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2025年の“女性の力”を感じた16のニュースー進歩もあれば、越えるべき壁も

  • 2025.12.26
Aflo, Getty Images

日本初の女性首相となった高市早苗や、グラミー賞史上最多受賞アーティストになったビヨンセ、自身の性被害を取り上げた映画がアカデミー賞にノミネートされた伊藤詩織、気候変動の枠を超えて活動するグレタ・トゥーンベリなど、2025年も女性のパワフルな活躍がニュースになった。彼女たちの姿が私たちを勇気づけることもあれば、乗り越えるべき課題を明らかにした瞬間も。

ここでは、エンタメからスポーツや政治など、あらゆる分野において“女性の力”を感じた今年のニュースを一挙にプレイバック!

Chung Sung-Jun / Getty Images

高市早苗/日本初の女性首相に

国内外で一大ニュースとして報道された、日本初の女性首相誕生。G7のなかでジェンダー平等が最下位の日本で、高市早苗(たかいち・さなえ)という女性の政治リーダーが、こんなに早く誕生すると誰が予想できただろう? 米誌『フォーブス』が選ぶ今年の「世界で最もパワフルな女性100人」の3位にもランクインしたばかりの高市首相。

ただ、『Global Gender Gap Report(世界男女格差報告書)』によると、政治分野のジェンダー平等は148カ国中125位と、課題の多い状況。内閣で任命された女性大臣も2名にとどまるなか、高市首相は女性の声を代弁するリーダーになれるのか? 変革を推進する力に注目したいところ。

Emma McIntyre / Getty Images

ビヨンセ/グラミー賞で最優秀アルバム賞を獲得

グラミー賞史上最多受賞アーティストになったビヨンセ。その数、35回! そのなかでも、2025年2月にソロアルバム『COWBOY CARTER』で受賞した最優秀アルバム賞は、彼女にとって初の賞。主要部門では受賞を逃し続けていたビヨンセにとっても、ファンにとっても待望の瞬間となったことは間違いない。

式では、ロサンゼルスの消防士たちがプレゼンターとして登壇。同州の山火事の消火にあたった彼らへの貢献に敬意を示したビヨンセは、他にも、黒人女性初の最優秀カントリー・アルバム賞と、最優秀カントリーデュオ/グループパフォーマンス賞の合計3つの賞を受賞。ジャンルにとらわれない彼女の活躍は、記憶にも、そして記録にも残ることとなった。

MARUYAMA

宮澤紗希乃/ウィンブルドン(女子U-14)で初優勝

イギリス・ロンドンのウィンブルドンで開催されるテニスの4大国際大会の一つ、ウィンブルドンテニス2025(女子U-14)で優勝したのは、宮澤紗希乃(みやざわ・さきの)。日本人初の快挙を成し遂げた彼女は、当時13歳。4歳からテニスをはじめ、7歳頃から世界のジュニア大会で好成績を残すなど、その才能を早くから発揮。

強打に加えてスライスやドロップショット、サーブ&ボレーなど多彩なショットを駆使する攻撃テニスが彼女のスタイル。決勝までの4試合では1セットも落とさず、自身より体格に優る海外の選手達に完勝! 今勢いのある彼女に要注目だ。

Aflo

永山祐子/大阪・関西万博のウーマンズ パビリオンの建築を手がける

「LOUIS VUITTON 大丸京都店」のファサードや「東急歌舞伎町タワー」など、数々の話題作を手がけている気鋭の建築家・永山祐子(ながやま・ゆうこ)。2025年に最も注目を浴びることとなった作品は、大阪・関西万博2025の「ウーマンズ パビリオンin collaboration with Cartier」ではないだろうか。ジェンダー平等について、すべての人々が考えるきっかけをつくることを目的としたこのパビリオンのファサードに用いられているのは、ドバイ万博日本館の立体格子。日本館のファサードが再利用されることは、前例のない取り組み。パナソニックグループパビリオン「ノモの国」も、永山さんが手がけたもう一つのパビリオン。

今年12月には、万博のパビリオンの模型などを関西で公開する初めての場として、『永山祐子個展 確かにありそうなもの』が大阪で開催。本個展では、ジュエリーから高層ビルにいたるまで、スケールや領域を横断し続ける彼女のプロジェクトが展示された。

Atsuko Tanaka / Getty Images

妹島和世/建築界の最も権威ある賞を日本人女性建築家が初受賞

王立英国建築家協会(RIBA)から優れた建築家に対して与えられる賞「王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤル・ゴールド・メダル」に、妹島和世(せじま・かずよ)と西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)による建築ユニットSANAAが受賞。日本人女性の建築家が受賞者に名を連ねるのは、今回が初めて。2010年にも、同じく日本人女性として初めて、「プリツカー賞」をSANAAが受賞している。

受賞した2人は「私たちはいつも、建築には環境に変化をもたらし、修復する力があり、周囲の自然、そして人と人との関係性を結び直す手助けをしてくれると信じてきました」とRIBAに語る。日本のディオール表参道店(2003年)、金沢21世紀美術館(2004年)、ニューヨークのニューミュージアム(2007年)、スイスのロレックス・ラーニング・センター(2010年)などの代表作がある。

ヘラルボニー

エヴリン・ポスティック/HERALBONY Art Prize 2025でグランプリを受賞

エヴリン・ポスティックの作品の魅力は、人と植物、動物とを溶け合わせて描かれる、豊かで多層的な世界観。そして、緻密な点と線の無数のディテールによって生まれる独特の深みだ。そんな彼女のクリエイションのベースは、「ネガティブなイメージのあるものを夢に、そして喜びの源へと変換すること」。

彼女がグランプリを受賞した「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」は、世界中の障害のある表現者を対象とした国際アート・プライズ。読み書きが難しい識字障害がある彼女は、幼い頃に“何もできない子”と思われていたというが、「こんな私でも、ちゃんと何かを成し遂げることができた」と語るポスティック。2026年には、「HERALBONY Art Prize 2026」授賞式と展覧会が開催予定。新たな世界観へと導いてくれる作品との出合いが楽しみだ。

Arnold Jerocki / Getty Images

ジゼル・ペリコ/フランス最高位の勲章が授与

フランスで10年近くにわたって夫(現在は離婚)から薬物によって意識を失わされ、インターネットで募った人たちにレイプをされていた事件。裁判の判決は、もちろん有罪。裁判を公開し、公の場で証言した元妻のジゼル・ぺリコの勇気を多くの人が称え、また、2025年にはフランス最高位の勲章を授与されることが発表された。

UN WOMEN調べによると、推定8億4,000万人の女性(ほぼ3人に1人)が、生涯で少なくとも一度は親密なパートナーやパートナー以外による身体的または性的暴力、またはその両方を経験。この数字は、過去20年間、ほぼ変わっていない。声を上げにくい社会の空気や、「被害者にも非があるのでは?」と疑いの目を向ける風潮……。そんな“見えない壁”が、今も多くの女性を沈黙させている。

だからこそ、ぺリコの語る言葉は力強い。「レイプされたすべての女性にこう言ってほしい。『マダム・ペリコがやった。私にもできる』と。恥ずかしいと思うべき人を、被害者から加害者に入れ替えたい」

Louise Delmotte

伊藤詩織/映画『Black Box Diaries』が米アカデミー賞にノミネート

伊藤詩織(いとう・しおり)が監督として携わり、自身の性被害を取り上げた映画『Black Box Diaries』が、2025年アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞候補にノミネート。自身への性暴力の調査に乗り出していく様子を自ら記録。その勇気ある姿を海外のオーディエンスが高く評価した。2020年には、米誌『TIME』の「世界で最も影響力のある100人」にも選出。

日本でも12月12日から都内上映館で公開がスタート。全回満席を記録し、6都市で拡大公開が決定するなど、話題を集めている一方で、以前から一部の防犯カメラ映像や音声が許可なく使われているとの指摘も。問題視された部分については、一部は非を認めてカットや加工をし、変更していない部分については使用の正当性を主張するスタンスに。この件については、今も議論が収まっておらず、国内報道もこの件についての話題が大半だ。

映画で描かれているのは、性被害者としての彼女の日常や心情。「性暴力の被害を受けた人たちが、証拠や声を軽んじられることなく、安心して助けを求められる社会に近づく一歩となることを願っています」という彼女の声は、日本の社会にどれくらい届くだろうか。

Pool / Getty Images

ハトラ・トーマスドッティル/今年も世界一「男女平等な国」の大統領が来日

『Global Gender Gap Report』のジェンダー平等ランキングにおいて、16年間、不動の1位の座を築いているアイスランド。その国のリーダー、ハトラ・トーマスドッティル大統領が、2025年5月26日から6月1日にかけて来日。

5月31日には、津田塾大千駄ケ谷キャンパスで開かれたトークイベント「アイスランド大統領と考える ジェンダー平等のつくりかた」に登壇。今でこそ国会議員の5割弱、閣僚は首相を含め6割超を女性が占めるアイスランドだが、約40年前は現在の日本の衆議院と同様、女性議員比率は10%台。そこからどのような努力や変革の道のりがあったのか、その原動力や今も残る課題などにも触れながら、日本をよりジェンダー平等な社会にしていくためのヒントを学生らと語り合った。

Aflo

メアリー・E・ブランコウ&マリア・コリナ・マチャド/ノーべル賞を受賞

ノーベル賞124年の歴史で女性はたった約6.7%、67人しかいないことを知ってた? そんな現状のなか、今年は2人の女性が受賞者として名を連ねることに。化学賞に輝いたメアリー・E・ブランコウと平和賞を受賞したマリア・コリナ・マチャドだ。

ブランコウは、フレデリック・ラムズデルと坂口志文の2人の科学者とともに免疫の抑制に関する発見したことが評価。また、ベネズエラ野党指導者のマチャドは、民主主義の闘いをリードしてきたことが称えられた。同国のマドゥロ大統領を最も批判しているマチャドは、身に危険がおよぶリスクがあるなか、授賞式が開かれるオスロに向けて出国作戦を実行。移動中の負傷もあり、授賞式には間に合わなかったものの、翌日には到着し、元気な姿を見せた。

彼女たちがスポットライトを浴びることは、「女性には向いていないかも」というバイアスを払拭することにもつながる。自分の道を切りひらいた彼女たちの勇敢な姿を見て、「次は私も!」と一歩踏み出す女性たちが増えるはず。

Anadolu / Getty Images

グレタ・トゥーンベリ/気候変動の枠を超えて、正義を求める声を上げる

環境活動家で知られるグレタ・トゥーンベリの活動は、いまや環境問題の枠を超えて広がりを見せている。今年、複数回にわたって戦争の影響を受ける人々に支援物資を届けるため、ガザに向けて乗船した彼女。イスラエル軍によって行く手を阻まれてしまったものの、彼女の強い意思は変わらず健在。「(ガザの人々に)『私たちはあなた方を見ている。何が起きているのか知っている。それなのに、見て見ぬふりはできない』と伝えたい」と話す。

2025年10月に停戦合意がなされた後も、いまだに武力衝突が絶えないガザ。12月中旬には大雨によって14人の命が失われるなど、過酷な状況が今も続いている。現地に行くことは難しくても、現状を知り、現地に想いを寄せることや、寄付などの間接的に支援することなど、私たちにできることはまだある。

Amanda Edwards / Getty Images

HIKARI/「今最も注目されるクリエイター」に選ばれた、注目の日本人監督

2025年に公開され話題となった、全編日本ロケの注目作の映画『レンタル・ファミリー』が、2026年2月27日に日本で公開がスタート。監督・共同脚本を担当したのは、アメリカを拠点に活躍する日本人、HIKARI。

本作は、第50回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映され、HIKARIは、今最も注目されるクリエイターに送られる、「エマージング・タレント・アワード」を受賞。男性優位の歴史が長いハリウッドで、女性であり、アジア人でもある彼女は、今後、「変化の象徴」となっていくだろうか? 主演はアカデミー賞俳優のブレンダン・フレイザー。日本からも柄本明などの俳優陣が出演予定と、同作の注目ポイントは盛りだくさん。日本公開が今から待ちきれない!

Leon Bennett / Getty Images

マヤ・ガベイラ/COP30の気候特使に任命されたプロサーファー

「アマゾンの玄関口」として知られるブラジル・ベレンで開催された、2025年の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)。地球の平均気温上昇を1.5℃に抑えることを約束した「パリ協定」から、ちょうど10年の節目の年でもある。そんな節目のCOPで気候特使の一人に選ばれたのが、プロサーファーのマヤ・ガベイラ。スポーツ × 環境/気候変動の掛け橋を担うことが期待され任命。彼女は、「スポーツには、具体的なアクションを促すパワーがある。持続可能性を考えずに未来を語るなんて不可能」と力強く宣言。

COP30自体の結果としては、化石燃料からのフェーズアウトに向けた具体的なロードマップが見送られるなど、期待を上回る成果とは言えなかったものの、森林を守るための新しい枠組みが誕生するといったポジティブな進展も。これからもずっと健康に住み続けることのできる地球を目指して、私たちもできることからアクションしたい。


Dave Benett / Getty Images

ニーナ・カルー/英国現代美術業界最高峰の賞を受賞

英国のアート界で最も権威ある「ターナー賞」を今年受賞したのは、ニーナ・カルー(写真、右)。近年、アート界で徐々に認知度を高めていた彼女。その大胆な彫刻と絵画が大々的に評価されることとなった。

自閉症と学習障害があり、言語でのコミュニケーションは限られている59歳のカルー。25年間にわたり彼女とともに歩んできたシャーロット・ホリンズヘッドは、授賞式のステージで次のように語った。「これは多くの人々にとって、とても重要な瞬間で、地殻変動のような出来事です。非常に強固だったガラスの天井が打ち破られたのですから」

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西郷真央&山下美夢有/女子ゴルフで日本勢、大活躍!

2025年は、女子ゴルフ界もアツかった! 「日本女子ゴルフの黄金時代」とも言われる近年、その代表的な活躍を見せた1人目が西郷真央(さいごう・まお)選手。世界的に権威のあるメジャー大会の一つ、シェブロン選手権で初優勝。プレッシャーのかかる場面にも勝負強さを見せるなどし、日本女子5人目のメジャー制覇を達成した。山下美夢有(やました・みゆう)選手も、AIG全英女子オープンで初優勝。この大会の日本勢の優勝は、2019年の渋野日向子選手以来の快挙。

ジュニア時代からの積み上げがある彼女たちのキャリアは、15年以上とベテラン級だが、年齢はまだ20代。40代まで現役をつづける選手がいるなか、今後の更なる活躍に期待したいところ。

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ロゼ(BLACKPINK)、アリアナ・グランデ、サブリナ・カーペンターetc./MTVビデオ・ミュージック・アワード2025で女性アーティストが圧倒!

2025年「MTVビデオ・ミュージック・アワード2025(VMAs)」では、主要部門の受賞者のほとんどを女性アーティストが独占! ブルーノ・マーズとの中毒性たっぷりなデュエット曲『APT.』が大ヒットしたBLACKPINKのロゼは、K-POPソロ勢として初の最優秀楽曲賞を受賞。

さらに、レディー・ガガが最優秀アーティスト賞を含む最多4冠に輝き、アリアナ・グランデは、最優秀ビデオ賞他、3部門を制覇。サブリナ・カーペンターも最優秀ポップアーティスト賞他、3部門を受賞した。そして、歌姫マライア・キャリーには初のVMAs受賞となる最優秀R&B賞と、ポップカルチャーとミュージックビデオに対する長年のキャリーの多大な影響を称えたビデオ・ヴァンガード賞が授与されるなど、女性たちの圧倒的なパワーがさく裂した一夜に!

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