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【ネタバレあり】福士蒼汰&福原遥がW主演を務めた映画『楓』を徹底解説。スピッツの名曲を原案とするこの冬一番のラブストーリー

  • 2025.12.27

2025年12月19日より全国公開中の『楓』は、スピッツの名曲を原案に、行定勲監督が映画化した作品。今回、ネタバレ全開で本作の魅力を紹介。

映画『楓』のメイン写真 (C)2025映画『楓』製作委員会
映画『楓』のメイン写真 (C)2025映画『楓』製作委員会

【ストーリー】

須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味の天文の本や望遠鏡に囲まれながら、幸せに暮らしていた。しかし朝、亜子を見送ると、恵は眼鏡を外し、髪を崩す。実は、彼は双子の弟のフリをした、兄・須永涼だった。

1カ月前、ニュージーランドで事故に遭い、恵はこの世を去る。ショックで混乱した亜子は、目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまうが、涼は本当のことを言えずにいた。

幼馴染の梶野(宮沢氷魚)だけが真実を知り涼を見守っていたが、涼を慕う後輩の日和(石井杏奈)、亜子の行きつけの店の店長・雄介(宮近海斗)が、違和感を抱き始める。

二重の生活に戸惑いながらも、明るく真っ直ぐな亜子に惹かれていく涼。いつしか彼にとって、亜子は一番大事な人になっていた。一方、亜子にもまた、打ち明けられない秘密があった…。

【写真】幸せに暮らしていた恵(福士蒼汰)と亜子(福原遥)は運命によって引き裂かれてしまう (C)2025映画『楓』製作委員会
【写真】幸せに暮らしていた恵(福士蒼汰)と亜子(福原遥)は運命によって引き裂かれてしまう (C)2025映画『楓』製作委員会

主人公を取り巻く人たちが違和感を抱く姿に注目!

本作で福原さん演じる亜子は、ニュージーランドの事故のあと帰国し、家にやってきた涼を見てすぐに恵として家に招き入れる。最初、事前に双子の情報を入れずに観た筆者は、“よかった。恵も助かったんだな”と思ってしまった。それぐらい亜子が普通に恵として接していたことから、何も疑問を抱くことはなかったが、仕事に出かけた恵が公園のトイレで服を着替え、メガネを外したあたりから“おやおや?”と疑問を感じ始めた。

(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会

そこで筆者は初めてニュージーランドでの事故で恵が亡くなっていたことに気づいた。恵の双子の兄・涼が恵のフリをして亜子と一緒に暮らし始めていたのである。涼は毎朝会社に行くフリをして、自身の本当の職業であるカメラマンの仕事現場に向かう。ここで登場するのが、涼の後輩でアシスタントの日和だ。

石井杏奈さん演じる日和はシゴデキの雰囲気を放ちつつも、涼に対して“好き好きアピール”全開の女性で、“あ、これきっと亜子と会ったら話がややこしくなるやつだ…”と予感させるデンジャラスなキャラクター(笑)。

気のないそぶりの涼にガンガンアプローチをして頑張る日和がどんどんかわいく思えてくるため、映画の中盤ぐらいまでは“恵のフリをするのをやめて日和のことをもっと大切にして!”と思ってしまった。

涼(福士蒼汰)を慕う後輩の日和(石井杏奈) (C)2025映画『楓』製作委員会
涼(福士蒼汰)を慕う後輩の日和(石井杏奈) (C)2025映画『楓』製作委員会

途中、恐れていたことが起きてしまう。恵のフリをした涼を日和が見つけてしまうのだ。涼は「人違いじゃないですか」と言って誤魔化すが、そこに亜子の行きつけの店の店長・雄介も現れ、雄介が「恵くん」と声をかけたことから日和は混乱する。

そのあと自分の店にやってきた日和と話している最中に、雄介が「違う気がした…」と恵だと思って声をかけた人物に違和感を抱いたことをポツリとこぼす。雄介を演じた宮近海斗さんのこのシーンの細やかな演技も光っていた。

亜子(福原遥)の行きつけの店の店長・雄介(宮近海斗) (C)2025映画『楓』製作委員会
亜子(福原遥)の行きつけの店の店長・雄介(宮近海斗) (C)2025映画『楓』製作委員会

一人だけ本当のことを知っている人物がいる。それは双子の幼馴染の梶野だ。恵のフリをする涼と、そんな涼と暮らす亜子とは親しい間柄だが、程よい距離感を持って接するクールなキャラクターでもある。そんな梶野が、彼らにどんな言葉を放つのかにも注目してほしい。

涼(福士蒼汰)たち双子の幼馴染の梶野(宮沢氷魚) (C)2025映画『楓』製作委員会
涼(福士蒼汰)たち双子の幼馴染の梶野(宮沢氷魚) (C)2025映画『楓』製作委員会

涼の秘めた思いと亜子の秘密が明かされた瞬間に涙腺崩壊!

本作では、物語が進むにつれていくつかの秘密や過去に起きた出来事が明かされていく。そして真実を知った瞬間から亜子や涼の見え方が変わってくるもの大きな魅力と言える。

涼と恵、そして亜子の高校生時代がたびたび回想シーンとして登場するのだが、最初に亜子が恵に惹かれたのが、回想シーンによって「合唱コンクールの日」だったということがわかる。合唱コンクールでソロパートを歌うことになり、不安になっていた亜子は、学校の屋上で緊張と戦っていた。偶然現れた恵にその姿を写真に撮られ、そのあと恵におまじないをかけられたことがきっかけで亜子は彼と話すようになる。さらに恵が撮った亜子の写真がすてきだったことから、亜子は恵に惹かれたのだ。

ところが、この日の恵は実は涼であったことが劇中で明かされる。写真部の部長だった恵は、合唱コンクールの日に熱を出してしまい、部長が休んだらカッコつかないと言って涼に代わりに行ってもらっていたのだ。ということは、つまり屋上で亜子の写真を撮り、おまじないをかけたのは涼だったということ。そして恵はその事実を長年胸に秘め続け、亜子に正直に話そうとした瞬間に事故に遭って亡くなってしまったのだ。

涼もまた、屋上で写真を撮った日から亜子に惹かれていたが、“星”という共通の趣味を持つ恵と亜子が次第に仲良くなっていく姿を見て、その思いを伝えることはなかった…。

(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会

物語中盤では、亜子は最初から涼が恵のフリをしていることを知っていたということも明かされる。ニュージーランドから帰国して、怪我が回復しつつあった亜子が「恵ちゃん、そちらは彗星が見えますか?」とメッセージを携帯に送り、涼がそのメッセージを見たことで既読に。そのあと涼が亜子の家を訪れたことで、思わず「恵ちゃん!おかえり」と言ってしまったのだ。

ずっと恵のフリをさせていたことを亜子が涼に謝罪し、「誰かに助けてほしかった。あなたがいてくれなかったら耐えられなかった」と伝えるシーンでは切なすぎて涙腺崩壊。そしてここからは、涼と亜子がどんな思いで喪失から立ち直ろうとしていたのかが丁寧に描かれていく。

筆者は本作を二度鑑賞したのだが、三人の秘密や過去を知ってから観ると、見え方や印象がかなり違ってくるのがおもしろいと感じた。

(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会

ニュージーランドの事故後、涼が鏡を覗き込んでメガネをかけるシーンには、“毎朝、いつもこうやって恵スイッチを入れて生活していたんだな…”と切ない気持ちになり、涼が高校生のころに撮った亜子の写真を、大人になった二人が見つめ「あの日屋上で会わなかったら、恵ちゃんと一緒にいることもなかったのかな…」という亜子の言葉を隣で聞く涼の複雑な表情にも納得できた。

また、スーパーの買い物をかけて勝負するときにジャンケンをしようとした涼に、「外来語禁止ゲームじゃなくて?」と亜子が言い、「そっちか」と苦笑いする涼や、星空を一人見上げて泣いている亜子など、一度目の鑑賞で二人がどんな思いで一緒に過ごしてきたのかを見てきたからこそ気づけたことや、より心に刺さるシーンもあった。

寒い冬にぴったりの心温まるロマンティック・ラブストーリーの本作。まだご覧になっていない方はもちろん、既にご覧になった方にもぜひ劇場で再鑑賞してもらいたい。

(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会
(C)2025映画『楓』製作委員会

文=奥村百恵

(C)2025映画『楓』製作委員会

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