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「私も毎日戦ってます!」劇場版『緊急取調室 THE FINAL』でシリーズ12年の集大成を迎える天海祐希が“キントリ”ファンからの質問&お悩みにお答えします!

  • 2025.12.25

2014年1月よりスタートした大ヒットドラマのフィナーレを飾る劇場版『緊急取調室 THE FINAL』(12月26日公開)。腕利きの刑事たちが集められた緊急事案対応取調班、通称“キントリ”のメンバーが、数々の凶悪犯と激しい心理戦を繰り広げてきた。シリーズ12年の集大成となる劇場版では、キントリの取調官・真壁有希子が、鉄壁のチームワークで“ある疑惑”をはらんだ内閣総理大臣に立ち向かう!「総理を取調べたいんです」。天海祐希がこれまでと同じスタンスで史上最強の敵に肉薄する真壁を圧倒的な熱量で体現しているのも見逃せない。

【写真を見る】自身が“キントリ”で演じた真壁有希子にように、本音で人と向き合うことの大切さを語る天海祐希

今回、MOVIE WALKER PRESSではXでユーザーから質問を募り、天海ご本人に答えてもらう“AMA(=Ask Me Anythingの略。ネットスラング風に言うと「○○だけど、なにか質問ある?」といった意味)”を実施。真壁同様、ひとつひとつの質問と真摯に向き合う天海が、シリーズを振り返りながら、壁にぶち当たったときの対処法から人と話すときの心得まで大切なことを教えてくれた。

「12年にわたって演じてこられた真壁有希子という女性を、天海さんはどんな人物だと思いますか?またご自身と有希子の間で、“ここは似ているな”と思う部分があれば教えてください」(30代/女性)

「彼女がずっと言っているのは、『正義を貫きたい』ということと『罪を犯した人間は必ず罰を受けるべきだ』ということ。取調べの間に、何が起こったのか、なぜ起こったのかを解明していくわけですけど、そのときに罪を犯した人間をただ罰したり、正義を貫くだけではなく、被疑者の心からの反省を促したり、自分がしてしまった罪の重さをわからせる作業もしていると思います。そこには、彼女がもともと持っている人情であるとか、人を信じたいと思っている気持ちが表れているような気がしますね。

劇場版ではある疑惑を持った総理大臣(石丸幹二)と対決! [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
劇場版ではある疑惑を持った総理大臣(石丸幹二)と対決! [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

有希子自身もこの12年の間に変わっていきました。最初のころは、スタンドプレーとは言わないまでも、誰の話も聞かずに突っ走っていくところがありましたが、ほかのキントリメンバーの姿を見たり、助言を聞いたりして彼女なりに学んでいっている。まだまだ発展途上で、青くあり続けたいと思っているところもある。そんないくつになっても学んでいこうとするところや、人や事件と向き合うなかで自身の反省も忘れない姿勢は見習いたいし、すごく素敵な人だと思います。

真壁の無茶に振り回されながらも彼女を支える梶山(田中哲司) [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
真壁の無茶に振り回されながらも彼女を支える梶山(田中哲司) [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

私と似ているところは…自分と役柄の人物を比べて、ここはすごく似ているなって分析しながら演じるわけではないですが、やっていくうちに自分に寄ったり、真壁さんの方に寄っていったりっていうことはたぶんあるし、どこかに私の要素が入っていたり、真壁さんのキャラを尊重して、そこを大きくデフォルメしてやっているところももちろんあるかな。それこそ、ワチャワチャやっているキントリのおじさまたちに喝を入れて、『はい、次行くよ!』って言う感じは昔もいまの現場も一緒です(笑)」

「キントリのメンバー(キャラクター)それぞれについて、最初に会ったときといまで変わったところと相変わらずだなぁと思うところ、印象の変化などを教えてください」(40代/女性)

以前は一匹狼タイプの真壁だったが、いまはキントリチームと固い絆で結ばれている [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
以前は一匹狼タイプの真壁だったが、いまはキントリチームと固い絆で結ばれている [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

「シリーズの最初のころは、女性は真壁さんひとりだけだったから、設定の上でも異物感があったと思います。だけど、キントリの仲間と一緒に仕事をするうちに、真壁さんの意見にみんなも耳を貸してくれるようになって。何事にも屈せずに突っ走る彼女のことをヒヤヒヤしながら見守ったり、“俺たちも手を貸すよ”っていう姿勢をだんだん見せてくれたりするようになりました。これが例えば、『刑事・真壁有希子』みたいなタイトルだったら、彼女だけがものすごく活躍するお話になっていたかもしれないけれど、このシリーズはチームワークがフィーチャーされるものなので、連携プレーがすごく重要なんです。その積み重ねでシーズン5までやってきたし、キントリメンバーの連携もよりスムーズにとれるようによってきたと思います。

そんななかで真壁さんの向き合い方が変わったのは…若干2名のおじさん。すごい変化があったわけではないですが、でんでんさんが演じられている菱さん(菱本進)と亡くなられた大杉漣さんが扮していた善さん(中田善次郎)は、最初のうちは真壁さんに対して“認めてやんないよ”“力があるなら上がってこいよ!”っていうスタンスでしたよね。でも、真壁さんの青さと真っ直ぐさ、必死さを目の当たりにするうちに、その頑なな姿勢がだんだんほぐれてきて。しかも、『受け入れてやるよ』っていう野暮なことは言わずに迎え入れてくれたから、真壁さんがより暴走しやすい環境になりましたね(笑)」

「万が一、自分が取調べられる側になったとしたら、キントリメンバーの誰と対峙したいですか?」(40代・女性)

シリーズ12年の集大成となる劇場版の公開を控える天海祐希 撮影/杉映貴子
シリーズ12年の集大成となる劇場版の公開を控える天海祐希 撮影/杉映貴子

「いちばんまろやかな対応をしてくれそうな玉ちゃん(玉垣松夫/塚地武雅)かな?春さん(小石川春夫/小日向文世)は理詰めでこられるだろうし、菱さんは罵り合いながらやることになりそうだけど、玉ちゃんは一生懸命、右往左往してくれそうですから(笑)。でも、究極を言うならやっぱり真壁有希子!彼女とじっくり話し合いたい。でも、誰が相手でも、自分が無実だったら、思いっきりぶつかります。絶対に屈しないし、私もガンガン行きますね」

「キントリといえば、言葉の銃撃戦ですが、天海さんが印象に残っているお好きなセリフはありますか?」(30代/女性)

総理大臣を襲った森下(佐々木蔵之介)の目的とは!? [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
総理大臣を襲った森下(佐々木蔵之介)の目的とは!? [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

「真壁さんが被疑者の人に最後の最後にかける言葉ですかね。そこには彼女の想いがこもっているし、言われて痛い言葉じゃないですか。例えば、ドラマのシーズン5で言うなら、第2話で真壁さんが山本耕史くん演じるニュースキャスターに告げる『あなたは、自分でいちばん大事にしてきた報道というものを汚したんです』という言葉。彼の奥さんにかける言葉もそうですけど、個々のお話の肝になるものだし、(脚本の)井上由美子さんがそのエピソードでいちばん言いたいこと…幕切れに言っておかなければいけないという想いで書かれたものですからね。私もそれを口にしながら、“あっ、井上さんはここでこういう表現をするんだな”って毎回その言葉に込められた想いを噛み締めています」

「真壁さんの名ゼリフに『おもしろくなってきたじゃない』っていうのがありますが、天海さんご自身が最近“おもしろくなってきたじゃない”と感じた瞬間は?」(20代/女性)

年を重ねることがおもしろくなってきたという天海祐希 撮影/杉映貴子
年を重ねることがおもしろくなってきたという天海祐希 撮影/杉映貴子

「個人的には最近、歳を重ねることを楽しんでいます。若いころは、おじいちゃん、おばあちゃんの言っている『目が見えにくくなってきた』という意味がわかんなかったんですよね。でも、白髪が生えたり、自分の身体に変化が表れ出したときに、“ああ、こういうことだったのね”って、周りの年配の方たちの言っていることがだんだんわかってきて。それがすごくおもしろいんです。そういうことが経験できるのは一生に1回だけだし、それをネガティブに捉えたらすべてがネガティブになってしまうから、それをおもしろがったらいいんですよ。そう思いませんか?(笑)」

「大学受験を控えている高校3年生です。将来の夢のためにここの大学に行きたいという強い決意はあるのですが、やっぱり無理かなとたまに芯が潰れそうになるときがあります。天海さんは一度決めたことに対して迷ったことはありますか? あった場合はそれをどうやって乗り越えられたのか、対処法を教えてください」(10代/女性)

「くじけそうになることは誰にでもあるでしょう。人間ですからね。それに、自分で自分を信じることがいちばん難しい気がするんですよね。恋人や配偶者のことはわりと信じられるけれど、自分のことはなかなか信じ難い。自分のことはよく知っていますから。でも、そこを押して自分を信じてみるといいかもしれません。一生懸命頑張ったことは、例えそれが達成できなくても、私はあのとき、あそこまでできたんだっていうことが絶対に後々の自信につながるから。なので、挫けそうになる自分と戦うのはすごく大変なことだけど、頑張ってほしいですね。

救命救急士である娘・奈央(杉咲花)との親子のドラマも描かれる [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
救命救急士である娘・奈央(杉咲花)との親子のドラマも描かれる [c]2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

私も戦っていますよ。今も毎日、セリフを覚えていく作業を乗り越えています、台本を時々投げながら(笑)。『何だよ、この長いセリフは!』って言いながら、自分が投げた台本をまた拾いに行って、“やらなきゃダメだ!”何だこれ、覚えられないよ!”って葛藤している自分と戦っています。戦って、私は勝ちたいと思っているから。それに、繰り返しになるけれど、人生の大きな決断って、例えそれが達成できなくても私は決して失敗じゃないと信じているんです。最後の最後に“この道でよかった”って思えるように進めばいい。決して自分を見失わず、卑怯な方に逃げずに真っ直ぐ進めば、それが私にとっては自信になりますから。逆に逃げたりしたら、後悔がずっと残ってしまうので、“達成するんだ”“夢にたどり着きたいんだ”という思いのたけを胸に、自分と戦いながら突き進んでいってください」

「『緊急取調室』は被疑者との心理戦を通して、時には本音で対話をする真壁有希子が印象的ですが、天海さんが人と向き合うときに大切にしていることは何ですか?」(30代/女性)

「いちばん大事なのは、やっぱり本音で向き合うことじゃないですか。自分が伝えたいことや本心を、きちんと話す。ただ、そのときに自分の気持ちだけを伝えるのではなく、相手の状況も考えることが必要かなと思います。人ってやっぱり、自分の欲求をもとに相手と向き合いがちですけど、相手にも本音があるわけだから、そこを忘れちゃいけないかな。自分の自我だけを押し通すと、あまりいい結果を生まないような気がするから、『私はこう思うけれど、あなたはどう?』って促すことが大事なんじゃないでしょうか。

【写真を見る】自身が“キントリ”で演じた真壁有希子にように、本音で人と向き合うことの大切さを語る天海祐希 撮影/杉映貴子
【写真を見る】自身が“キントリ”で演じた真壁有希子にように、本音で人と向き合うことの大切さを語る天海祐希 撮影/杉映貴子

それこそ、いまは何でも、自分ひとりで完結してしまうことが多いですよね。それはとてもいいことでもあるけれど、悪いことでもあるような気がしていて。ひとりの世界だけで終わってしまって、相手との関係を考え、その状況を見極める経験にはあまりならないですから。なので、他者ととにかく交流する。みんな自我があって、自分はこうしたいけれど、この人はそうじゃないんだということをちゃんとわからなきゃいけない。真壁さんを見習ってください。彼女は被疑者にガンガン詰め寄るけれど、相手のことをよく見ているんですよね。言葉の使い方とか相手のそのときの状況を観察しながら、被疑者の心が動いた瞬間を見逃さない。テクニックではなく、そうやって向き合いながら相手の本音を引き出している。心を開いてあげているんですよ」

取材・文/イソガイマサト

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