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「1年で5着しか買わない」チャレンジ! エディターが実際に購入したものは?【2025ベストバイ】

  • 2025.12.26
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今年の目標を決めようとしていた2024年の暮れ、国際シンクタンクHot or Cool Instituteが発表した、持続可能なライフスタイルのための公平な消費についてのリポートの記事を目にしました。それは、私たちがある程度の幸福感を保ちながら、地球温暖化の限界としてパリ協定で定められた1.5度目標(※)を達成するために、年間で新しく購入する服は5着、ワードローブの総数を74着程度に抑えることを推奨するものでした。このリポートは2022年に発表され、2023年には主にヨーロッパのメディアを中心に、1年間で5着しか買わない=Rule of 5の体験談がいくつか掲載されていました。

※地球の平均気温の上昇を、産業革命の前からプラス1.5度までに抑えるという世界共通の約束。

(ワードローブ74着はさておき)1年間で5着……そんなこと可能なのか? ちなみに私のスマホのメモには、「2024買ったもの」という、買い物の備忘録を残そうとするも8月ごろに挫折した形跡が残っていました。「2024買ったもの」(8月まで)は26点でした。

環境によい行動を個人が数値化しにくいなかで、この5着しか買わないという目標はとてもわかりやすい指標だと感じ、興味もわいたのでチャレンジすることにしました。このRule of 5には公式の決まりはなさそうですが、過去の挑戦者たちの体験記を見るとおよそのルールは次のものでした。

「衣類、靴、バッグ、アクセサリーなど、新しく購入したものはもちろん、中古品やギフトなど人からもらったものも1点としてカウントする。ただし下着やパジャマ、ソックス、スポーツ用品は除外」

この非公式ルールを、1年で30着近く買っていた私でも実現可能なレベルにアレンジしました。

5着に含むもの:新しく購入する服、靴、バッグ

5着に含まない:下着などの消耗品、スポーツ用品、ジュエリーなどの小物、人からのギフトやおさがり

買ってはいけないと思うほど、不思議と意識はお店やECサイトに向くもので、1点目を購入したのはチャレンジ開始後すぐでした。買ったのはネオングリーンのスニーカー。雲行きが怪しすぎる!

買わないためにやったこと

このペースでは最初の3カ月で5点買いかねないぞと財布のひもを締め直し、手持ちアイテムを点検することにしました。サイズが合っていない、ダメージや汚れがあるなどが理由で使用頻度が減っているものがないか確かめました。

10年近く履いている、「ジェイエムウエストン」のローファー。この春にかかとの修理と磨きに出したらつやが復活。 Hearst Owned

かかとがすり減ったローファーは修理とクリーニングに出し、ベルトループがとれたリネンパンツは自分で縫い直し、洗濯で色落ちした黒のコットンシャツやコーデュロイパンツは自宅で黒染め。微妙にサイズが大きく落とすのが怖くて出番が少なかった大ぶりのリングは、購入元へサイズのお直しに出しました。

ピカピカになったレザーシューズや、ストレスなく身に着けられるようになったパンツやリングを見ると満足感を得られました。そして再びワードローブの一軍に。「着るものがない!」と思ったときに、クリーニングやメンテナンスにだすことはとてもおすすめです。チャレンジを始めて半年たった夏、世間のボーナス買いの空気にものまれず、私の物欲は凪の状態でした。

古着でチート、セールは見ないふり

ところが夏も終わりに差し掛かると、Tシャツかタンクトップの代わり映えのしない毎日の格好に私のメンタルはバテ気味でした。ダイエットでいう停滞期です。このとき、通りかかったデザイナーズアーカイブショップで「マーク ジェイコブス」のシックなカラーのボタニカルプリントドレスを見つけ、古着は5点に数えないという新ルールを秒で発令。ダイエット停滞期にはチートデーが効果的です。このドレスは夏服ですが、残暑が厳しい9月末まで大活躍しました。

夏のセールシーズンは、お店に近づかない・ECサイトは見ない戦法で乗り切りました。それでも、SNSを開けばアルゴリズムにより魅力的なスタイリングや商品が流れてくる環境で欲しいものがゼロになるわけではなく、そんなときはいったんカートに入れて数日寝かし、「この欲しい気持ちは一過性のものではないか? 5分の1着に値する買い物か?」と自問するクセをつけました。

買わない反動×物欲の秋

秋冬シーズンの立ち上がりを迎えると、「もういいだろう」という気の緩みと夏の我慢の反動が、展示会での予約購入品とともに一気に押し寄せ、あっという間に上限を迎えました。買ったのは黒のセットアップとデニムのハーフパンツ、パステルカラーのモヘアニット。セットアップは、ジャケットとパンツを一緒に買ったものを1カウントにしました。買えるのはあと1点。これで残りの3カ月を乗り切らねば……。

おしゃれな友人に感謝

友人のおさがり。「グッチ」や「ボッテガ・ヴェネタ」、「ジル サンダー」など、古いものも丁寧にケアされていてまだまだ現役! Hearst Owned

アウターとボトムスに対してトップスの少なさが心もとない。そんなとき、友人から「サイズが合わなくてもう着ないから」と、秋冬アイテムのおさがりを託されました。いただいたのはハイゲージの無地のニット数点で、この秋冬はとにかくよく着ました。おさがり品・もらいものを除外するルールでよかった。服の趣味が合う友人と交換会を開いたり、同居の家族やパートナーとシェアしたりするのもいいなと思いました。

1年で5着チャレンジの結果は?

1年間の服の購入数を5点まで減らせるか? 12月25日現在、購入数は3点オーバーの8点です。最後の2カ月の間に、プレオーダーしたことをすっかり忘れていたカシミヤニットパンツが届き、うっかり入ったデパートやショップで、買えないと思っていた幻のバッグ(2点)に偶然出会い、欲しかったスニーカーの自分サイズをラスト1足で見つけてしまいました。やっぱりお店に近づくのは危険。

ベストバイ発表

1年に5点しか買わないと決めたけど結局8点買ってしまったエディターの購入履歴!(購入順不同)

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「アディダス オリジナルス」の“トーキョー”(写真左)。ロープロファイルスニーカー全盛だった今年の初め、一足も持っていなくて購入。黒コーデのワンポイントになりました。

「ナイキ」の“ショックス”(写真右)。自分のサイズが店頭でラスイチだったため衝動買い。

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「バウト」のセットアップ。尾州のウールを使用したオーバーサイズのジャケットとパンツ。セットでも、セパレートでも活躍している超絶元取れアイテム。

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「イーヨ」のカシミヤニットパンツ(写真左)。ウエストを折り返したり、折らずにベアトップのニットオールインワンとして着たり。

「クロ」のハーフパンツ(写真右)。パリッとしたリジッドデニムを使用した半端丈ジョーツは普通じゃないシルエットがかわいい。

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「オーラリー」のモヘアニット。パステルカラーが個人的に難易度が高くお蔵入りしかけるも、おしゃれ番長のエディターCに「重ね着するとかわいい」と教えてもらって出番が急増🙏

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「ザ・ロウ」の“パークトート スリー”(写真奥)。キャンバス地にひと目ぼれ。人気のため入手困難かと諦めていたところに突如降臨。

「アニヤ・ハインドマーチ」の“モティマー”クラッチ(写真手前)。はやりの横長フォルムで、小ぶりだけど見た目以上に物が入るのでものすごく便利。ストラップ付きなのもいい。

チャレンジをして思ったこと

目標数を超えてしまいましたが、購入品のほとんどが長く使うことを想定したもの。私は過去にセール品の衝動買いで失敗することが多かったのですが、慎重に選んだ今年の8点はどれも納得のいくベストバイでした。

購入した8点のうち2点がスニーカーだったことで気づいたのは、服は変わらなくても、手頃なスニーカー次第で今っぽくあか抜けたり、なりたいスタイルに近づいたりできるのだということでした。もともと主張が少ない服が多い私の場合は。また、買う量が減ったぶん貯金にまわせるだろうと思っていましたが、本当に欲しいものを突き詰めた結果、ご褒美買いレベルのものが増えてしまい、支出額は変わらなかったかもしれません。

着ない服を減らすために

環境省が公開している、令和6年の「1人当たりの衣料消費・利用状況」のアンケート結果によると、私たちは年間で約20着購入しながら約14着を手放し、クローゼットには着用しない服が約23着眠っているそうです。あらみなさん結構買っているのね、という感想。

1年で5着=Rule of 5は、ライフスタイルや服の好みによっては難しい目標ではありますが、内閣府が発表したデータが示す「着ない服が23着」は、意識次第で無駄な消費を減らすことができるということしょう。

今回のチャレンジは、パーソナルスタイルや自分の好きを見出すと同時に、今あるものを大切に扱うことでも豊かさや深い満足感を得られる、「足るを知る」プロセスであったと感じます。2026年も、お買い物を楽しむことで社会参加しつつ、環境への負担も最小限に抑えられるスイートスポットを探る挑戦を続けたいと思います。私の体験が、どなたかの来年の目標を決める際の参考になれば幸いです。

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