の場合(インデックス型)……約101万円

元本60万円(月5000円✕10年間)が年利10%だと101万円になるというのは、なかなかインパクトがある数字かと思います。

では、子どもが成長し、妻が働く時間を伸ばすなどして家計に余裕が出てくると思われる51歳からは一段ギアを上げ、毎月「3万円」を新NISAに回すとします。これまで資産形成した分も再投資するとどれくらい資産が増えるか見ていきましょう。

オフィスで働く日本人女性
※写真はイメージです
【10年間、毎月3万円ずつ積立投資(+40歳から50歳までの10年間で貯まった金額を再投資)】

・年利4%の場合……約551万円(74万円を再投資) ・年利10%の場合……約866万円(101万円を再投資)

ずっと少額では「大きなかたまり」になりにくい

さらに65歳まで期間を伸ばすとどうでしょう。月3万円の積立投資を15年間続けた場合の試算がこちらです。

【15年間、毎月3万円ずつ積立投資(+40歳から50歳までの10年間で貯まった金額を再投資)】

・年利4%の場合……約870万円(74万円を再投資) ・年利10%の場合……約1627万円(101万円を再投資)

家計が厳しい40代の最初は少額でも、余裕が出てきたタイミングから投資額を上積みし、最初に資産形成できた資金も再投資することで、60代になる頃には約1000万円のかたまりができる可能性があることがおわかりいただけるかと思います。

一方で、何十年も3000円、5000円といった少額で新NISAを続けても、大きなかたまりにはなりにくい、ということもお客さまにはお伝えしています。ですので、目安としては月1万円からはじめるか、月5000円だったとしても、余裕が出たら早めに投資額を上げていくことをおすすめしています。

ちなみに、月1万円の積立投資を10年間続けた場合の試算は以下になります。

【10年間、毎月1万円ずつ積立投資】

・年利4%の場合……147万円 ・年利10%の場合……201万円

50歳から頑張れば1000万円も見えてくる

今、村田さん一家のようなお悩みを抱える現役世代の方は多いと思います。しかし、子どもが大きくなれば、状況は必ず変わります。教育費の負担が軽くなり、自分が自由に使える時間も増えると考えれば、投資に回せるお金は今よりも増える可能性が高いです。

たとえば50歳から15年間、5万円を積立投資できれば、年利4%でも1000万円のかたまりができます。

【15年間、毎月5万円ずつ積立投資】

・年利4%の場合……約1277万円 ・年利10%の場合……約2008万円

今現在カツカツだったとしても、50歳から頑張れば1000万円の可能性が見えてくると思うと、ちょっと気持ちが楽になりますよね。

また、少額からはじめておくメリットは、投資の習慣をつけられることです。世界情勢の影響などで株価が下落することもありますが、投資には“波”がつきもの。それも含めて実際に経験することで、慌てふためくこともなくなっていきます。波を乗りこなすには、まずははじめてみることが大切ではないでしょうか。また、積立投資で育てたお金を再投資することで、複利効果が得られることも大きなポイントです。

株式市場チャート
※写真はイメージです
iDeCoよりNISAから始めたほうがいい

ちょっと話はそれますが、相場が良かったタイミングでボーナス的に10万円だけ投資した知り合いの方は、それだけで5万円儲けがでたそうで、その分の株を売却して家族旅行にあてたんだとか。運用益でこんなご褒美的なリフレッシュをされる方もいるようです。

また、新NISAだけでなく、最近では「株主優待」も充実しているので、一株で優待がもらえる個別株への投資も個人的にはおすすめです。たとえば飲食料品メーカーだと、一株保有でも自社商品がお得に購入できる会社もあり、食費の節約につながる可能性があります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)も老後資金の確保や節税という点ではおすすめですが、60歳までは引き出しができないので、資産が少ない時に少額からはじめる投資ということでは、いつでも引き出せて使える新NISAの方が使い勝手がいいでしょう。もちろん、余裕のある方はiDeCoでも資産形成を考えてみてください。

ただ、重ねてになりますが、投資の前に、生活費の半年分を預金として確保しておくことは大前提です。貯金がまったくない状況で少額から投資……ではなく、その場合にはまず5000円を貯金して、半年分、せめて3カ月分の生活費を貯めるところからはじめてくださいね。

構成=小泉なつみ

高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年前後のお金の強化書』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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