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スターバックスがこども食堂とのつながりを通じて地域を笑顔に――「Be a Santa ドネーションプログラム」

  • 2025.12.26

2022年に始まったスターバックスの「Be a Santa ドネーションプログラム」。スターバックス(R)リワード会員から寄せられたStarの寄付と売上の一部で、ホリデーシーズンに全国のこども食堂へお菓子のギフトを届けている。

4年目となる2025年は、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じて1183万9960円相当のホリデーギフトを47都道府県・計790カ所のこども食堂へ届け、約4万4000人の子どもたちと地域の方々へプレゼント。そのうち50カ所にはパートナー(従業員)がサンタに扮して直接ギフトをお届けするためこども食堂に訪問し、バリスタ体験など地域の人たちの笑顔につながる体験を届けている。

今回は、茨城県つくば市のこども食堂「筑波大生による、みんなの食堂」に訪問した際の様子を紹介する。

学生がつくる地域の居場所

「筑波大生による、みんなの食堂」、通称・つくしょくは、筑波大学の学生が主体となって運営されているこども食堂。会場となっている「ダイニングバー クルーズ(以下、クルーズ)」でアルバイトをする学生たちが地域のためにできることを模索し、バーのオーナー・渡辺さんの協力を得て2023年にスタートした。毎月第2水曜日に、高校生以下は無料、大人は300円で食事を提供している。

部活や習い事の帰りに子どもだけで来る子もいれば、上階のカラテ教室のあとに親子で立ち寄る人たちもいて、地域の居場所として親しまれている。相席をきっかけに、親世代の新しい交流が生まれるなど、大人にとっても安心できる場所だ。

ダイニングバー クルーズの小上がりには、プレイマットが敷かれて準備万端
ダイニングバー クルーズの小上がりには、プレイマットが敷かれて準備万端

扉を開けると、店の小上がりへまっしぐらに向かい、「これこれ!」とオモチャを出す1歳・3歳・5歳のきょうだい。「大学生の方たちが子どもと一緒に遊んでくれるんです。お兄ちゃん、お姉ちゃんと遊べることをみんな喜んでいて」と、きょうだいのお母さんが教えてくれた。

「次は来てねー!」とSNSにメッセージを録音する子どもの姿も。会いたかった大学生のお兄ちゃんがこの日は不在で、ほかの学生を通じてメッセージを送ったのだと、少しむくれながら教えてくれる様子が愛らしい。

サンタと一緒に。笑顔がひときわ輝くバリスタ体験

この日は、子どもも大人もグリーンエプロンを身につけ、スターバックス コーヒー 筑波大学附属病院店のパートナーと共にバリスタ体験とコーヒーかすの抽出液でペインティングを楽しんだ。

好みのフレーバーのスターバックス ヴィア(R)(お湯を注ぐだけで本格的な味わいのコーヒーを簡単にいれることができるスティックタイプのコーヒー)を選んで湯で溶かし、ミルクフォーマーを使って自分で泡立てたミルクを注げば完成だ。真剣な顔、ミルクが飛び散って驚いた顔、おいしい~と満足そうな顔――くるくる変わる子どもたちの表情が印象的だった。

ミルクを自分で泡立てる
ミルクを自分で泡立てる
初めての体験にドキドキ
初めての体験にドキドキ

ペインティングでは、小さな画伯たちが雪だるまやツリー、トナカイなどを用紙いっぱいにのびのびと描いていた。

パートナーにレクチャーを受けながらコーヒーかすの抽出液でペインティング
パートナーにレクチャーを受けながらコーヒーかすの抽出液でペインティング
すてきな作品がたくさんできた
すてきな作品がたくさんできた

体験を終えた人から順に、みんなの大好きなカレーの時間が始まる。店の軒先では大学生たちが餃子を焼き、「3つほしい!」「いっぱい食べてね~!」という元気な声も聞こえてくる。

筑波大生が焼いた餃子をもらって、うれしそう!
筑波大生が焼いた餃子をもらって、うれしそう!

食事を終えても遊び続ける子どもたちや、会話の弾む親の姿と、イベントらしいにぎやかな時間の締めくくりには、パートナーが一人ひとりにホリデーギフトを手渡した。今年のギフトはスターバックスのポテトチップス シーソルト、キャラメルポップコーン&プレッツェルや、活動に賛同するネスレ日本株式会社から寄付された「キットカット」の詰め合わせだった。

スターバックスからのホリデーギフト
スターバックスからのホリデーギフト

子どもも大人も、大学生もパートナーも笑顔に包まれ、地域の温かな交流が広がった時間に、「幸せな気持ちでいっぱいになりました」と教えてくれたのは、パートナーの吉田さんだ。

「最初は何をやるのかなって不安げだった子も、体験を通じて達成感を味わって、カレーを食べて帰るころには表情が変わっていて、その姿がとてもうれしかったです。学生さんたちが力を合わせているのもすてきですね」と、心を動かされたようだ。

多様な力が集まれば、支援は彩りを増す

子どもがひとりでも行ける無料または低額で食事を提供するこども食堂は全国で1万2000カ所以上あり、今では孤立を防ぎ交流を育む地域住民の居場所として大きな役割を果たしている。全国的に物価高や人手不足が課題だが、つくしょくでは大学生の力が大きな支えになっている。

クルーズのアルバイトは代々筑波大生。彼らと共に同じ大学のボランティアサークルも協力し、運営を支えているのだと、つくしょくの運営にスタート当初からかかわっている濱田さんが教えてくれた。濱田さんは今年度卒業を迎えるが、後輩へ活動を引き継ぐ仕組みも整えられ、学生の力が受け継がれているそうだ。さらに市の補助金や企業からの食材の寄付、オーナーの人脈を通じた米や野菜の提供も運営を支えている。

前段右から3番目が濱田さん。上段右から2番目のオーナー・渡辺さんは、学生たちの自主性を尊重しながら一緒に活動している
前段右から3番目が濱田さん。上段右から2番目のオーナー・渡辺さんは、学生たちの自主性を尊重しながら一緒に活動している

濱田さんは、ここがみんなの居場所になっていることにやりがいに感じている反面、「本当に支援が必要な人には届いていないのではないか」という想いも抱えていると語る。

「ひとり親世代に食材支援も行っているのですが、ここまで取りに来てもらうこと自体が難しいという方々もいらっしゃることがわかってきました。車がない、電車賃がない、時間がない、子どもが多くて外出できない…そうした想像しきれていない事情もあるのかもしれません」

「例えば、物理的な距離の問題だけでも解決できるように『このエリアにはこども食堂が少ないからここにもうひとつつくろう』というように、こうした居場所がもっと広がったらいいなと思います」

学生たちは、手作りの新聞やSNSでこども食堂の広報活動も熱心に行う
学生たちは、手作りの新聞やSNSでこども食堂の広報活動も熱心に行う

また、今回のスターバックスの取り組みを通し、企業が果たす役割の大きさをあらためて感じたようだ。

「つくしょくでは、カレーと餃子が定番メニューです。月1回だから毎回同じメニューでも子どもたちは楽しんでくれていますが、それは食材を寄付してくださる企業が同じであるという背景もあります。もしより多くの企業が協力してくだされば、子どもたちに提供する料理も楽しんでもらう内容も、いっそう多彩になるのではないでしょうか」と、多くの力が重なり合い、彩りがさらに豊かになることを願っていた。

スターバックスの取り組みもそんな彩りの一部となれていたらうれしいと、きっとパートナーたちも感じていることだろう。今回の取り組みを終えて、スターバックスのストアマネージャー(店長)・飯田さんにも話をうかがった。

「今日の取り組みに参加したいと手を挙げるパートナーが多かった」と語るストアマネージャーの飯田さん
「今日の取り組みに参加したいと手を挙げるパートナーが多かった」と語るストアマネージャーの飯田さん

「子どもたち、そして地域の皆さんがここに来ることを本当に楽しんでいることが伝わってきます。自分の子どもに加えて、その友達も一緒に連れてくる親御さんもいて、そんなつながりにこちらも自然と笑顔になります。私たちの店舗は病院内という立地のため、必ずしも楽しい気持ちで訪れる方ばかりではありません。だからこそ、よりいっそう、笑顔や温もりを届けることに、大きな意味があるのだと改めて感じました」と、こども食堂のあり方に大きな刺激を受けたようだった。

今年もスターバックスでの一杯に込められた多くの人々の想いが集まり、日本各地にたくさんの笑顔があふれる時間が生まれた。パートナーにとっても力をもらえることとなった大切なこの一日を胸に、活動はつながれていく。

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