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【帰省ブルー】実家に帰りたくない!"40代、50代になっても親が嫌い"…どう切り抜ける?

  • 2025.12.26

年末年始やお盆が近づくと、憂鬱な気分になっていませんか?

SNSでは「実家に帰るのが楽しみ」という投稿を見かけるのに、自分だけが実家への帰省を負担に感じているようで、罪悪感を抱いていないでしょうか。

40代、50代になっても親との関係が改善せず、むしろ年齢を重ねるごとに帰省のストレスが増しているという方は少なくありません。「もう大人なのに親が嫌いなんて」と自分を責める必要はありません。実家への帰省が苦痛なのには、正当な理由があるのです。

「帰省ブルー」の正体を紐解いてみましょう。今回監修いただいたAGO global株式会社の湯山 卓先生も、帰省に悩む一人。どう対処すればいいか、また「帰省しない」という選択への罪悪感を軽くする考え方を、実体験も交えながらお伝えします。

実家に帰るのが憂うつ「帰省ブルー」の正体とは

帰省ブルーとは何か

帰省ブルーとは、実家への帰省が近づくにつれて感じる憂鬱感、不安感、ストレスのことを指します。

「マリッジブルー」や「マタニティブルー」と同様に、本来喜ばしいはずの出来事が精神的負担になる状態です。

この感情は決して珍しいものではありません。とくに40代、50代になると、親の老いや介護の問題、きょうだい間の関係、自分自身の人生の選択への干渉など、複雑な要因が絡み合い、帰省ブルーが深刻化する傾向があります。

重要なのは、帰省ブルーは「わがまま」でも「親不孝」でもなく、心身からの正当なSOSサインであるということです。

よくある"帰省ブルー"5パターン

帰省ブルーの背景には、さまざまなパターンがあります。あなたの状況と重なるものがあるか確認してみてください。

パターン1 「まだ結婚しないの」価値観の押し付けと干渉

「まだ結婚しないのか」「孫の顔が見たい」「その仕事はいつまで続けるの」。

親が高齢になるにつれて「あと何年生きられるか分からないから」という言葉とともに、干渉がエスカレートすることもあります。

離婚や未婚、キャリア選択、子どもの教育方針など、自分の人生の選択を否定され続けることで、実家に帰るたびに自己肯定感が削られていく感覚を味わうことも。

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パターン2 「お兄ちゃんは大企業に勤めてるのに」きょうだい間の比較

「お姉ちゃんは結婚して孫もいるのに」「弟は大企業に勤めているのに」といった比較は、何歳になっても心に刺さります。

幼少期から続く不平等な扱いが、大人になった今も変わらず、実家に帰るたびに子ども時代の傷が再び開くように感じます。

また、介護や実家の管理といった責任が特定のきょうだいに偏る不公平さも、帰省を憂鬱にする大きな要因です。

パターン3 「いつまでも未熟な子ども扱い」役割を固定化される

実家に帰った瞬間、まるで時間が巻き戻ったかのように、子ども時代の「役割」に戻されてしまう感覚はないでしょうか。

社会では責任あるポジションにいても、実家では「いつまでも子ども扱い」されたり、「家事をやって当然」と期待されたりします。

40代、50代になり、自分自身も親世代に近づいているにもかかわらず、親は相変わらず上から目線で指示を出してきます。この「タイムスリップ現象」が、強いストレスを生み出すのです。

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パターン4 介護問題への不安と負担

親が高齢になるにつれて、介護や健康管理の話題が避けられなくなります。誰が親の面倒を見るのか、費用はどうするのか、施設はどうするのか。

こうした重い話題が、帰省のたびに浮上します。

きょうだい間で意見が分かれる場合や、自分だけが負担を押し付けられる場合、帰省は単なる家族団らんではなく、「今後の負担を押し付けられることを再確認する場」となり、強い憂鬱感を引き起こします。

パターン5 過去のトラウマの再体験

幼少期に虐待、ネグレクト、過度な管理、感情的虐待などを受けた場合、実家に帰ること自体がトラウマを再体験する引き金になります。

「もう何十年も前のこと」と頭では分かっていても、身体と心は正直に反応します。このタイプの帰省ブルーは深刻で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に近い症状が出ることもあります。

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一体何なの!? 帰省ブルーの正体とは

帰省ブルーの本質は、「自分らしくいられない環境への拒否反応」です。

日常生活では自立した大人として尊重されているのに、実家では否定され、コントロールされ、決定権のない子ども扱いされる。この落差が大きなストレスを生み出します。

心理学的には、「自己一貫性」と呼ばれる心理です。自分が構築してきたアイデンティティが、実家という環境で崩されることへの防衛反応なのです。

また、40代、50代という年齢特有の要因もあります。

自分自身の人生の折り返し地点に立ち、親の老いと向き合い、介護という現実的な問題が目前に迫る中で、「親子関係を修復しなければ」というプレッシャーと、「今さら関係は変わらない」という諦めの間で揺れ動きます。

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さらに、この年代は自分の子どもの独立や、仕事でのキャリアの転換期とも重なり、アイデンティティの再構築を迫られる時期です。

そんな中で、実家という「過去の自分」を突きつけられる場所への帰省は、心理的負担が特に大きくなるのです。

帰省ブルーは、あなたの心が「これ以上負担を感じたくない」と発しているサインです。この感情を否定する必要はありません。

次:どう切り抜ける!? 帰省ブルー5つの対処法

どう切り抜ける!? 帰省ブルー5つの対処法

帰省が避けられない場合、自分を守りながら乗り切るための具体的な対処法を紹介します。

対処法1 滞在時間を短くする

「数日間泊まる」のではなく、日帰りや一泊にとどめることを検討しましょう。長時間の滞在は、それだけストレスにさらされる時間が長くなることを意味します。

また、「○日の夕方には帰らなければならない」と最初に宣言しておくことで、心理的な逃げ道を確保できます。

「仕事」「子どもの予定」「体調」など、正当な理由を用意しておくことで、親の引き止めにも対応しやすくなります。

具体例
  • 「31日の午後に行って、1日の朝には戻ります。仕事が2日から始まるので」
  • 「ペットのお世話があるから、一泊だけね」
  • 「今回は日帰りで。最近疲れやすくて、長距離移動がきついから」

対処法2 ホテルに泊まるという選択

実家に泊まらず、近くのホテルや旅館に宿泊するのも有効な方法です。「夜は静かな場所でゆっくり休みたい」「いびきがうるさくて家族に迷惑をかけるから」といった理由で、自然に提案できます。

ホテルという「安全な避難場所」があることで、心理的余裕が生まれます。実家での時間が辛くなったら、「少し休憩してくる」と言ってホテルに戻ることもできます。

これは親への敬意を示しつつ、自分の心を守る賢い方法です。「実家のベッドが体に合わなくて腰痛が」という理由も、角が立ちにくいでしょう。

対処法3 同行者を連れていく

配偶者や友人など、第三者と一緒に帰省することで、緊張が和らぐことがあります。同行者がいることで、親も過度な干渉を控える傾向がありますし、辛い場面で味方がいるという安心感があります。

ただし、同行者が親に取り込まれて自分の味方にならない可能性や、逆に同行者が親からの攻撃対象になる可能性も考慮する必要があります。

事前に状況を説明し、「こういう発言があったら流してほしい」など、対策を共有しておきましょう。

対処法4 話題をコントロールする

親が干渉的な話題を持ち出したとき、詳しい情報を提供せず、当たり障りのない返答で切り抜ける方法が有効です。

干渉的な質問への返答例
  • 「結婚は?」→「そうですね、縁があれば」
  • 「仕事は?」→「今のところ順調ですよ」
  • 「孫は?」→「あるかもしれませんね」

感情を乗せず、淡々と、具体的な情報を与えないことがポイントです。議論に発展させず、受け流すイメージです。

また、事前に「安全な話題リスト」を用意しておくのも良いでしょう。地域のニュース、天気、テレビ番組、料理など、当たり障りのない話題に誘導することで、地雷を踏むリスクを減らせます。

対処法5 「儀式」として割り切り、感情を切り離す

帰省を「やらなければならない儀式」として捉え、感情的な期待を手放すことも一つの方法です。「親と理解し合える」「温かい時間を過ごせる」という期待が、失望と傷つきを生みます。

代わりに、「年に一度の形式的な行事」「社会的義務の履行」と割り切ることで、心理的ダメージを最小限に抑えられます。冷たく聞こえるかもしれませんが、これは自己防衛のための正当な戦略です。

帰省中は「観察者モード」に入り、親の言動を客観的に観察するという姿勢も助けになります。「また同じパターンが始まったな」と心の中で実況中継することで、言葉の刃から距離を取ることができます。

帰省後のセルフケアも重要です。帰宅したら、信頼できる友人やカウンセラーに話を聞いてもらう、好きなことをして気分転換する、十分な睡眠を取るなど、意識的に心を癒す時間を設けましょう。

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帰省しない選択もあり! 罪悪感を軽くする考え方

「帰省しない」という選択は、決して親不孝ではありません。あなたの心と体の健康が最優先です。ここでは、帰省しない選択への罪悪感を軽くする考え方を紹介します。

帰省を「義務」ではなく「選択肢のひとつ」として捉える

多くの人が「親がいるうちは帰省すべき」「家族なのだから」という「べき論」に縛られています。

しかし、帰省は法的義務でも道徳的絶対でもありません。あなたには、自分の心身の健康を守る権利があり、それは親への義務よりも優先されるべきものです。

帰省を「しなければならないこと」から「してもいいし、しなくてもいいこと」へと認識を変えることが、罪悪感からの解放への第一歩です。

帰省しないことへの罪悪感の多くは、子ども時代に植え付けられた「良い子」「従順な子」であるべきという刷り込みです。「親を悲しませてはいけない」「親の期待に応えなければ」という思い込みが、罪悪感を生み出しています。

この罪悪感は、あなたの本当の気持ちではなく、親からの条件付き愛情の名残です。

「罪悪感を感じているな」と気づいたら、「これは私の本当の気持ちだろうか、それとも植え付けられた感情だろうか」と問いかけてみてください。

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「親孝行」にも多様性がある

帰省だけが親孝行ではありません。電話やビデオ通話で様子を確認する、必要な支援を金銭的に行う、介護サービスの手配をするなど、親孝行の形はさまざまです。

また、自分が心身の健康を保ち、自分の人生を充実させることも、広い意味での親孝行と言えます。親は子どもの幸せを願っているはずです。実際には願っていない親もいますが、それは親側の問題です。

「なぜ帰ってこないのか」ときょうだいや親戚から責められることがあるかもしれません。この場合、詳しい説明をする必要はありません。

あなたの決断はあなたのものであり、他者の承認を必要としないのです。

毒親と距離を置くことは正当な自己防衛である

親が明らかに有害な存在である場合、距離を取ることは自己防衛です。「親だから」という理由だけで、有害な関係を維持する必要はありません。今は自分を守ることが優先です。

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「今年は帰省しない」という言葉で心理的負担を軽減する

「もう二度と帰省しない」と決めるのではなく、「今年は帰省しない」という一年限定の決断にすることで、心理的ハードルが下がります。

毎年、その年の状況と自分の心の状態を見て判断すればいいのです。永遠の決断をする必要はなく、「今の自分」を優先して選択すればいいのです。

もし完全に帰省しないことに抵抗がある場合、代替案を提案するのも一つの方法です。

代替案の例
  • 「年末年始は無理だけど、3月に日帰りで行くよ」
  • 「今年は体調が良くないから、来年にさせてほしい」
  • 「直接行けないけど、お歳暮を送るね」
  • 「帰省の代わりに、こちらに来てもらうことはできる?」

帰省せずとも親不孝をしているわけではない

「親が嫌い」「実家に帰りたくない」と感じることは、恥ずかしいことでも親不孝でもありません。それは、あなたの心が発している正当なサインです。

親孝行の形は多様ですので、もし親との不健全な関係に悩んでいるなら、帰省しないことも正当防衛と言えるでしょう。

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シチュエーション別! 角を立てずに使える具体的な例文

監修者の湯山卓先生は以下のように語ります。

湯山先生:

私の施術現場でも、ストレスを溜め込みやすい方は「断り下手」であることが多いと感じます。とくに親に対しては、真っ向から否定すると余計に干渉が激しくなる「反発のループ」が起きがちです。

整体でも「急激な圧」より「じわっと逃がす」ほうが体への負担が少ないように、帰省の断り方も「親への配慮(クッション言葉)」+「物理的な理由(事実)」+「代替案」の3段構成で、心理的圧力を逃がすのがコツです。

角を立てない具体的な例文をシチュエーション別に整理しました。

1.もっとも受け入れられやすい!「仕事」を理由にする場合

社会人としての責任を理由にすると、親世代も強く言い返しにくい傾向があります 。

「お正月、顔を見せに行きたい気持ちはやまやまなんだけど(クッション言葉)、どうしても外せないプロジェクトが入ってしまって、2日から仕事なんだ 。今回は日帰りすら難しそうだから、落ち着いた頃にまた連絡するね。」

「行きたい気持ちはある」と最初に伝えることで、拒絶感を和らげます。

2.「健康・体調」を理由にする場合(整体師としても推奨)

40代、50代は心身の曲がり角です。「無理をすると倒れてしまう」というニュアンスを含めるのが有効です 。

「最近、仕事の疲れが溜まっていて、お医者さんからも『この休みはしっかり休養するように』と言われているんだ。長距離の移動が今の体調だと厳しくて……。今年は家でゆっくりさせてもらうね 。」

「疲れやすい」「移動がきつい」と具体的に伝えることで、親側に「無理をさせてはいけない」という心理を働かせます。

3.「家庭・ペット」の事情を理由にする場合

自分の家庭を優先させることは、自立した大人として正当な権利です 。

「今回はペットの体調が不安定で、家を空けるのが心配なんだ 。家族とも相談したんだけど、今年は家で過ごすことに決めたよ。代わりに、実家のみんなで食べてほしいお菓子を送ったから、届いたら教えてね。」

「送るね」という代替案(モノによる親孝行)をセットにすることで、「無視されているわけではない」という安心感を与えます。

4.帰省はするが「宿泊を断る」場合

実家に泊まると逃げ場がなくなります。「別の場所に寝床を確保する」ための例文です。

「久しぶりに会えるのを楽しみにしてるよ。ただ、最近腰痛がひどくて、実家の布団だと朝起き上がるのが辛いんだ。みんなに気を使わせたくないし、近くのホテルを予約したから、夜はそこでゆっくり休ませてもらうね。」

「実家への不満」ではなく「自分の体の問題(腰痛など)」を理由にすることで、親のプライドを傷つけずに済みます。

断る際に大切なのは、「永遠の拒絶」ではなく「今回の選択」であることを強調することです 。

●「今年は」という言葉を添える

「二度と帰らない」ではなく「今年は帰省しない」と限定することで、相手の反発と自分の罪悪感の両方を抑えることができます。

●説明しすぎない

長々と理由を説明すると、親に「そこをなんとかできないか」と反論の隙を与えてしまいます。理由はシンプルに、決定事項として淡々と伝えましょう。

もし、これらを使っても親戚から責められるようなことがあれば、それはあなたの問題ではなく、相手側の問題だと割り切って大丈夫ですよ。

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監修者プロフィール

AGO global株式会社 湯山 卓(世界のアゴタク)先生

・日本小児口腔発達学会学会員
・ORFS口腔機能支援士(認定番号10800号)
・あご体操でうつがみるみる消えていく(河出書房)
・AGOメソッド創始考案者
https://www.agoglobal.co.jp/

<Text:外薗 拓/Edit:編集部>

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