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プロが選んだ韓国ドラマ2025年ベスト5【スリラー&サスペンス】年末年始イッキ見オススメ

  • 2025.12.27

2025年の韓国ドラマは、サスペンスやスリラーも豊作だった。息をのむ心理戦、善悪の境界が揺らぐ選択、そして登場人物たちの切実な感情が、画面越しに強く伝わってくる作品が次々と誕生している。

ここで紹介するドラマは、日頃から韓国ドラマを見続け、取材し、書き、映像やビジュアルと向き合ってきた編集者やライター、デザイナー、カメラマンたちが「これは忘れられない」と感じた注目作ばかりだ。重厚で刺激的、それでいて人間の弱さや希望を鋭く突く――そんな2025年韓国ドラマの“今”を代表する作品を見ていこう。

5位『あなたが殺した』(Netflix)

『あなたが殺した』はNetflixで2025年11月7日から全世界同時配信されたサスペンスドラマだ。

デパート外商部で働くウンス(チョン・ソニ)は、幼少期に受けた家庭内暴力の記憶を抱えながら生きている。そんな彼女の前に、かつて童話画家として将来を嘱望されながら、暴力的な夫に支配されて地獄のような日々を送る友人ヒス(イ・ユミ)が現れる。ウンスはヒスを救うため、そして自らの過去を断ち切るために、危険な決断を下す。

Netflixシリーズ『あなたが殺した』独占配信中(写真=Yu Ara/ Netflix)

2人が選んだのは、暴力の連鎖を断つための“殺人計画”という極限の道。だが、すべてが終わったはずのその夜、予期せぬ人物の出現によって、完璧だったはずの計画が崩れ始める。

二人の悲痛な覚悟は、貿易会社・陳剛(チンガン)商会の社長チン・ソベク(演:イ・ムセン)という謎めいた人物の登場によって思わぬ方向へと進んでいく。計画は“完璧な犯罪”を目指すはずだったが、予期せぬ人物の存在と一連の出来事が、二人の運命を複雑に絡ませ、視聴者に「誰が殺したのか」という問いを突きつける構成となっている。

原作は、日本でもドラマ化された奥田英朗の小説『ナオミとカナコ』。韓国版では、緊迫感あふれる心理戦と、現代社会に潜む「沈黙の暴力」を鋭く描き出している。

4位『親愛なるX』(Disney+)

韓国ドラマ『親愛なるX(친애하는 X)』は、人生の最底辺から頂点を目指し、破滅と愛の狭間を彷徨う女優の運命を描いたロマンス・スリラーだ。2025年11月6日よりDisney+のスターで独占配信が開始され、全12話構成。第30回釜山国際映画祭で初公開された際、観客・メディア双方から熱い反響を呼び、“今年最も衝撃的な話題作”として大きな注目を集めた。

(画像=『親愛なるX』韓国ポスター)

物語は、不遇な幼少期を克服し女優ペク・アジンとして華やかな成功を収めた主人公が、残酷な手段で周囲の人間“X”たちを踏み台にしながら高みへ駆け上がる姿を軸に進む。成功の裏には冷酷な本性と計算があり、彼女が手にしたものと失ったもの、その狭間で揺れる愛と破滅が複雑に絡み合っていく。

主人公ペク・アジンを演じるのはキム・ユジョン。美しい容姿と圧倒的な存在感で、仮面を被りながらも強烈な執念で成功を追い求める女性像を体現している。

彼女に翻弄される男性ユン・ジュンソ役にはキム・ヨンデが扮し、アジンを守るためにあらゆるものを捨てる覚悟を持つ男性として描かれる。二人の関係は単純な恋愛を超え、救いを求める者と破滅へ誘う者という危ういバランスを保つ。

さらに、ペク・アジンを盲目的に支えるキム・ジェオ役にキム・ドフン、ユン・ジュンソに想いを寄せるレナ役にイ・ヨルムが出演し、それぞれが主人公たちの運命を揺さぶる重要な存在として関わる。

演出は『Sweet Home - 俺と世界の絶望-』『ミスター・サンシャイン』『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』『太陽の末裔』など名作を手掛けてきたイ・ウンボク監督と、感覚的で緊張感ある映像表現に定評のあるパク・ソヒョン監督が共同で担当。脚本にはKBS短編ドラマ脚本公募で最優秀賞を受賞した脚本家チェ・ジャウォンと原作ウェブトゥーン『親愛なるX』作者バン・ジウンが参加し、心理描写の深さと映像ならではの緻密な構成が高く評価されている。

本作の見どころは、美しいビジュアルと衝撃的な展開、そして主人公アジンの“救いか、破滅か”を見極める視聴者の倫理的な揺さぶりだ。単なる成功譚ではなく、人間の本性と選択の重さを問う作品としてSNSでも話題になり、韓国ドラマの新たな傑作との評価が高まっている。

3位『ナインバズル』(Disney+)

韓国ドラマ『ナインパズル』は、10年前の未解決殺人事件をめぐる“謎のパズル片”を手がかりに、プロファイラーと刑事が連続殺人事件の真相に迫る本格心理サスペンスだ。Disney+オリジナルとして2025年5月21日に独占配信され、配信開始直後から国内外のランキング上位にランクインし、緊迫感あふれる展開と豪華キャストの魅力で注目を集めた。

主人公は、ソウル警察庁科学捜査課犯罪分析チームに所属する天才プロファイラーのユン・イナ。10年前に叔父が殺された現場の唯一の目撃者として記憶を失いながらも、並外れた観察力で犯人の心理を読み解く能力を持つ人物だ。演じるのは『梨泰院クラス』『その年、私たちは』のキム・ダミで、冷静沈着かつ不可思議な存在感を放つキャラクターを鮮烈に演じている。

(画像=『ナインパズル』韓国ポスター)

イナとバディを組むのは、エリート刑事キム・ハンセム。演じるのは『殺人者のパラドックス』『私の解放日誌』などで人気のソン・ソックで、イナをかつての容疑者として疑い続けながら事件を追う役どころだ。最初は疑念と不信から始まる関係が、謎が深まるにつれて微妙な信頼と緊張感に変わっていく過程が、本作最大の見どころのひとつとなっている

この二人を取り巻く脇役も多彩だ。署の班長で正義感の強いヤン・ジョンホ(演:キム・ソンギュン)、新人刑事のチェ・サン(演:ヒョン・ボンシク)ら、捜査班のメンバーが事件の核心に迫るなかで重要な役割を果たす。さらに物語後半では、メディア関係者や過去の事件に絡む人物として、チ・ジニ、ファン・ジョンミン、パク・ソンウン、イ・ソンミンといった大物俳優が特別出演し、物語の厚みとサスペンス性を一段と引き上げている。

2位『パイン ならず者たち』(Disney+)

韓国ドラマ『パイン ならず者たち』は、1977年の韓国を舞台に、海底に沈んだ財宝を巡るならず者たちの駆け引きと欲望を描いたクライム・アクションだ。Disney+「スター」で2025年7月16日から独占配信され、全11話の構成。物語は沈没船とその秘宝を巡り、村人やアウトロー、警察官など多彩な人物が絡み合う、人間ドラマとスリルが同居する作品として注目を集めた。

主人公格のひとり、オ・グァンソクを演じるのは実力俳優のリュ・スンリョン。理知的で行動力のあるならず者で、甥のオ・ヒドン(ヤン・セジョン)とともに沈没船の財宝に賭ける。グァンソクの計算高く冷静な性格は、仲間との絆や裏切り、欲望と葛藤しながらも前に進む姿として描かれる。ヒドンは幼い頃から叔父とともにならず者として生き抜いてきた青年で、クールな外見の裏に激情を秘め、叔父との関係と自身の未来を賭けて行動する。

(画像=『パイン ならず者たち』韓国ポスター)

物語には個性豊かなキャラクターが多数登場する。ならず者たちの計画に深く関与するヤン・ジョンスク(イム・スジョン)は、権力と富に強い執着を持つ野心家として物語に大きな波乱を巻き起こす。警察側ではシム・ホンギ(イ・ドンフィ)が登場し、法と秩序にこだわる一方で混乱の中に巻き込まれていく役どころを演じる。

アウトロー集団や財宝探索のチームには、ソン社長(キム・ジョンス)、キム教授(キム・ウィソン)、ナ・デシク(イ・サンジン)などが参加し、それぞれが欲望と倫理の境界で激しく衝突する。

見どころは、単なる宝探しやアクションだけではなく、1970年代の空気感や人間関係の複雑さ、裏切りと絆の揺れ動きだ。序盤から登場人物の多層的な動機が明かされ、それが財宝争奪戦に緊張感をもたらしている。シーズン序盤の財宝探索チーム形成から、中盤の駆け引き、そして最終回に向けての破綻まで、人間の欲望と利害が次第に交錯していく様子が描かれる。

評価面でも本作は好評を博し、韓国国内ではDisney+のTVショー部門で首位独走を記録。話題性ランキングではドラマ部門1位を獲得し、キャスト陣がランキング上位を独占するなど視聴者の関心を集めた。また視聴者からは「騙し合いが面白すぎる」「キャラクターの個性が際立つ」といった声が上がり、シーズン2を望む声も高まっている。『パイン ならず者たち』は、欲望・裏切り・生存競争が複雑に絡み合う傑作クライム・アクションとして2025年の話題作となった。

1位『イカゲーム:シーズン3』(Netflix)

『イカゲーム・シーズン3』は、Netflixオリジナルとして2025年6月27日に全世界同時配信された**シリーズ最終章で、シリーズを象徴するサバイバルゲームと人間ドラマを締めくくる作品となった。制作費は過去最大規模の1000億ウォンを投じた集大成として、これまでのテーマである格差・選別・人間の本性をこれまで以上に濃厚に描き出している。

シーズン3の物語は、これまでの死亡者を含めた参加者たちの“選別と価値観”を俯瞰する形で展開し、単純なゲームの勝敗を超えた人間性への問いを投げかける。ゲームはこれまで同様、子ども時代の遊びをベースにしながらも、より鋭利で容赦ない構成となっており、登場人物たちの行動が“社会的コード”としての選択や倫理観の反映として描かれる。若者の敗者と老人の勝者、善良な人と利己的な人……という構造の中で、シリーズを通して重層的に積み上げられたテーマが最終的な形を取って表れる。

(画像=『イカゲーム:シーズン3』韓国ポスター)

本作の中心人物であるソン・ギフン(456番)は、これまでのゲームを唯一生還した人物として、ゲームの根絶と人間性の再構築を目指す立場で物語に再登場する。過去の反乱や死に直面した仲間たちに心を痛めながら、極限の状況の中で他者を守る選択を続ける姿がシリーズを通じたテーマの終着点として描かれる。この姿勢は、単に勝利を目指す競争ではなく、他者への共感と尊厳をどう守るかというシリーズ全体の焦点にもつながっている。

また、妊婦でありながら戦い抜いたジュニ(222番)や、親子で登場したクムジャ(149番)&ヨンシク(007番)など、シーズン1~3にわたって視聴者の記憶に残るキャラクターたちが物語に厚みを与えている。

評価面では、批評家・視聴者ともに好評が多く、Rotten Tomatoesでは肯定的評価が多数を占め、レビュー集計サイトで一定の支持を得ている一方、終盤の展開や結末については「視聴者の反応が分かれる」という声も一部で聞かれる。シリーズ通してのテーマ性、緊迫したゲーム設計、そして視聴者の倫理観を刺激する構造によって、一貫した話題性が保たれ続けている。

『イカゲーム・シーズン3』は、単なるデスゲームの物語ではなく、人間を“選別する世界”そのものの構造と矛盾をさらけ出す作品としてシリーズを締めくくった。視聴者は極限のサバイバルを通じて、人間性と選択の重さを改めて考えさせられる、完結編にふさわしい総合力の高いドラマとして評価している。

文=韓ドラLIFE編集部

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