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「誰のものでもない私」であるために。テイト・マクレーがデラックス盤に託した、恋と自立のリアル

  • 2025.12.26
ソニーミュージック レーベルズ

全米1位を獲得し、世界的ポップスターとしての地位を確立したテイト・マクレーの3rdアルバム『So Close To What』。そのデラックス盤としてリリースされた『SO CLOSE TO WHAT???(deluxe)』は、単なる追加トラック集ではなく、アルバムの“その後”を描く一作となっている。

ソニーミュージック レーベルズ

デラックス盤はSpotifyのTop Albumsで1位を記録し、全体のストリーミング再生回数は30億回を突破。グラミー賞への初ノミネートや、カナダのグラミー賞とも称されるジュノー賞での2年連続最優秀アーティスト賞受賞など、テイトのキャリアはまさに最高潮。そんな彼女が、自身の「ひとつの時代の区切り」として発表したのが、このデラックス盤といえる。

今回の新曲群は、テイト自身がSNSで明かしているように、アルバムリリース後からツアー期間中にかけて生まれたもの。その時期は、同じくアーティストであるザ・キッド・ラロイとの関係性が海外で注目されていたタイミングとも重なる。特定の出来事を説明するような語り方はしていないけれど、当時の感情を音楽に落とし込む姿勢が、このデラックス盤の輪郭を描いている。

「私は誰のものでもない」──自由を選び取る決意

デラックス盤のハイライトとも言えるリード曲「NOBODY’S GIRL」は、テイトの現在地を象徴する1曲だ。

I am nobody’s girl / I love it so much
——私は誰のものでもない。それがたまらなく好き。

「本当の愛は、あなたの翼を切らない」というメッセージは、愛されることと自分らしさを守ること、その両立を求めるテイトの価値観をまっすぐに映し出している。強くしなやかで、どこまでも自分に正直。この曲は、彼女が過去の関係性を経てたどり着いた、ひとつの答えのようにも聞こえる。

ザ・キッド・ラロイの楽曲「A COLD PLAY」へのアンサーソング?

続く「TIT FOR TAT」は、より攻撃的で挑発的なムードをまとった楽曲。“tit for tat”=「仕返し」を意味するタイトル通り、感情の応酬をそのまま音にしたような一曲で、破局報道から約2か月後にリリースされたこともあり、ザ・キッド・ラロイの楽曲「A COLD PLAY」へのアンサーソングではないかとも噂されている。

Let’s go tit for tat, boy, you asked for that
——仕返しでやり合おう。あなたが望んだんでしょ。

恋の終わりを語る代わりに、苛立ちや悔しさをポップに言い返す。「TIT FOR TAT」は、そんな感情のキャッチボールを軽やかに描いた一曲。

怒り、失望、そして決別

ソニーミュージック レーベルズ

デラックス盤に収録された他の新曲たちも、恋の終焉に伴う感情のグラデーションを丁寧に描いている。

「TRYING ON SHOES」で描かれるのは、恋愛のなかで少しずつ目が覚めていく感覚。かつては相手を好きだったものの、「あなたが必要としていたのは私じゃなかった」と気づくまでには時間がかかった。相手が思い描く理想の女性像と、自分自身とのズレに向き合う、そんなほろ苦い気づきを、テイトは等身大の言葉で歌っている。

一方、「ANYTHING BUT LOVE」では、“私のパパも犬も兄も、みんなあなたが嫌い”と、容赦のない言葉が並ぶ。かなり火力高めな歌詞だけど、そこには相手を否定することで自分を取り戻そうとする切実さがにじむ。

ポップスターである前に、ひとりの女の子として

そして「HORSESHOE」は、今回の追加曲の中でも最も脆さが際立つ一曲。

“2万人の笑顔が私を包む。でもたった一人に振り回される”
“一人きりの私は、ポップスターじゃない”

ステージの上では圧倒的な存在感を放つテイトが、オフでは恋に傷つき、不安を抱えるひとりの女の子であること。そのギャップを隠さず歌うことで、テイトは“いつも強くいなくてもいい自分”を、そっと肯定しているようにも感じられる。

恋が終わっても、物語は続く

Credit: Beth Saravo | @baeth

『SO CLOSE TO WHAT???(deluxe)』は、特定の誰かとの関係を描きながら、その先で「自分自身に戻っていく」過程をそっと記録したアルバム。怒りも弱さも、強がりさえも否定せずに歌ったあと、最後に残るのは「誰のものでもない私」という感覚。恋が終わったからこそ見えてくる、新しいスタートラインに立つテイト・マクレー。このデラックス盤は、彼女の“これから”を楽しみにさせてくれる一枚となっている。彼女の次のフェーズにも、ますます目が離せない!

Hearst Owned
最新アルバム『SO CLOSE TO WHAT???(deluxe)|ソー・クロース・トゥー・ワット(デラックス)』
ソニーミュージック レーベルズ

【収録曲】
1. TRYING ON SHOES|トライング・オン・シューズ ※新曲
2. ANYTHING BUT LOVE |エニシング・バット・ラヴ ※新曲
3. NOBODY’S GIRL| ノーバディーズ・ガール ※新曲
4. HORSESHOE|ホースシュー ※新曲
5. TIT FOR TAT|ティット・フォー・タット ※新曲
6. Miss possessive|ミス・ポゼッシブ
7. Revolving door|リボルビング・ドア
8. bloodonmyhands (feat. Flo Milli)|ブラッドオンマイハンズ(feat.フロー・ミリ)
9. Dear god| ディア・ゴッド
10. Purple lace bra|パープル・レース・ブラ
11. Sports car|スポーツ・カー
12. Signs|サインズ
13. I know love (feat. The Kid LAROI)|アイ・ノウ・ラヴ(feat. ザ・キッド・ラロイ)
14. Like I do|ライク・アイ・ドゥ
15. It's ok I'm ok|イッツ・オーケー・アイム・オーケー
16. No I'm not in love|ノー・アイム・ノット・イン・ラヴ
17. Means I care|ミーンズ・アイ・ケア
18. Greenlight|グリーン・ライト
19. 2 hands|トゥー・ハンズ
20. Siren sounds (bonus)|サイレン・サウンズ
21. Nostalgia|ノスタルジア

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