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リアルでもバディ宣言!「ラストマン」福山雅治&大泉洋が語る、互いへの絶対的信頼

  • 2025.12.26

福山雅治が全盲のFBI特別捜査官・皆実広見を演じ、大泉洋が扮する孤高の刑事・護道心太朗とバディを組んで数々の難事件を解決してきた連続ドラマ「ラストマンー全盲の捜査官ー」の続編となる『映画ラストマン -FIRST LOVE-』(公開中)。2年半ぶりに日本にやってきた皆実は、警視庁捜査一課の心太朗と一緒に、ある事件を追って北海道に向かう。そこで出会ったのは、皆実の初恋の女性、ナギサ・イワノワ(宮沢りえ)。謎の組織に追われる世界的な天才エンジニアの彼女を守るために、皆実と心太朗は、FBIから新たに派遣されたクライド・ユン(ロウン)やCIA、北海道警と共に事件に挑むが、内通者によって情報が漏洩され、最強のバディが絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

【写真を見る】劇中でもリアルでも息ぴったりのバディ!福山雅治×大泉洋を撮りおろし

物語とアクション、ユーモアのすべてが連続ドラマよりパワーアップした本作で、ド派手な銃撃戦や肉弾戦に挑み、いままで見せたことのない表情を浮かべる皆実を体現した福山。ドラマの最後で2人は実兄弟であることが明かされ、ドラマの時とは違う距離感で皆実を支え、事件と冷静に向き合いながらも絶妙なユーモアを差し挟む心太朗に扮した大泉。公私ともにお互いを知り尽くした2人が、劇場版や完全新作スペシャルドラマ「ラストマンー全盲の捜査官― FAKE/TRUTH」(12月28日放送)の撮影秘話から、お互いのことなどを楽しそうに話してくれた。

「大泉洋という俳優がやるからこそできる、護道心太朗だと感じます」(福山)

――映画とスペシャルドラマで皆実広見と護道心太朗を約2年半ぶりに演じられて、改めて感じられたキャラクターの魅力を語っていただけますか?

凸凹バディ、全盲のFBI捜査官・皆実広見と孤高の刑事・護道心太朗 [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
凸凹バディ、全盲のFBI捜査官・皆実広見と孤高の刑事・護道心太朗 [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

福山雅治(以下、福山)「皆実は、“いるような、いないような”ファンタジーと現実の両方を兼ね備えているところが魅力なのかと思います。そしてやはりヒーローですよね。劇中でも描かれてましたけど、子どもにも人気があるという。なにか、ウルトラマン的だったり仮面ライダー的だったり。それでいて腹黒いところや計算高いところもあって、でもそれも正義につながる腹黒さだったりする。そうしたところが魅力的であり、痛快だと感じます。

一方の護道心太朗さんは、影のある大泉さん、そこがすごく魅力的です。ガンアクションもキレがあって、凶暴性もあって、かつ、そんななかでもユーモアもあるという。こうした複雑な人間性を大泉さんがやる。大泉洋という俳優がやるからこそできる、護道心太朗だと感じます。なにしろ大泉さんは、演じながらも護道心太朗と大泉洋を行ったり来たりするんですから。なかなかできないですよ、すばらしいです」

大泉洋(以下、大泉)「でも、ご自身もいまおっしゃったように、皆実さんも本当にこんな人いるの?っていう超人的なキャラクターですからね。そんな人を福山さんは見事に演じていましたし、それは福山さんにしかできないことだと思います。今回の映画では、仕上がった作品を観て、こんなにめちゃくちゃアクションをしていたんだ!って驚きました」

――全盲所作指導のダイアログ・イン・ザ・ダークの方から「皆実さんならできるんじゃないですか?」って言われてやった、危険なアクションもあったようですね。

皆実広見のアクションシーンも見どころの一つ [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
皆実広見のアクションシーンも見どころの一つ [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

福山「すべてのアクションがそうでしたね。ダイアログ・イン・ザ・ダークの方は常に現場に立ち会ってくださっていたので、撮影中も『これ、台本では走って行って、船に飛び乗ることになっているんですけど、実際はどうなんですかね?』って聞いたんです。そうしたら、『皆実さんならできるんじゃないですか』って」

大泉「でも、めちゃくちゃカッコよかったですよ」

福山「『飛んで~!』って言われたので、必死にやりました(笑)」

「(今回のロケ地は)北海道出身の私も経験したことがないぐらいトラウマ級に寒かったです」(大泉)

――今回の映画版は北海道が舞台でしたが、雪の中のロケはいかがでしたか?

真冬の北海道を舞台に、新たな難事件に立ち向かう [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
真冬の北海道を舞台に、新たな難事件に立ち向かう [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

大泉「今回の映画は雪がとても似合う作品だなって思いました。雪の中のアクションもすてきですし、皆実さんの切ない初恋のお話を、私の故郷の北海道が見事に盛り上げていたのがうれしかったですね」

福山「北海道が舞台なんですけど、北海道と長野県の菅平などを転々としながら雪のシーンは撮ったんですが、なかなか大変でした。特に、皆実さんが国際テロ組織“ヴァッファ”のグレン・アラキ(寛一郎)に撃たれるシーンを撮った菅平の気温はマイナス15度で。吹雪の中で皆実さんが追い詰められるシーンで、実際に寒いし、標高も高いから息も上がる。ハアハア言っているのでとても苦しそうなんですが、それが非常に映画的な美しい画になっています」

大泉「いや、僕はもう、自分も含めて役者さんはやっぱりスゴいなと思いましたよ。菅平は、北海道出身の私も経験したことがないぐらいトラウマ級に寒かったですから。しかも、『ラストマン』の2人の服は菅平の寒さに全然対応してなくて(笑)。あんな格好で行っちゃダメだよっていうぐらい薄着なんですから」

福山「2人とも服の色がダークなので、あの一連では雪の白とのコントラストが出て、テレビシリーズの時より華やかになったのはよかったですけどね」

美しい雪のシーンの過酷な撮影エピソードを明かす [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
美しい雪のシーンの過酷な撮影エピソードを明かす [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

大泉「そこで皆実さんと護道さんとして普通に演技しましたけど、『カット』がかった瞬間に、もうガクガクガクって震えて喋れないんですよ。なのに、『よ~い、スタート!』って言われたら、その震えを止めてセリフを言っているから。僕はそれなりに長いセリフを喋ってるんですけど、ビックリするぐらいNG出なかったですもん。あれは、命の危険を感じていたからでしょうね(笑)。いつもなら間違うぐらいのセリフ量だったのに、“これがNGでも、もう1回なんてできない!”っていうぐらい切羽詰まっていましたから」

福山「でも、いい表情していましたよ。すごくいい目をしていた」

大泉「いや、本当に追いつめられていましたし、『カット』がかかった瞬間に猛ダッシュで車まで走っていって、『リテイクになりませんように』って祈るばかりでしたから(笑)」

――北海道愛あふれるセリフも多かったですよね(笑)。

福山「観ている側を翻弄させますよね(笑)」

大泉「でもあれ、台本に書いてありますからね!(笑)」

福山「勝手にやってるわけじゃないからね(笑)」

大泉「私(のアドリブ)じゃないんですよ。あれはセリフ、セリフ!僕も聞いたもん。なんで護道さん、こんなに北海道のコメントしてんのかなと思って(笑)」

護道心太朗を演じるのは北海道出身の大泉洋。北海道愛満載のセリフも必見 [c]2025映画「ラストマン」製作委員会
護道心太朗を演じるのは北海道出身の大泉洋。北海道愛満載のセリフも必見 [c]2025映画「ラストマン」製作委員会

――車の中で、ラッキーピエロ(函館の人気ハンバーガー・チェーン)の話をずっとしているところもセリフですか?

大泉「ああ、あれは確かに多少好き勝手に喋ってました(笑)」

福山「でも、そうやって、ドラマや映画の役柄のフレームをはみ出しそうになりながら、護道さんとしてストーリーを進めていけるのがスゴいですよね。おふざけをしてるわけではなく、ユーモアとして、作品全体の奥行きやキャラクターの幅に繋げているわけですから。現在放送している連続ドラマの『ちょっとだけエスパー』でも劇中で僕のモノマネをして楽しませてくれていたし(笑)」

大泉「ありがとうございます」

福山「宮沢りえさんと共演されていた舞台の『昭和から騒ぎ』でも…」

大泉「そうですね。あそこでも(福山のモノマネを)入れさせていただきました」

福山「『ラストマン』の撮影が終わったあとに観に行かせていただいて。そしたら、『僕かな?』みたいなシーンがあって」

大泉「あれは(福山に)『やって!』って頼まれたんですよ(笑)。(福山の喋り方で)『(僕の)モノマネを入れてくれないかな』って言われたから……」

福山「『洋ちゃん、明日観に行くから、入れてもらってもいい?』って(笑)」

大泉「それで入れたんですけど、『エスパー』のほうは、私が勝手に入れさせてもらって、事後報告になりました(笑)」

福山「スゴいことですよ。それができるのは、世界でも大泉さんだけです(笑)」

「白杖を持って、護道さんにアテンドしてもらいながらニューヨークを歩くシーンの撮影は感慨深い」(福山)

――今回の映画とスペシャルドラマの「ラストマンー全盲の捜査官― FAKE/TRUTH 」はニューヨークでも撮影されましたが、ニューヨークロケの思い出を教えてください。

福山「ニューヨークでは皆実さんが護道さんにアテンドしてもらいながら歩くシーンとアクションを少し撮ったんですけど、銃を扱うところは、けっこう躊躇いがありましたね」

大泉「僕は銃を抜くんでね、めっちゃ怖かったですよ」

福山「ニューヨークのど真ん中ですからね」

大泉「ニューヨークの真ん中で『銃を抜いて追っかけろ!』なんて言うから、僕はなるべく銃が目立たないようにして追っかけたんです。そしたら監督が『銃が見えないからもっと手を上げてくれ!』って言って、テイク2を撮ることになって。でも、完成したものを見たら一瞬しか使っていなかったので、もっと使ってよって思いました(笑)」

福山「日本では銃を持っていても撮影だろうなって思うけれど…」

大泉「アメリカで、見たこともない日本人が銃を持っていたらね」

福山「『テロだ!』ってなるからね」

大泉「実際、撮影の準備が終わるのを待っている時に、前から歩いてきたちょっとヤンチャそうな兄ちゃんが僕が持っている銃に気づいて。彼が『ムービー?』って聞いてくれたから、『「Yes、ムービー、ムービー! ソーリーソーリー』みたいなめちゃくちゃな英語で何とか事なきを得ました(笑)」

福山「シャレにならないからね」

大泉「本当、怖かったです」

福山「そして、白杖を持って、護道さんにアテンドしてもらいながらニューヨークを歩くシーンの撮影は感慨深いものがありました。僕は連続ドラマ版の撮影に入る前から、アル・パチーノ主演の『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』をずっと観ていて。若者(クリス・オドネル)に支えてもらいながら白杖を持って歩くアル・パチーノさんは、皆実を演じるうえで参考にさせてもらっていたので、ニューヨークで同じようなシーンを撮れたのはすごくうれしかったです。これは僕の個人的な思い出ですけどね」

福山雅治が役作りのために参考にした名作映画とは? 撮影/河内彩
福山雅治が役作りのために参考にした名作映画とは? 撮影/河内彩

「2人でもう一個ぐらいのシリーズを走らせたいし、一緒に仕事をするのは楽しいです」(大泉)

――お2人はお芝居や歌だけではなく、いろいろな表現をされています。そういった多彩なものにチャレンジする原動力と言いますか、ご自分を突き動かしているものはなんですか?

福山「(いろいろな話を)いただくからっていうのがいちばん大きいと思います。『音楽だけやっていたんだけど、芝居もやってみたかったんだよね』っていうことではなく、ありがたいことに『あなたの新しい表現を見てみたいんです』なんてオファーをいただくことがうれしく感じますね。上手くやれるかどうかはわからないけれど、こうやったらもっとおもしろくなるんじゃないかな?こうしたらもっとカッコよくなるのでは?っていうイメージだけは次々に湧き上がるので、その連続で僕はやっています」

大泉「僕も右に同じって感じです。もちろん、お話をいただいても断ることはあるんだけど、何度も熱心にお願いされると、そんなに言ってくれるんだったらって思っちゃう。それに頼まれた以上、頑張りたいし、期待を裏切りたくないと思ってやってしまうところがありますね」

大泉洋が自身の原動力を明かす 撮影/河内彩
大泉洋が自身の原動力を明かす 撮影/河内彩

――「ラストマン」シリーズで共演されてお2人の距離感はさらに縮まったと思うんですけれど、そんななかで、改めて、お互いに相手をリスペクトするところ、自分にはあんなことはできないなって思うようなところを教えてください。

福山「芝居場の話で言うと、大泉さんは非常に鋭いので『このセリフ、ここちょっと変じゃないですか?』とか『これ、なんか違和感ないですか?』みたいなことを的確に指摘されるんです。視聴者目線と言うか、とても客観的に、テレビで観た時に“これって変じゃないかな”って思うようなことが現場でわかるんでしょうね。僕もそういう目で見てはいるものの、“やってみてよっぽど変だったら監督にあとでカットしてもらえばいいかな”って思うところがあるんですけど、大泉さんにはきちんといいものに仕上げておきたいという芝居場に対する誠実さがすごくあって。“おもしろい”ということに対しても厳しい目をお持ちですし、一生懸命だから、そこはすごく頼りになりますね」

大泉「福山さんがスゴいのは、決める時にちゃんと決めるってところですよね。カッコよくなきゃいけないシーンのカッコよさの精度が高いし、あれは福山さんにしかできないですよ。日本国民はそんなカッコいい福山さんを見たいと思っているわけだけど、そこにしっかり答え続けているというかね。野球で言うなら、常に満塁で打席が回ってきて、絶対そこでホームラン打ってくれるという安心感がある。今回の映画でも、カッコいいシーンをあの精度で決めてしまうんだから、本当にスゴい。それがやっぱり福山さんだし、絶対に真似できないところです」

【写真を見る】劇中でもリアルでも息ぴったりのバディ!福山雅治×大泉洋を撮りおろし 撮影/河内彩
【写真を見る】劇中でもリアルでも息ぴったりのバディ!福山雅治×大泉洋を撮りおろし 撮影/河内彩

――お2人がもし実際にバディを組むとしたら、どんなことを一緒にやりたいですか?

大泉「僕は福山さんのことがすごく好きだし、こんなにおもしろいは人いないなって気がするので、2人でできる仕事があるなら、ほかにもいろいろやりたいですね。2人でもう一個ぐらいのシリーズを走らせたいし、一緒に仕事をするのは楽しいですから。今日も(取材を受けている福山さんを)見ているだけでおもしろいです。なので、どんなことでもいいから、福山さんとはまたぜひ一緒にやりたいですね」

福山「もう、バディみたいなものですから(笑)。僕らももういい歳で、すぐに60代に入っていくので、これからも2人が仲良さそうで、楽しそうに生きてる50代、60代のエンターテイナーだなっていう見え方になるといいのかなと思います」

取材・文/イソガイマサト

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